俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第66話流れ着いてはルイヴァック島
二人の説明によると、ここは本土からかなり離れた島ルイヴァック島。人口は三百人とまあまあ多い島で、島の面積も結構広いらしい。そして二人は俺の思った通り双子の姉妹で、ルナとネルというらしい。どちらがどの名前かは……分からない。
「まさか本当にナルカディア王国の国王とお姫様が流れ着いてくるなんて」
「私もびっくり」
同じような反応を、同じ声でする二人。どっちがどっちか分からない俺は、誰がどの言葉を言ったのか見分けが付かない。
「そんなに有名なのか俺達」
「だって、異世界からきた白馬の王子様なんて羨ましいでしょ」
「でしょー」
「むしろ俺の方が有名なんだな」
あながち間違ってはいないけど、別に俺が王様になりたくてこの世界に来たわけじゃないし、その王を呼び出した張本人に拒絶されていたけど、二人の夢を壊さないようにここは黙っておこう。
「なあ二人共、改めて聞くけどココネの様態は大丈夫なのか?」
「うーん、ミルフイーちゃんが色々やってくれているけど、傷が深くてすぐには治らないみたい」
「命に別状はないのか?」
「そこまでは教えてくれなかったな。でも何としても助けるって言ってたよ」
「そっか。じゃあその人を信じるしかないか」
不安ではあるけど、今の俺に何かできるわけがない。俺自身も海の中を漂流していたため、低体温症にかかっていてしばらくは安静にしていた方がいいと言っていた。
(せっかく救出できたのにこんなのってありかよ)
ココネを助けに行ったのに、状況が以前より更に悪化してしまった。あの時俺が、カグヤの気配に気づいていれば……。
(守るって決めたのに、守られてどうするんだよ俺)
しかも命を張って守られただなんて、俺は男として情けない。でもだからといって時間が戻ることなんてないんだから、今更後悔しても何も始まらない。今はただ、ココネが目を覚ますその時を待つしかない。
(大丈夫だよなきっと)
ココネなら絶対に目を覚ますと俺は信じている。
■□■□■□
圭一君とココネちゃんが行方不明。
その一報が私のもとに入ったのは、圭一君が城をでてから三日が過ぎた頃だった。私はその話が信じられなかった。圭一君は必ず帰ってくるって約束した。それなのに行方不明だなんて……。
「私も信じられないよユナお姉ちゃん。二人が帰ってこないなんて」
それはリタちゃんも同じだった。というか誰もが信じられないに違いない。まさか彼が乗り込んだ敵地が、人一人いない状態で見つかっただなんて話、誰が信じられるだろうか。あのカグヤって子までいなくなっているのならなおのことだ。
(絶対何かがあったんだ。二人に……)
行方が分からなくなってしまうくらいの何かが……。
「ユナお姉ちゃん、今日も寝てないみたいだけど大丈夫? ご飯だって食べていないし……」
夕飯時。二人では勿体なくらい広い食堂でリタちゃんと二人きりの食事。彼女が今言っていた通り、私は心配でずっと眠れていない。しかもその矢先で行方不明だなんて聞いたら、もうしばらくは寝付けない日々が続くのかもしれない。
「そういうリタちゃんも同じじゃない。目の下にくまあるよ」
「やっぱりバレちゃった? だって心配なんだもん二人が」
「それは私も同じだよ。しかも行方不明なんて……」
「二人共どうしちゃったのかな」
いつもより暗い食事なのに、更に落ち込んでしまう私とリタちゃん。私たちが落ち込んでいても、どうにもならないのは分かっている。けれど、心配にならない方が変だ。
「心配な気持ちは分かりますけど、多分二人は二度と戻ってこれないと思いますよ」
どうしようもならない現実を突きつけられ、食事も間にならない私たちに、更に追い打ちをかけるようにどこからか声が聞こえる。この声はまさか……。
「その声、もしかしてカグヤ? どこにいるの?」
「ここですよ」
「ユナお姉ちゃん危ない!」
「え?」
リタちゃんの声い反応して、慌ててその場から咄嗟に離れる。するとその数秒後、私のいた場所に一本のナイフが突き刺さった。
「あ、ありがとうリタちゃん」
「お礼よりさきに、あ、あれを」
リタちゃんが何かに怯えながら、天井を見ているので私も釣られて天井を見る。するとそこには、
「な、何で人が浮いているの?」
空中に浮いているカグヤの姿が。ナイフが飛んできたのも、彼女がそこにいたからだ。いや、それ以前に人が浮いているなんておかしい。
「あーあ、避けられちゃいましたか」
「あなたがカグヤなの?」
「そうですよ? 何度かお会いしたことはあると思いますけど」
「それよりも今あなたが言っていた意味、教えて欲しいんだけど」
さっき彼女は二人が二度と帰ってこれないと言っていた。それは一体どういう意味なのだろうか?
「どういうも何も、答えは簡単ですよ。私が二人を殺したんですから」
「え?」
殺した? 彼女が二人を? 何を言っているのだろうか? 圭一君が簡単に殺されることなんてない。きっと彼女は嘘をついている。
「信じられないですか? それなら具体的に教えてあげますよ。私はココ姫をナイフで刺し、刺された彼女は海深くに落ちていってそれをケイイチ国王が救いに潜っていった。その先、誰も二人の姿を見ていません。それがどういう意味か分かりますよね?」
海深く潜っていってから誰も姿を見ていない。つまり二人は一度も海から出てきていないことになる。それが示すのはただ一つ。
死。
刺されたココネちゃんを追って、圭一君も一緒に……。
「そんなの嘘よ」
「事実です」
「嘘よ! 絶対!」
二人が死んだなんて、そんな事絶対に有り得ない。絶対に!
