連奏恋歌〜歌われぬ原初のバラード〜
/60/:拒絶
全員が顔合わせをして、いくつかの自己紹介を見てると、太陽は空の真ん中に位置して全体的に光を送ってくれていた。
もう昼間になったらしいが、不思議と空腹ではなかった。
「それでは、私達4人は次の場所を目指します。この場では全員で協力して生活するように」
フォルシーナが全員に向かってそう指示を与える。
各々がはいとか了解と言って承諾した。
「もう次に向かう所は決まってるのか?」
「ここからすぐ西に街があったらしいです。歩いて1日ってとこですかね」
「はーん」
なんとなく訊いてみると、もう行く所も決めてあるようだ。
確かキィに地図を持たせたから、フォルシーナに渡ってそこから判断したのだろう。
歩いて1日、でもどうせこの4人なら飛ぶから早いんだろうなと思いながら空を仰いだ。
「では、行きましょうかねぇ……」
「お待ちくださいな」
フォルシーナが気怠そうに顎に指を当てて出発を告げるも止める声がある。
妙な外装のせいでなんだか全体的に青くなってしまったナルーだった。
「なんですか?」
「坊っちゃまも一緒に連れてってくださりませんか?」
「……メリスタスくんですか。えぇまぁ、私は本人さえ良ければ良いですがねぇ……」
フォルシーナが、チラリと俺に目配せした。
最終的な判断は俺に任せるということだろう。
……ふむ。
「失礼ですが、坊っちゃまはまだ未熟で青い部分が多い。危険であっても、世界を見れば成長するところもあるでしょう。【白魔法】が使える方も来てくださいましたし、お願いいたします」
「と、ナルーは言ってますけど……メリスタスくん、どうしますか?」
「…………」
メリスタスは眉を下げて、それは落胆するようにしていたが、同時に微笑んでいた。
俺は一瞬で察した。
メリスタスは、俺の心の内を読んでいる。
だって、俺が――連れて行く気がないのだから。
「……僕は残ります」
ポツリと、オレンジの髪を揺らして彼は呟いた。
その言葉に驚く者は、不思議と居なかった。
「僕みたいな足手纏いが行っても邪魔だし……それに、多分、ヤラランくんはダメって言うよね」
「ああ、ダメだ」
「…………」
その言葉を聞いて、メリスタスは安堵の息を吐いた。
俺たちのやりとりに、ナルーだけが真剣な目で見ていた。
「メリスタス……お前は善意が足りてねぇ。一見すれば善意の塊みたいな奴だけど、まだ心が幼い。強い弱いよりも、俺は精神力で決める。俺が言えた義理じゃねぇが、お前はまだ大人じゃねぇよ」
「……うん」
紛れも無い拒絶の言葉を口にする。
おそらく、メリスタスは傷付いただろう。
自身の後ろめたい部分をそのまま告げられて傷つかないわけがない。
だけれど、傷を負わなきゃ成長もしない。
そこから悩んで、それで成長できたなら、あるいは――。
「大人でなくてもいい。少年で構わない。お前が成長した時に、神楽器を渡そう。幼くても良い奴には変わらないし、白魔法の使い手だから……」
「……神楽器?」
「神楽器だ。フォルシーナに作ってもらった7つの楽器。4つの能力があって、4つとも人の為になるような力を持っている。そんな楽器なんだ。もしもお前がもっと大人になった時に、渡すと約束する」
「…………」
説明を付け加えると、メリスタスは首を横に振った。
小さく拳を握って、悔しそうに眉を顰めて……。
「僕は、そんなのもらえるような人じゃないよ……もっと良い人が、居るはず……」
「かも、な……。だけれど、その時はその時だ。こっちだって簡単な見立てで渡すつもりもない。お前には授けられるような男になってもらうことを期待しているさ」
「……うん」
半泣きになりながら、少年は頷いた。
強くなりたい意思からか、その目から涙は流れていなかった。
「――では、私の考え通りの面子で行くことになりそうですね」
ここでフォルシーナが口を挟んだ。
やれやれと言いたげに肩を持ち上げて息を吐き、全員の視線を集める。
「ヤララン、私、キィちゃん、カララルの4人で参りましょう。異論は無いですね?」
「ない」
「ねぇな」
「明主様と一緒であるならばなんでもっ!」
此処を出る3人は特に異論もなく、他の者たちも頷きを返す。
どうやら、話は決まったようであった。
「では、行きましょうか。皆さん、ここの事は任せましたよ」
俺が連れてきた5人が返事を返す。
よし……。
「行くぞお前ら! 【羽衣天韋】!」
俺に巻かれたマフラーがぐるぐる回って体を離れ、羽衣と化す。
あと2人これを持ったキィとフォルシーナも羽衣を展開した。
「カララルはフォルシーナに任せる!」
「ですよね……合点です」
「じゃあ飛ぶぞ!またな、メリスタス!ナルー!」
「またね! 頑張って〜っ!」
「またお会いしましょう」
カララルを1度連れて帰ってるフォルシーナに再度カララルを託し、メリスタスとナルーに別れを言って俺たちは飛び上がった。
次に向かうは西方、ゆっくり飛んでいっても今日中には着く所。
