アンリミテッドペイン
日常的な放課後
家の戸締りを確認は―――OK
学校へ向かうと、家の敷地から一歩踏み出そうとしたが、寸前で踏みとどまる。
俺の目前、公道を歩く女の子がいた。
同じ学校の制服。同じくクラスの少女。幼馴染。
彼女の名前は春日あかり。
「よう、あかり。おはよう」
と俺はできるえだけ、フランクに話しかける。
しかし、彼女は俺を無視して歩みを進めていった。
「あはっはは・・・・・・」
俺の口から乾いた笑いが漏れる。
一瞬、彼女が振り返る。
その視線は冷たさを内包した射抜くような視線。
俺に対する多くの不満を、視線だけで表現しているかのようだった。
俺は、彼女の姿が見えなくなるまで、その場から動けなかった。
いつからだろう?彼女に嫌われるようになったのは?
彼女の家は俺の家から数件先。幼い頃は、普通に遊んでいた。
当時は、一緒にいるのが当たり前の間柄だったはず・・・・・・。
今となっては、蛇蠍の如く嫌われている。
彼女が今みたいな態度をするのは俺に対してだけだ。
普段は明るく、同級生にも面倒見がいい。加えて、成績優秀で容姿端正ときたもんだ。
間違いなく、彼女は違い現実に生きている。現実社会で生を全うしている。
俺とは違う・・・・・・。
だから、彼女は、俺みたいな『現実にリアルティを感じない』世代の代表格が嫌いなんだろう。
ぶっちゃけ、俺はあかりの事が好きだったのだけどなぁ。
 そんな、気分がダウナー状態になって登校したところで、学校についてクラスに入れば春日あかりは、そこにいる。
当然、クラスメイトだからだ。
もう、俺には見せない笑顔を振りまいて、そこに存在している。
やがて、学校中に鐘の音が鳴り響く。
担任が教室に入ればホームルームの開始となる。
妙に立てつけよく、自動ドアのように滑らかに、無音で開くスライド式のドア。
そこから担任の小淵先生が入ってきた。
普段とは違い、一瞬のざわめきが起きる。
小渕先生の横に、見慣れぬ少女が立っていたからだ。
彼女は先生に促されるまま、前にでて自己紹介を始めた。
「始めまして。向里佳那です。分からない事が多くあると思いますが、よろしくお願いします」
どうやら、彼女は転校生のようだ。
淡々した口調での自己紹介。それだけで内包している精彩さがわかる。
女子にしては背が高く、背筋も伸びていてスタイルがいい。
新しい自分の席へ向かって歩く動作ですら、凛々しさを感じてしまう。
一瞬、彼女を目が合う。
その鋭い視線から、朝の出来事を連想してしまい、俺は逃げるように目を逸らしてしまった。
休み時間。
向里佳那が質問攻めにあっているのは、転校生の通過儀礼なのだろう。
いつの時代だって、それは変わらない。
しかし、女子生徒に混じって男子生徒が混じっているのは、やはり彼女が鍾美な容姿の持ち主だからかもしれない。
それを横目に、俺は机に伏せる。
 やはり、睡眠時間が足りていない。
話題の転校生よりも、睡眠欲が優っている状態だ。
そのまま、ゆっくりと意識をフェードアウトさせて・・・・・・
なんだ? 誰か、俺の正面に立っている気配を感じる。
次の授業の先生か?
おいおい。いつから、休み時間に睡眠で休むのを禁止したんだ?
俺は顔を上げ、正面の人物を見る。
その人物は、転校生である向里佳那だった。
「何か、用事でもあるのか?」
「そうね。放課後は空いてます?」
一瞬、考えるも
「・・・・・・いや、空いてない」
と答える。
「そう、では放課後に学校の案内を頼みますね」
反射的に「おい」と声を荒げてしまった。
気が付くとクラス中の生徒は、俺と向里佳那の2人に注目している。
「クソッ」と口の中で小さく悪態をつき、勢いよく椅子に座る。
そのまま頭を伏せて眠りについた。
そして、放課後。
無視を決め込んで帰ろうと算段するも、終業の鐘と共に彼女は俺の正面にいた。
「さぁ行きましょうか?霞くん?」
当然ながら、俺は自己紹介した覚えはない。
普通に考えれば、他のクラスメイトが教えた、ということなのだろうが・・・・・・
どうやら、それ以外の選択肢に答えがあるのだろう。
彼女の表情に意味深な笑みが浮かんでいる。
「ここが理科室で、次が実験室。この反対側に見えるのが社会科教室だ」
場所は説明の通り特別教室棟。何事もなく、普通に学校案内を転校生にしていた。
「まさか、本当に案内してくれるとは思ってもみませんでした」
「ふ~ん、じゃお前の目的ってなんだ?」
俺と向里佳那は階段を登りながら話す。
場所は学校とは言え、放課後の人気の少ない時間帯。
理系の部活連中をすれ違う可能性はあるが・・・・・・
例え、彼女の目的が何であれ、学校で、それもリアルの学校で戦闘を行う事態にはならないだろう。
そう思っていた。俺はそんな甘い考えをしていた。
彼女はまるでスキップでもするかのように階段を上がっていく。
一歩、一歩跳ねるような動き。彼女は俺よりも先に階段を上がり終える。
学校案内という使命を受けた手前、彼女に先頭を譲るわけにはいかない。
俺も彼女に追いつこうとスピードを上げて登ろうとする。
しかし、登れなかった。
なぜなら、階段の上で振り向いた彼女が
蹴撃を繰り出してきたからだ。
学校へ向かうと、家の敷地から一歩踏み出そうとしたが、寸前で踏みとどまる。
俺の目前、公道を歩く女の子がいた。
同じ学校の制服。同じくクラスの少女。幼馴染。
彼女の名前は春日あかり。
「よう、あかり。おはよう」
と俺はできるえだけ、フランクに話しかける。
しかし、彼女は俺を無視して歩みを進めていった。
「あはっはは・・・・・・」
俺の口から乾いた笑いが漏れる。
一瞬、彼女が振り返る。
その視線は冷たさを内包した射抜くような視線。
俺に対する多くの不満を、視線だけで表現しているかのようだった。
俺は、彼女の姿が見えなくなるまで、その場から動けなかった。
いつからだろう?彼女に嫌われるようになったのは?
