スキルゲ!!

チョーカー

彼は、興奮を隠さずに自身を語る

 「すげぇ!本当にモンスターって出るんだ!」
 場所はハンバーガー専門店のファーストフード店。
 僕は、興奮のあまり窓にへばりつくように外の出来事を見ていた。
 思わず漏れてしまった僕の声。そして、奇行とも思われかねない行動は、完全におのぼりさんと笑われても仕方がないものだった。(実際に僕のほうを見て、笑っている女子の集団がいた)
 だけど、でも―――
 仕方がないじゃないか!?本物のモンスターとスキル使いの戦いだぜ?
 架空の生物が現れる街『キングダム』
 日本でありながら、日本でない。
 治外法権のように扱われる特殊な街だ。
 なんでこうなったのか?どうして、モンスターなんて現れるのか?
 日本政府の公式見解は発表されていない。
 『キングダム』誕生後に海外からも研究チームが送られているはずなのに、何にも発表されていない。
 ここは先進国日本の一部でありながら、独立国家であり、同時に未開の地でもあるのだ。
 そんな街『キングダム』に僕、朝倉亮期あさくらりょうごは引っ越してきた。
 引越しの理由は父親の仕事の都合。
 確かに、この街は生死が隣合わせで危険な街だけれど―――
 それを足し引きしてなお、人を魅力させる街であり、ごく普通に経済が回り、人の出入りは激しい。
 今、活気に満ち溢れた街として世界でも上位に入っているんじゃなかろうか?
 最も、僕の父親の職業は、民族学者であり、経済や商売とは無関係な人間である。
 研究対象である妖怪変化と実際に戯れると意気揚々と引越しを決めたという、かなりピーキーな生物である。
 そんなこんなで、僕がこの街に着いたのは今日である。興奮しないわけがない!?
 なんとなく、小腹が空いたので、ファーストフード店で期間限定という割高商品を注文して、店の2階で食している時に、外を眺めていると、さっきの少女が目に入った。
 そして、彼女の方を向いて、話しているチャラ男の二人組みにも、すぐ気がついた。
 暇を弄ばせていた僕は、なんとなく彼らの声をアフレコして遊んでいたら、本物のモンスターが出現したのだ。その驚きといったら、もう―――表現できない!?
 ちなみに彼らの会話は、『CV僕』の想像の会話だったから、本当はナンパじゃなくて、ただの知り合いだったのかもしれない。
 彼らはその後、どうしたかと言うと、少女はあんなに迷惑そうだったチャラ男に笑顔でついて行っていた。つり橋効果なのかも知れないが、元々知り合いだった可能性を祈るばかりだ。
 

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