連奏恋歌〜歌われぬ原初のバラード〜

川島晴斗

/設定/:妖精の魔法管理

 東大陸の地中数百メートルに、広い広い穴が開いており、白い壁で覆われている。
 一つの大掛かりな黒い機械以外には何も無いこの場所で、私はいつも寝転がっていた。
 妖精らしい半透明の翼をうねらせて枕にし、頭の後ろに手をやって足を組み、のんびりと何も無い天井を見ている

 私はもう60年近くこうしているが、特に退屈することはない。
 私はこうしているだけ、いや、こうしてなくても、常に地上のすべての人間の様子が頭の中に入ってくる。
 通常、そんなことがあれば頭が容量オーバーになってしまうが、私はそうならないように作られているから大丈夫。
 100年おきに交代で妖精の仕事をするから、あと40年もすれば別の仕事をあてがわれるのは必至だけど、なんとかなるだろうと楽観視している。
 今の仕事だって、人間が魔力を使う際に私が了承してあげるだけだし、厳しい環境とは言えない。
 ただ、いつでもどこでも魔法が使えると思ってたり、汚い人間とかの魔法は制限掛けたり、使えなくしたりしてるけどね。

 私からすれば、魔法が使えることを感謝しろよこの豚ども、といった感じだ。
 魔法だの超能力だの、物理現象としておかしい力が使える世界は数多くあれど、魔法が使えるから偉いだの凄いだの、魔法が使える人間が凄いんじゃない。
 魔法が凄いんだ。
 何を矮小な人間が調子に乗ってんの?はぁ?と、妖精さんは思うわけですよ。


 まぁそんな人間も2億人居れば面白いヒューマンドラマがあるわけで、特にヤララン・シュテルロードなんて人間は見ていて面白い。
 なんか知らないけど、いつの間にか善律司神様の作ったあの装置まで辿り着いた訳だし、なに? アレを改竄しようとか?
 よくやるよね、ホント。
 人間の意志っていうのは気高い人は気高いんだわこれが。
 そんなわけでちょっと彼には魔法ボーナスしたりしてるけど、魔法に対して密やかに感謝してる情もあるみたいだからボーナスでも無いよ、うん。

 そんなわけで、今日も魔法使わせてやるよ、人間共。
 あー、早く他の妖精とお茶会とかしたいなぁ〜……。



 続く?

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