俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第69話刻印と記憶 後編
「おい、それはどういう……」
突如現れたカグヤ。そして突如放たれた言葉。俺にとってそれら全てが衝撃的すぎて、次の言葉が出てこなくなってしまった、
「全ての起源は私にあるとでも言いましょうか? 決して血が繋がっているわけではありませんから」
「全ての起源?」
「全ての命は私から始まっている、と言いえば分かりやすいのではないでしょうか?」
「何を馬鹿な事を……」
全ての命が彼女から始まっているだなんてそんな話、ふざけているにも程がある。
「信じられないとでも言いたそうな顔をしていますね。まあ、それはちょっとした冗談なんですけど」
「ふざけるな! ココネの記憶まで奪いやがって、それでも冗談と言えるのか?」
「あら? もしかしてあのお姫様も記憶喪失になってしまったんですか。それはちょっとした予想外ですね」
「予想外だと! どうせお前が仕組んだことなんだろ」
「私にはそんな力なんてありませんよ。第一、私だって被害者なんですよ?」
「被害者……だと」
確かにそれは間違っていない。彼女だって一応記憶喪失の被害にあっている、という設定だったはずだが、それは全て演技だったと分かっている。だったら、被害者という言葉は出てこないはずなのだが。
「その反応だと、私は記憶喪失の演技をしていたと勘違いでもしていたのでしょうか? それは大間違いです。私は正真正銘記憶喪失になっていますし、この刻印だって自らの意志で付けたわけではありませんよ。まあ刻印の力は利用させていただいていますが」
カグヤの話を聞いて、ふとメリアーナの話を思い出す。確か今から十年ほど前に俺達と同じく異世界から少女がやってきたと言っていた。最初は普段通りの生活を送っていた少女だが、ある日突然記憶がなくなってしまい、その肩には今までなかった刻印が刻まれていたという。その事から記憶喪失と刻印が関係しているのではないかと言われていたが、ココネは五歳の時に刻まれてしまっていたのに、今の今まで一度も記憶喪失になった事がなかった。そう考えると、記憶喪失と刻印は直接的な関係はない。それは現在の由奈も証明している。
(何か情報が色々混ざりすぎて、どれが正しいのかさえ分からなくなり始めているな)
先程から自分が何を考えているのか分からなくなり始めている。
「どうやらまだ完全には理解していないみたいですね。この世界で何が起きていているのかを」
「お前は分かっているとでも言うのか?」
「さあ、それはどうでしょうか? それよりも隣の彼女、先程から様子が変ですよ?」
カグヤがルナを見ながら言う。先程からルナはずっと怯えた様子で、カグヤを見ているが、その原因が彼女の母親が現れたからという事だが、カグヤはそれをさっき冗談と言っていた。だとしたら、
(彼女は何に怯えているんだ?)
「ルナ、大丈夫か?」
「だ、大丈夫。何か彼女を見たら、急に寒気がしただけだから」
「カグヤを?」
「う、うん」
「ちなみに一言言っておきますと、私と彼女は全く面識がありませんよ」
「だったらどうして……」
カグヤを見ただけで怯えだすんだ?
「あ、一つケイイチ君に報告があって訪ねてきたんです私」
「報告? 敵のお前が?」
「はい。あなたにとってとても大事な報告があります」
「何だよ、さっさと言えよ」
「では言わせてもらいます」
何故かカグヤは一度間を開けて、次の言葉を口にした。
「ナルカディア王国は先日、私が占領させていただきました。あなたの幼馴染やあのコックさんも全て私の支配下のもとに置かせていただきました。助けたければ、全ての決着をつけにナルカディアへ来てください。そこで全てを終わらせましょう」
「何だと!」
ナルカディアがカグヤの手に堕ちただと。
おまけに由奈達も捕まっただって。
「ふざけるなぁ!」
こみ上げてきた怒りに身を任せ、カグヤに殴りかかろうとするが避けられる。
「私は何一つふざけていません。私は単にどちらが国の長として相応しいか、決着をつけようと話しているんです。まあ、現状を見させてもらう限り、私の勝ちは見えていますが」
「くっ!」
確かにカグヤが言っている事は正しい。ココネは現在記憶喪失の状態で、何もかも忘れている。勿論刻印の事も。前回カグヤと戦った際、ココネの刻印の力がなければ勝つことなんてできなかった。それほどカグヤの力は絶大で、決して俺一人で勝てる相手ではない。今だって簡単に攻撃を避けられてしまうくらいだ。
「一応期限は考えていません。あなたが好きなタイミングで奪い返しに来てください。私はそれに対して全力で相手させていただきます、では、私はこの辺で」
「あ。待て!」
カグヤはそう言い残して、姿を消す。ほんの一瞬の出来事で分からなかったが、どうやら彼女は刻印のちからでも使って瞬間移動でもしたのだろう。俺が言い終わる前に、既にカグヤの姿は俺達の目の前から消えていた。
「ケイイチさん、ナルカディアって……」
「知っていると思うが、ナルカディアは俺達の国だ」
「それが奪われたの?」
「ああ。だから絶対に奪い返してやる! 由奈もリタもココネの記憶も全部!」
決着をつけようというならいいじゃねえか。俺だって国を治めるものとしての責任がある。
だから、絶対にナルカディアを取り戻す。この手で!
