連奏恋歌〜歌われぬ原初のバラード〜
/139/:告白
「ヤラランッ!!」
私は急ぎ、机に向かっている彼の元へ向かった。
声を掛けられてビクリとしながらも、私の声の張りように事態が重いと思ったのか、彼は挙動不審になってなかった。
彼の机の前に立って、私は改めてヤラランの顔を見つめた。
「……なんだよ? 大声で呼ぶなんて、どうしたんだ?」
「私……私は……」
ここまで来て、言葉に詰まる。
――うううっ、おのれぇえええ!!!
――勇気を出すんだぁああああああ!!!!
「私はっ! ヤラランが好きなんですっ!! 付き合ってください!!」
思いっきり叫んで、自分の想いを打ち明かした。
暫く反響する私の声、ヤラランはキョトンとしてしまい動かない。
「……え?」
言いながら、ヤラランが首を左に90°曲げました。
私もつられてヤラランの見る方向を見る。
そこには、マグカップを持ったまま口を開けて固まったルガーダスさんが居ました。
点になった目で私たちを見たままピクリとも動かない。
…………。
……。
「――貴様ぁぁあああああああ!!!!」
気付けば私は、ルガーダスさんの襟首を掴んで叫んでいました。
なんっっでこのタイミングでアンタがいるんですかぁああ!!!
「い、いやぁ、スマン……つーか告白とかほら、場所弁えるだろ? 俺が此処に居たっておかしくな――フブッ!?!?」
「黙りなさいっ!貴方のせいでっ!! 私の6年の想いが無駄になったかもしれないんですよぉおおおおお!!!」
「いでっ!? ちょっ、暴力は――ギャァアアア!!」
おっさんをただひたすら殴りました。
もうこうするしか私には心の傷を癒す術が無いですから!
アアァァァァアアア!!!!!
「えーと、フォルシーナとルガーダスは恋人で、でも、フォルシーナが俺に告白? どういう事だ……?」
そんな中、ヤラランだけが1人で疑問符を浮かべて遊んでいましたとさ。
「つまり、ルガーダスとフォルシーナは俺を振り向かせる作戦会議をしていただけで、疚しいことは何もないんだな?」
「……はい。おっしゃる通りです」
「因みに、フォルシーナがヤラランから離れ、本当に大事な存在だったと気付かせる目的もあったんだぜ?」
「……へー」
俺は自分だけ椅子に座り、床にはフォルシーナとルガーダスさんが並んで座っている。
フォルシーナが魔法無しの普通の力で殴ったからか、ルガーダスは大したダメージもなく、殴打の跡もなく済んでいる。
無事だということで、2人がいろんな供述を始めたからこの体勢で聞くことになったわけだが……。
「……俺を射止めるための作戦とか聞かされると、なんだかこそばゆいな……」
「……うぅ」
俺も少し胸が高揚するが、フォルシーナは真っ赤になった顔を下に向けていた。
俺もそっぽを向きたい心境だが、俺まで照れてたらルガーダスさんが調子にのることだろうから耐える。
「……とりあえず、お前達の言い分はよくわかったよ。フォルシーナ、後はお前と話したい」
「は、はぁ……」
「来い……ルガーダスさんは付いて来んなよ?」
「わーったよ。1人寂しく研究してるわ」
「…………」
俺はフォルシーナの手を掴み、彼女が立ち上がると先立って寝室を後にした。
それから行き場に困ったが、いろんな話をしても叫んでも大丈夫なのは、ホールみたいな最下層しかないとして、俺達は階段を下って善悪調整装置のあるだだっ広い所にやってきた。
真ん中の所まで歩くと彼女の手を離し、静かに腰を下ろす。
俺が座ると、彼女も腰を下ろした。
「……はー。なんっつえばいいんだろうな」
「……すみませんね。私が告白しなければ、悩まなかったのに……」
「……いや、いいんだよ。お前はいつも、我慢してくれてたからな……。言ってくれて、その……素直に嬉しいよ……」
「え……あの……ありがとう、ございます……」
「…………」
「…………」
お互いに顔を見合わせることもできず、黙ってしまう。
心の動機がこんなに激しいと思ったのは初めてだった。
ドクンドクンと脈打つ音が頭に反響し、頭のてっぺんまで熱くなる。
いつまでも続く静寂はただ甘く、お互いにそれを嫌ともせずに黙り続けた。
チラリと相手を見てはそっぽを向き、また顔が熱くなる。
たまたま目が合うと、急いで目を逸らしてしまう。
このままいたずらに時間を使ってもいい……。
だけど……。
もっと、進展をしないと……。
「……フォルシーナ」
そっと、彼女の手の上に俺の手を乗せた。
とても研究で疲れ、ペンを握り続けたとは思えぬ華奢で、あったかい手。
優しく握ると、彼女は手のひらを返し、握り返してくる。
言葉はない。
繋がった手だけでも、十分に想いは届いてるはずだからーー。
「……ヤララン、貴方は――」
ポツリと、彼女が呟いた。
泣きそうな声で、暖かい声で。
俺は相槌も返さずに、彼女の言葉を待った。
「――私の事が、好きだったんですね……」
熱を帯びた甘い声に、俺は何も言うことはなかった。
優しく微笑んで、そっと彼女を抱きすくめた。
何も考えることなく、自分の腕をフォルシーナの腰に回し、彼女の頬と自分の頬が擦り合うほど近くにある。
多分、初めてだろう――。
「……嬉しい」
俺が、自分からフォルシーナを抱きしめたのは――。
私は急ぎ、机に向かっている彼の元へ向かった。
声を掛けられてビクリとしながらも、私の声の張りように事態が重いと思ったのか、彼は挙動不審になってなかった。
彼の机の前に立って、私は改めてヤラランの顔を見つめた。
「……なんだよ? 大声で呼ぶなんて、どうしたんだ?」
「私……私は……」
ここまで来て、言葉に詰まる。
――うううっ、おのれぇえええ!!!
