アンリミテッドペイン
犯人 その名前は?
PCのディスプレイに表示される佳那の個人情報。
頭が追いつかない。いったい、誰がどうやって?
俺はハッとした。混乱してるのは俺なんかよりも当事者である佳そう那の方だ。
俺は彼女の様子を伺う。
しかし、佳那は平然としていた。それどころか・・・・・・
「さて、まずは作戦通りといったところでしょうかね」
「さ、作戦?お前、こうなると予想していたのか?」
「予想?いいえ違います。予想ではありません。こうなるように企んでいただけですよ」
彼女は依然として、平然を保っている。むしろ、俺の方が頭がおかしくなりそうだ。
「城一郎さん、貴方も察しているようですが、犯人はクラスメイトの誰かです」
佳那は断定する。確かに、俺も、その可能性に行き着いてはいたけれども―――
「いや、お前に言ってなかったが、実は―――
俺のクラスで、俺が『アンリミテッドペイン』のプレイヤーだとか、アバターネームである『痛み傷』なんて知ってる奴はいないんだ」
「なぜです?」
「なぜって・・・・・・」
「それは城一郎さんがクラスの誰にも話してないからですか?」
「う、うん」と俺は狼狽しながら返事を返す。
俺が誰にも話していない=誰も知らない。
俺にとっては、それが全てであり、それが答えで、それが絶対の真理だ。
だから、今までクラスメイトを疑いながらも、どこかで信じている部分があった。
それを簡単に「なぜ」という言葉で返され、言葉を失っている。
そんなに薄弱な理論だったと言うことに自分自身が驚いていたのだ。
そんな俺に佳那は
「城一郎さんが、級友を信じたい気持ちはわかります。でも、私はあの中に犯人がいる。そう確信しています」
断定口調でそう言い放った。
「事実、このサイトに表示されている私の写真は、今日の昼に撮影されているものですよ」
佳那の付け加えられた言葉に、俺はPCを見直す。
「・・・・・・いや、『いつ撮影されたのか?』なんて、これじゃわからないじゃないか?」
PCに表示された佳那の画像。確かに場所は教室。時間は休憩時間・・・・・・いや、授業前や放課後の可能性もある。それに今日なんて、何処を見たところで―――
「何処を見た所でわかりようがない。城一郎さんは、そう考えてますね」
俺の思考を先回りしたかのような佳那の言葉に、俺は素直に頷いた。
「しかし、画像、写真などと言っても、タブレット端末を利用して撮影したものを、そのままインターネット上にアップロードしたデータに過ぎません。データである以上、記録の解析は可能なんですよ」
佳那はPCのキーボードを叩き始める。すると―――
「なんだこりゃ?」
ディスプレイに表示されたのは、数字やアルファベットの羅列。
「なんかのプログラミングか、何か?」
「いいえ、違います」と佳那は言う。ため息交じりだったのは気のせいだろうか?
「ここに書かれているのは、撮影されたタブレット端末の機種情報や、撮影された時間。あとは位置情報ですね」
「え?位置情報って、撮影した場所まで特性できるの?」
「はい。GPSの機能です。普通はブロックするものですが、犯人のタブレット端末は、ブロックしていないみたいですね」
え?そんなに簡単に?いろいろ、わかっちゃうものなの?
怖っ!?
「この情報だと、本日のお昼休み。私たちが共に食事を楽しんでいた時間です」
「いや、でも、お昼休みだったわけで、他のクラスの奴もいたんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。けど・・・・・・」
再び佳那の指がキーボードの上を走る。
ディスプレイの画面が別の画像に切り替わる。
その画像に写っているのは、俺と佳那が食事を取っている画像。
間違いなく、今日の昼休みの写真。
「これは?」
「城一郎さんは、昼食中に気になりませんでしたか?『カッシャ カッシャ』とシャッタの音」
「・・・・・・あれはお前が撮らせていたのか?」
「えぇ。城一郎さんの個人情報が書き込まれたサイト。アップロードされた城一郎さんの画像から犯人のタブレット端末の機種まで特定できていました。そのタブレット端末は少し古いタイプなので特定は楽でした。調べてみるとクラスに所有者が3人。なので―――
クラスのみなさんに協力いただいて、その3人を集中的に撮影していただいのです」
その佳那の発言。今日一番の驚きだった。
それはクラスメイトたちに盗撮を指示したと言う事に他ならない。
一体、どうすれば、転校したばかりの彼女がクラスメイトたちに、そんな指示が可能なのか???