突如現れたカグヤ。そして突如放たれた言葉。俺にとってそれら全てが衝撃的すぎて、次の言葉が出てこなくなってしまった、
「全ての起源は私にあるとでも言いましょうか? 決して血が繋がっているわけではありませんから」
「全ての起源?」
「全ての命は私から始まっている、と言いえば分かりやすいのではないでしょうか?」
「何を馬鹿な事を……」
全ての命が彼女から始まっているだなんてそんな話、ふざけているにも程がある。
「信じられないとでも言いたそうな顔をしていますね。まあ、それはちょっとした冗談なんですけど」
「ふざけるな! ココネの記憶まで奪いやがって、それでも冗談と言えるのか?」
「あら? もしかしてあのお姫様も記憶喪失になってしまったんですか。それはちょっとした予想外ですね」
「予想外だと! どうせお前が仕組んだことなんだろ」
「私にはそんな力なんてありませんよ。第一、私だって被害者なんですよ?」
「被害者……だと」
確かにそれは間違っていない。彼女だって一応記憶喪失の被害にあっている、という設定だったはずだが、それは全て演技だったと分かっている。だったら、被害者という言葉は出てこないはずなのだが。
「その反応だと、私は記憶喪失の演技をしていたと勘違いでもしていたのでしょうか? それは大間違いです。私は正真正銘記憶喪失になっていますし、この刻印だって自らの意志で付けたわけではありませんよ。まあ刻印の力は利用させていただいていますが」
カグヤの話を聞いて、ふとメリアーナの話を思い出す。確か今から十年ほど前に俺達と同じく異世界から少女がやってきたと言っていた。最初は普段通りの生活を送っていた少女だが、ある日突然記憶がなくなってしまい、その肩には今までなかった刻印が刻まれていたという。その事から記憶喪失と刻印が関係しているのではないかと言われていたが、ココネは五歳の時に刻まれてしまっていたのに、今の今まで一度も記憶喪失になった事がなかった。そう考えると、記憶喪失と刻印は直接的な関係はない。それは現在の由奈も証明している。
(何か情報が色々混ざりすぎて、どれが正しいのかさえ分からなくなり始めているな)
先程から自分が何を考えているのか分からなくなり始めている。
「どうやらまだ完全には理解していないみたいですね。この世界で何が起きていているのかを」
「お前は分かっているとでも言うのか?」
「さあ、それはどうでしょうか? それよりも隣の彼女、先程から様子が変ですよ?」
カグヤがルナを見ながら言う。先程からルナはずっと怯えた様子で、カグヤを見ているが、その原因が彼女の母親が現れたからという事だが、カグヤはそれをさっき冗談と言っていた。だとしたら、
(彼女は何に怯えているんだ?)
「ルナ、大丈夫か?」
「だ、大丈夫。何か彼女を見たら、急に寒気がしただけだから」
「カグヤを?」
「う、うん」
「ちなみに一言言っておきますと、私と彼女は全く面識がありませんよ」
「だったらどうして……」
カグヤを見ただけで怯えだすんだ?
「あ、一つケイイチ君に報告があって訪ねてきたんです私」
「報告? 敵のお前が?」
「はい。あなたにとってとても大事な報告があります」
「何だよ、さっさと言えよ」
「では言わせてもらいます」
何故かカグヤは一度間を開けて、次の言葉を口にした。
「ナルカディア王国は先日、私が占領させていただきました。あなたの幼馴染やあのコックさんも全て私の支配下のもとに置かせていただきました。助けたければ、全ての決着をつけにナルカディアへ来てください。そこで全てを終わらせましょう」
「何だと!」
ナルカディアがカグヤの手に堕ちただと。
おまけに由奈達も捕まっただって。
「ふざけるなぁ!」
こみ上げてきた怒りに身を任せ、カグヤに殴りかかろうとするが避けられる。
「私は何一つふざけていません。私は単にどちらが国の長として相応しいか、決着をつけようと話しているんです。まあ、現状を見させてもらう限り、私の勝ちは見えていますが」
「くっ!」
確かにカグヤが言っている事は正しい。ココネは現在記憶喪失の状態で、何もかも忘れている。勿論刻印の事も。前回カグヤと戦った際、ココネの刻印の力がなければ勝つことなんてできなかった。それほどカグヤの力は絶大で、決して俺一人で勝てる相手ではない。今だって簡単に攻撃を避けられてしまうくらいだ。
「一応期限は考えていません。あなたが好きなタイミングで奪い返しに来てください。私はそれに対して全力で相手させていただきます、では、私はこの辺で」
「あ。待て!」
カグヤはそう言い残して、姿を消す。ほんの一瞬の出来事で分からなかったが、どうやら彼女は刻印のちからでも使って瞬間移動でもしたのだろう。俺が言い終わる前に、既にカグヤの姿は俺達の目の前から消えていた。
「ケイイチさん、ナルカディアって……」
「知っていると思うが、ナルカディアは俺達の国だ」
「それが奪われたの?」
「ああ。だから絶対に奪い返してやる! 由奈もリタもココネの記憶も全部!」
決着をつけようというならいいじゃねえか。俺だって国を治めるものとしての責任がある。
だから、絶対にナルカディアを取り戻す。この手で!
「その他」の人気作品
書籍化作品
-
-
381
-
-
4
-
-
111
-
-
20
-
-
361
-
-
26950
-
-
89
-
-
124
-
-
439
コメント