そこでは一体何が行われているのか――。
もう昼間になったらしいが、不思議と空腹ではなかった。
「それでは、私達4人は次の場所を目指します。この場では全員で協力して生活するように」
フォルシーナが全員に向かってそう指示を与える。
各々がはいとか了解と言って承諾した。
「もう次に向かう所は決まってるのか?」
「ここからすぐ西に街があったらしいです。歩いて1日ってとこですかね」
「はーん」
なんとなく訊いてみると、もう行く所も決めてあるようだ。
確かキィに地図を持たせたから、フォルシーナに渡ってそこから判断したのだろう。
歩いて1日、でもどうせこの4人なら飛ぶから早いんだろうなと思いながら空を仰いだ。
「では、行きましょうかねぇ……」
「お待ちくださいな」
フォルシーナが気怠そうに顎に指を当てて出発を告げるも止める声がある。
妙な外装のせいでなんだか全体的に青くなってしまったナルーだった。
「なんですか?」
「坊っちゃまも一緒に連れてってくださりませんか?」
「……メリスタスくんですか。えぇまぁ、私は本人さえ良ければ良いですがねぇ……」
フォルシーナが、チラリと俺に目配せした。
最終的な判断は俺に任せるということだろう。
……ふむ。
「失礼ですが、坊っちゃまはまだ未熟で青い部分が多い。危険であっても、世界を見れば成長するところもあるでしょう。【白魔法】が使える方も来てくださいましたし、お願いいたします」
「と、ナルーは言ってますけど……メリスタスくん、どうしますか?」
「…………」
メリスタスは眉を下げて、それは落胆するようにしていたが、同時に微笑んでいた。
俺は一瞬で察した。
メリスタスは、俺の心の内を読んでいる。
だって、俺が――連れて行く気がないのだから。
「……僕は残ります」
ポツリと、オレンジの髪を揺らして彼は呟いた。
その言葉に驚く者は、不思議と居なかった。
「僕みたいな足手纏いが行っても邪魔だし……それに、多分、ヤラランくんはダメって言うよね」
「ああ、ダメだ」
「…………」
その言葉を聞いて、メリスタスは安堵の息を吐いた。
俺たちのやりとりに、ナルーだけが真剣な目で見ていた。
「メリスタス……お前は善意が足りてねぇ。一見すれば善意の塊みたいな奴だけど、まだ心が幼い。強い弱いよりも、俺は精神力で決める。俺が言えた義理じゃねぇが、お前はまだ大人じゃねぇよ」
「……うん」
紛れも無い拒絶の言葉を口にする。
おそらく、メリスタスは傷付いただろう。
自身の後ろめたい部分をそのまま告げられて傷つかないわけがない。
だけれど、傷を負わなきゃ成長もしない。
そこから悩んで、それで成長できたなら、あるいは――。
「大人でなくてもいい。少年で構わない。お前が成長した時に、神楽器を渡そう。幼くても良い奴には変わらないし、白魔法の使い手だから……」
「……神楽器?」
「神楽器だ。フォルシーナに作ってもらった7つの楽器。4つの能力があって、4つとも人の為になるような力を持っている。そんな楽器なんだ。もしもお前がもっと大人になった時に、渡すと約束する」
「…………」
説明を付け加えると、メリスタスは首を横に振った。
小さく拳を握って、悔しそうに眉を顰めて……。
「僕は、そんなのもらえるような人じゃないよ……もっと良い人が、居るはず……」
「かも、な……。だけれど、その時はその時だ。こっちだって簡単な見立てで渡すつもりもない。お前には授けられるような男になってもらうことを期待しているさ」
「……うん」
半泣きになりながら、少年は頷いた。
強くなりたい意思からか、その目から涙は流れていなかった。
「――では、私の考え通りの面子で行くことになりそうですね」
ここでフォルシーナが口を挟んだ。
やれやれと言いたげに肩を持ち上げて息を吐き、全員の視線を集める。
「ヤララン、私、キィちゃん、カララルの4人で参りましょう。異論は無いですね?」
「ない」
「ねぇな」
「明主様と一緒であるならばなんでもっ!」
此処を出る3人は特に異論もなく、他の者たちも頷きを返す。
どうやら、話は決まったようであった。
「では、行きましょうか。皆さん、ここの事は任せましたよ」
俺が連れてきた5人が返事を返す。
よし……。
「行くぞお前ら! 【羽衣天韋】!」
俺に巻かれたマフラーがぐるぐる回って体を離れ、羽衣と化す。
あと2人これを持ったキィとフォルシーナも羽衣を展開した。
「カララルはフォルシーナに任せる!」
「ですよね……合点です」
「じゃあ飛ぶぞ!またな、メリスタス!ナルー!」
「またね! 頑張って〜っ!」
「またお会いしましょう」
カララルを1度連れて帰ってるフォルシーナに再度カララルを託し、メリスタスとナルーに別れを言って俺たちは飛び上がった。
次に向かうは西方、ゆっくり飛んでいっても今日中には着く所。
そこでは一体何が行われているのか――。
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