彼女の家は俺の家から数件先。幼い頃は、普通に遊んでいた。
当時は、一緒にいるのが当たり前の間柄だったはず・・・・・・。
今となっては、蛇蠍の如く嫌われている。
彼女が今みたいな態度をするのは俺に対してだけだ。
普段は明るく、同級生にも面倒見がいい。加えて、成績優秀で容姿端正ときたもんだ。
間違いなく、彼女は違い現実に生きている。現実社会で生を全うしている。
俺とは違う・・・・・・。
だから、彼女は、俺みたいな『現実にリアルティを感じない』世代の代表格が嫌いなんだろう。
ぶっちゃけ、俺はあかりの事が好きだったのだけどなぁ。
 そんな、気分がダウナー状態になって登校したところで、学校についてクラスに入れば春日あかりは、そこにいる。
当然、クラスメイトだからだ。
もう、俺には見せない笑顔を振りまいて、そこに存在している。
やがて、学校中に鐘の音が鳴り響く。
担任が教室に入ればホームルームの開始となる。
妙に立てつけよく、自動ドアのように滑らかに、無音で開くスライド式のドア。
そこから担任の小淵先生が入ってきた。
普段とは違い、一瞬のざわめきが起きる。
小渕先生の横に、見慣れぬ少女が立っていたからだ。
彼女は先生に促されるまま、前にでて自己紹介を始めた。
「始めまして。向里佳那です。分からない事が多くあると思いますが、よろしくお願いします」
どうやら、彼女は転校生のようだ。
淡々した口調での自己紹介。それだけで内包している精彩さがわかる。
女子にしては背が高く、背筋も伸びていてスタイルがいい。
新しい自分の席へ向かって歩く動作ですら、凛々しさを感じてしまう。
一瞬、彼女を目が合う。
その鋭い視線から、朝の出来事を連想してしまい、俺は逃げるように目を逸らしてしまった。
休み時間。
向里佳那が質問攻めにあっているのは、転校生の通過儀礼なのだろう。
いつの時代だって、それは変わらない。
しかし、女子生徒に混じって男子生徒が混じっているのは、やはり彼女が鍾美な容姿の持ち主だからかもしれない。
それを横目に、俺は机に伏せる。
 やはり、睡眠時間が足りていない。
話題の転校生よりも、睡眠欲が優っている状態だ。
そのまま、ゆっくりと意識をフェードアウトさせて・・・・・・
なんだ? 誰か、俺の正面に立っている気配を感じる。
次の授業の先生か?
おいおい。いつから、休み時間に睡眠で休むのを禁止したんだ?
俺は顔を上げ、正面の人物を見る。
その人物は、転校生である向里佳那だった。
「何か、用事でもあるのか?」
「そうね。放課後は空いてます?」
一瞬、考えるも
「・・・・・・いや、空いてない」
と答える。
「そう、では放課後に学校の案内を頼みますね」
反射的に「おい」と声を荒げてしまった。
気が付くとクラス中の生徒は、俺と向里佳那の2人に注目している。
「クソッ」と口の中で小さく悪態をつき、勢いよく椅子に座る。
そのまま頭を伏せて眠りについた。
そして、放課後。
無視を決め込んで帰ろうと算段するも、終業の鐘と共に彼女は俺の正面にいた。
「さぁ行きましょうか?霞くん?」
当然ながら、俺は自己紹介した覚えはない。
普通に考えれば、他のクラスメイトが教えた、ということなのだろうが・・・・・・
どうやら、それ以外の選択肢に答えがあるのだろう。
彼女の表情に意味深な笑みが浮かんでいる。
「ここが理科室で、次が実験室。この反対側に見えるのが社会科教室だ」
場所は説明の通り特別教室棟。何事もなく、普通に学校案内を転校生にしていた。
「まさか、本当に案内してくれるとは思ってもみませんでした」
「ふ~ん、じゃお前の目的ってなんだ?」
俺と向里佳那は階段を登りながら話す。
場所は学校とは言え、放課後の人気の少ない時間帯。
理系の部活連中をすれ違う可能性はあるが・・・・・・
例え、彼女の目的が何であれ、学校で、それもリアルの学校で戦闘を行う事態にはならないだろう。
そう思っていた。俺はそんな甘い考えをしていた。
彼女はまるでスキップでもするかのように階段を上がっていく。
一歩、一歩跳ねるような動き。彼女は俺よりも先に階段を上がり終える。
学校案内という使命を受けた手前、彼女に先頭を譲るわけにはいかない。
俺も彼女に追いつこうとスピードを上げて登ろうとする。
しかし、登れなかった。
なぜなら、階段の上で振り向いた彼女が
蹴撃を繰り出してきたからだ。
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