どんな人心把握術を使えば可能だというのだろうか?。
「みなさんが私達を撮影して見えるように振舞ってくださったおかげで、犯人も私を撮影しやすい状況だと勘違いしていたんでしょうね。まさか自分が監視されているなんて夢にも思わず・・・・・・
おかげで、見つかりましたよ。サイトにアップロードされた私の画像。この画像を撮影した時間に私を撮影した人物が」
「もう、すでに犯人がわかっているのは?」
「ええ」と佳那は肯定する。
「・・・・・・」
「どうしますか?」
「どう・・・・・・って?」
「これから私が名前を挙げる人物は、間違いなく犯人です。
クラスメイトに犯人がいないと考えていた城一郎さんには、辛い真実になりますが・・・・・・
本当に犯人を知りたいですか?」
その言葉に俺は考えた。いや、考えさせられた。
俺は、どうしたいのだろうか?
おそらく、俺は、その人物から怨まれている。怨まれているから、個人情報を流失なんて真似をされたんだ。
その人物を知って、俺は・・・・・・
どうするんだ?
「答えは・・・・・・出た。
佳那。犯人を教えてくれ」
例え、誰が犯人であれ、見て見ぬ振りなんてできない。
怨まれているなら、俺に落ち度があったと言うなら・・・・・・
『どうするんだ?』
そりゃ、どうにか解決させないといけないに決まっている!?
そして―――
佳那は、あっさりと犯人の名前を言った。
「春日あかり」
頭が追いつかない。いったい、誰がどうやって?
俺はハッとした。混乱してるのは俺なんかよりも当事者である佳そう那の方だ。
俺は彼女の様子を伺う。
しかし、佳那は平然としていた。それどころか・・・・・・
「さて、まずは作戦通りといったところでしょうかね」
「さ、作戦?お前、こうなると予想していたのか?」
「予想?いいえ違います。予想ではありません。こうなるように企んでいただけですよ」
彼女は依然として、平然を保っている。むしろ、俺の方が頭がおかしくなりそうだ。
「城一郎さん、貴方も察しているようですが、犯人はクラスメイトの誰かです」
佳那は断定する。確かに、俺も、その可能性に行き着いてはいたけれども―――
「いや、お前に言ってなかったが、実は―――
俺のクラスで、俺が『アンリミテッドペイン』のプレイヤーだとか、アバターネームである『痛み傷』なんて知ってる奴はいないんだ」
「なぜです?」
「なぜって・・・・・・」
「それは城一郎さんがクラスの誰にも話してないからですか?」
「う、うん」と俺は狼狽しながら返事を返す。
俺が誰にも話していない=誰も知らない。
俺にとっては、それが全てであり、それが答えで、それが絶対の真理だ。
だから、今までクラスメイトを疑いながらも、どこかで信じている部分があった。
それを簡単に「なぜ」という言葉で返され、言葉を失っている。
そんなに薄弱な理論だったと言うことに自分自身が驚いていたのだ。
そんな俺に佳那は
「城一郎さんが、級友を信じたい気持ちはわかります。でも、私はあの中に犯人がいる。そう確信しています」
断定口調でそう言い放った。
「事実、このサイトに表示されている私の写真は、今日の昼に撮影されているものですよ」
佳那の付け加えられた言葉に、俺はPCを見直す。
「・・・・・・いや、『いつ撮影されたのか?』なんて、これじゃわからないじゃないか?」
PCに表示された佳那の画像。確かに場所は教室。時間は休憩時間・・・・・・いや、授業前や放課後の可能性もある。それに今日なんて、何処を見たところで―――
「何処を見た所でわかりようがない。城一郎さんは、そう考えてますね」
俺の思考を先回りしたかのような佳那の言葉に、俺は素直に頷いた。
「しかし、画像、写真などと言っても、タブレット端末を利用して撮影したものを、そのままインターネット上にアップロードしたデータに過ぎません。データである以上、記録の解析は可能なんですよ」
佳那はPCのキーボードを叩き始める。すると―――
「なんだこりゃ?」
ディスプレイに表示されたのは、数字やアルファベットの羅列。
「なんかのプログラミングか、何か?」
「いいえ、違います」と佳那は言う。ため息交じりだったのは気のせいだろうか?