「まさか本当にナルカディア王国の国王とお姫様が流れ着いてくるなんて」
「私もびっくり」
同じような反応を、同じ声でする二人。どっちがどっちか分からない俺は、誰がどの言葉を言ったのか見分けが付かない。
「そんなに有名なのか俺達」
「だって、異世界からきた白馬の王子様なんて羨ましいでしょ」
「でしょー」
「むしろ俺の方が有名なんだな」
あながち間違ってはいないけど、別に俺が王様になりたくてこの世界に来たわけじゃないし、その王を呼び出した張本人に拒絶されていたけど、二人の夢を壊さないようにここは黙っておこう。
「なあ二人共、改めて聞くけどココネの様態は大丈夫なのか?」
「うーん、ミルフイーちゃんが色々やってくれているけど、傷が深くてすぐには治らないみたい」
「命に別状はないのか?」
「そこまでは教えてくれなかったな。でも何としても助けるって言ってたよ」
「そっか。じゃあその人を信じるしかないか」
不安ではあるけど、今の俺に何かできるわけがない。俺自身も海の中を漂流していたため、低体温症にかかっていてしばらくは安静にしていた方がいいと言っていた。
(せっかく救出できたのにこんなのってありかよ)
ココネを助けに行ったのに、状況が以前より更に悪化してしまった。あの時俺が、カグヤの気配に気づいていれば……。
(守るって決めたのに、守られてどうするんだよ俺)
しかも命を張って守られただなんて、俺は男として情けない。でもだからといって時間が戻ることなんてないんだから、今更後悔しても何も始まらない。今はただ、ココネが目を覚ますその時を待つしかない。
(大丈夫だよなきっと)
ココネなら絶対に目を覚ますと俺は信じている。
■□■□■□
圭一君とココネちゃんが行方不明。
その一報が私のもとに入ったのは、圭一君が城をでてから三日が過ぎた頃だった。私はその話が信じられなかった。圭一君は必ず帰ってくるって約束した。それなのに行方不明だなんて……。
「私も信じられないよユナお姉ちゃん。二人が帰ってこないなんて」
それはリタちゃんも同じだった。というか誰もが信じられないに違いない。まさか彼が乗り込んだ敵地が、人一人いない状態で見つかっただなんて話、誰が信じられるだろうか。あのカグヤって子までいなくなっているのならなおのことだ。
(絶対何かがあったんだ。二人に……)
行方が分からなくなってしまうくらいの何かが……。
「ユナお姉ちゃん、今日も寝てないみたいだけど大丈夫? ご飯だって食べていないし……」
夕飯時。二人では勿体なくらい広い食堂でリタちゃんと二人きりの食事。彼女が今言っていた通り、私は心配でずっと眠れていない。しかもその矢先で行方不明だなんて聞いたら、もうしばらくは寝付けない日々が続くのかもしれない。
「そういうリタちゃんも同じじゃない。目の下にくまあるよ」
「やっぱりバレちゃった? だって心配なんだもん二人が」
「それは私も同じだよ。しかも行方不明なんて……」
「二人共どうしちゃったのかな」
いつもより暗い食事なのに、更に落ち込んでしまう私とリタちゃん。私たちが落ち込んでいても、どうにもならないのは分かっている。けれど、心配にならない方が変だ。
「心配な気持ちは分かりますけど、多分二人は二度と戻ってこれないと思いますよ」
どうしようもならない現実を突きつけられ、食事も間にならない私たちに、更に追い打ちをかけるようにどこからか声が聞こえる。この声はまさか……。
「その声、もしかしてカグヤ? どこにいるの?」
「ここですよ」
「ユナお姉ちゃん危ない!」
「え?」
リタちゃんの声い反応して、慌ててその場から咄嗟に離れる。するとその数秒後、私のいた場所に一本のナイフが突き刺さった。
「あ、ありがとうリタちゃん」
「お礼よりさきに、あ、あれを」
リタちゃんが何かに怯えながら、天井を見ているので私も釣られて天井を見る。するとそこには、
「な、何で人が浮いているの?」
空中に浮いているカグヤの姿が。ナイフが飛んできたのも、彼女がそこにいたからだ。いや、それ以前に人が浮いているなんておかしい。
「あーあ、避けられちゃいましたか」
「あなたがカグヤなの?」
「そうですよ? 何度かお会いしたことはあると思いますけど」
「それよりも今あなたが言っていた意味、教えて欲しいんだけど」
さっき彼女は二人が二度と帰ってこれないと言っていた。それは一体どういう意味なのだろうか?
「どういうも何も、答えは簡単ですよ。私が二人を殺したんですから」
「え?」
殺した? 彼女が二人を? 何を言っているのだろうか? 圭一君が簡単に殺されることなんてない。きっと彼女は嘘をついている。
「信じられないですか? それなら具体的に教えてあげますよ。私はココ姫をナイフで刺し、刺された彼女は海深くに落ちていってそれをケイイチ国王が救いに潜っていった。その先、誰も二人の姿を見ていません。それがどういう意味か分かりますよね?」
海深く潜っていってから誰も姿を見ていない。つまり二人は一度も海から出てきていないことになる。それが示すのはただ一つ。
死。
刺されたココネちゃんを追って、圭一君も一緒に……。
「そんなの嘘よ」
「事実です」
「嘘よ! 絶対!」
二人が死んだなんて、そんな事絶対に有り得ない。絶対に!
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