――勇気を出すんだぁああああああ!!!!
「私はっ! ヤラランが好きなんですっ!! 付き合ってください!!」
思いっきり叫んで、自分の想いを打ち明かした。
暫く反響する私の声、ヤラランはキョトンとしてしまい動かない。
「……え?」
言いながら、ヤラランが首を左に90°曲げました。
私もつられてヤラランの見る方向を見る。
そこには、マグカップを持ったまま口を開けて固まったルガーダスさんが居ました。
点になった目で私たちを見たままピクリとも動かない。
…………。
……。
「――貴様ぁぁあああああああ!!!!」
気付けば私は、ルガーダスさんの襟首を掴んで叫んでいました。
なんっっでこのタイミングでアンタがいるんですかぁああ!!!
「い、いやぁ、スマン……つーか告白とかほら、場所弁えるだろ? 俺が此処に居たっておかしくな――フブッ!?!?」
「黙りなさいっ!貴方のせいでっ!! 私の6年の想いが無駄になったかもしれないんですよぉおおおおお!!!」
「いでっ!? ちょっ、暴力は――ギャァアアア!!」
おっさんをただひたすら殴りました。
もうこうするしか私には心の傷を癒す術が無いですから!
アアァァァァアアア!!!!!
「えーと、フォルシーナとルガーダスは恋人で、でも、フォルシーナが俺に告白? どういう事だ……?」
そんな中、ヤラランだけが1人で疑問符を浮かべて遊んでいましたとさ。
「つまり、ルガーダスとフォルシーナは俺を振り向かせる作戦会議をしていただけで、疚しいことは何もないんだな?」
「……はい。おっしゃる通りです」
「因みに、フォルシーナがヤラランから離れ、本当に大事な存在だったと気付かせる目的もあったんだぜ?」
「……へー」
俺は自分だけ椅子に座り、床にはフォルシーナとルガーダスさんが並んで座っている。
フォルシーナが魔法無しの普通の力で殴ったからか、ルガーダスは大したダメージもなく、殴打の跡もなく済んでいる。
無事だということで、2人がいろんな供述を始めたからこの体勢で聞くことになったわけだが……。
「……俺を射止めるための作戦とか聞かされると、なんだかこそばゆいな……」
「……うぅ」
俺も少し胸が高揚するが、フォルシーナは真っ赤になった顔を下に向けていた。
俺もそっぽを向きたい心境だが、俺まで照れてたらルガーダスさんが調子にのることだろうから耐える。
「……とりあえず、お前達の言い分はよくわかったよ。フォルシーナ、後はお前と話したい」
「は、はぁ……」
「来い……ルガーダスさんは付いて来んなよ?」
「わーったよ。1人寂しく研究してるわ」
「…………」
俺はフォルシーナの手を掴み、彼女が立ち上がると先立って寝室を後にした。
それから行き場に困ったが、いろんな話をしても叫んでも大丈夫なのは、ホールみたいな最下層しかないとして、俺達は階段を下って善悪調整装置のあるだだっ広い所にやってきた。
真ん中の所まで歩くと彼女の手を離し、静かに腰を下ろす。
俺が座ると、彼女も腰を下ろした。
「……はー。なんっつえばいいんだろうな」
「……すみませんね。私が告白しなければ、悩まなかったのに……」
「……いや、いいんだよ。お前はいつも、我慢してくれてたからな……。言ってくれて、その……素直に嬉しいよ……」
「え……あの……ありがとう、ございます……」
「…………」
「…………」
お互いに顔を見合わせることもできず、黙ってしまう。
心の動機がこんなに激しいと思ったのは初めてだった。
ドクンドクンと脈打つ音が頭に反響し、頭のてっぺんまで熱くなる。
いつまでも続く静寂はただ甘く、お互いにそれを嫌ともせずに黙り続けた。
チラリと相手を見てはそっぽを向き、また顔が熱くなる。
たまたま目が合うと、急いで目を逸らしてしまう。
このままいたずらに時間を使ってもいい……。
だけど……。
もっと、進展をしないと……。
「……フォルシーナ」
そっと、彼女の手の上に俺の手を乗せた。
とても研究で疲れ、ペンを握り続けたとは思えぬ華奢で、あったかい手。
優しく握ると、彼女は手のひらを返し、握り返してくる。
言葉はない。
繋がった手だけでも、十分に想いは届いてるはずだからーー。
「……ヤララン、貴方は――」
ポツリと、彼女が呟いた。
泣きそうな声で、暖かい声で。
俺は相槌も返さずに、彼女の言葉を待った。
「――私の事が、好きだったんですね……」
熱を帯びた甘い声に、俺は何も言うことはなかった。
優しく微笑んで、そっと彼女を抱きすくめた。
何も考えることなく、自分の腕をフォルシーナの腰に回し、彼女の頬と自分の頬が擦り合うほど近くにある。
多分、初めてだろう――。
「……嬉しい」
俺が、自分からフォルシーナを抱きしめたのは――。
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