「ここに書かれているのは、撮影されたタブレット端末の機種情報や、撮影された時間。あとは位置情報ですね」
「え?位置情報って、撮影した場所まで特性できるの?」
「はい。GPSの機能です。普通はブロックするものですが、犯人のタブレット端末は、ブロックしていないみたいですね」
え?そんなに簡単に?いろいろ、わかっちゃうものなの?
怖っ!?
「この情報だと、本日のお昼休み。私たちが共に食事を楽しんでいた時間です」
「いや、でも、お昼休みだったわけで、他のクラスの奴もいたんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。けど・・・・・・」
再び佳那の指がキーボードの上を走る。
ディスプレイの画面が別の画像に切り替わる。
その画像に写っているのは、俺と佳那が食事を取っている画像。
間違いなく、今日の昼休みの写真。
「これは?」
「城一郎さんは、昼食中に気になりませんでしたか?『カッシャ カッシャ』とシャッタの音」
「・・・・・・あれはお前が撮らせていたのか?」
「えぇ。城一郎さんの個人情報が書き込まれたサイト。アップロードされた城一郎さんの画像から犯人のタブレット端末の機種まで特定できていました。そのタブレット端末は少し古いタイプなので特定は楽でした。調べてみるとクラスに所有者が3人。なので―――
クラスのみなさんに協力いただいて、その3人を集中的に撮影していただいのです」
その佳那の発言。今日一番の驚きだった。
それはクラスメイトたちに盗撮を指示したと言う事に他ならない。
一体、どうすれば、転校したばかりの彼女がクラスメイトたちに、そんな指示が可能なのか???
どんな人心把握術を使えば可能だというのだろうか?。
「みなさんが私達を撮影して見えるように振舞ってくださったおかげで、犯人も私を撮影しやすい状況だと勘違いしていたんでしょうね。まさか自分が監視されているなんて夢にも思わず・・・・・・
おかげで、見つかりましたよ。サイトにアップロードされた私の画像。この画像を撮影した時間に私を撮影した人物が」
「もう、すでに犯人がわかっているのは?」
「ええ」と佳那は肯定する。
「・・・・・・」
「どうしますか?」
「どう・・・・・・って?」
「これから私が名前を挙げる人物は、間違いなく犯人です。
クラスメイトに犯人がいないと考えていた城一郎さんには、辛い真実になりますが・・・・・・
本当に犯人を知りたいですか?」
その言葉に俺は考えた。いや、考えさせられた。
俺は、どうしたいのだろうか?
おそらく、俺は、その人物から怨まれている。怨まれているから、個人情報を流失なんて真似をされたんだ。
その人物を知って、俺は・・・・・・
どうするんだ?
「答えは・・・・・・出た。
佳那。犯人を教えてくれ」
例え、誰が犯人であれ、見て見ぬ振りなんてできない。
怨まれているなら、俺に落ち度があったと言うなら・・・・・・
『どうするんだ?』
そりゃ、どうにか解決させないといけないに決まっている!?
そして―――
佳那は、あっさりと犯人の名前を言った。
「春日あかり」
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