分解っ!
Ⅲ-1
王都平原ノ迷宮を攻略してから一カ月。
スカイは国王との謁見を果たしていた。
通常であれば精鋭護衛騎士団が周囲に付いているはずだが、
今回の謁見の際には護衛騎士団を下がらせておいた。
スカイが本気で国王を狙えば精鋭であろうとも殺害は確定事項になるからだ。
王都平原ノ迷宮を攻略する前の素体状態であれば騎士団もスカイを抑え込むことが可能だっただろう。
ギルド長に負けている程度では騎士団には手も足も出ないはずだからだ。
だが、攻略中に迷宮の魔素を取り込んだスカイはすでに騎士団を一瞬で壊滅する力を得ていた。
本人は迷宮の中に居すぎたせいで他人との力の差が分からなくなっているという一面もあるが。
国王も丁重に扱うべき存在へとスカイは昇格していたのである。
ちなみに謁見要請から一ヵ月もの間があったのは役所手続きの面倒くささから来ている。
その間、迷宮に入ることもせず、ただのんびりとフィナと生活していた。
特に定住する気もなかったために、家を買うことはなく、宿にずっと止まっていた。
「いい加減ベッドの汚れにこっちは慣れてきましたよ」
との皮肉さえ宿の女将から飛ぶほど仲も良く?なっている。
余談は置いておいて、今、スカイは国王にひれ伏すことなく突っ立っている。
「狸爺、さっさと身分を自由にしろ。ここまで動きづらいのは久しぶりだ」
「…短刀直入じゃな」
スカイの首にある首輪は今も王城内でスカイの首を締めようとしている。
ランクC研究の派生で生まれた奴隷首輪だ。
今こそこの首輪に対抗できるほどの魔力で押さえつけているものの、
一定以上の力を使う、または特定の場所に行くと首輪が首を締めにくるのだ。
そのため、スカイは全魔力を使用して弓を扱うことができない。
王都平原ノ迷宮では勝利をおさめたが、
スカイの弓術はしょせん小手技でしかなく、全力が出せない状態で迷宮攻略など理解不能の領域である。
「さっさと外せ。どうせ制御装置はテメーの椅子の脇にあるだろ」
「はぁ…よい。これが望みじゃな?」
パシュッと奴隷首輪が外れる。
「ああ。やっと地下王都にもいけるようになったか」
「もう地下王都を知っておるのか」
「何を言ってんだ?俺は辺境に行く直前まで情報収集してる。
地下王都計画が遂行されてるくらい予想できる」
「そうか…では地下王都の全貌を分かっておるか?」
「はっ。魔道技術による人体実験場。
領地は国有としているが、天才魔道研究者が実質牛耳ってるってところか?」
「ああ。そこでだ、スカイ=フリーダムよ、地下王都への許可証を授ける。一ヵ月ほど生活してこい」
「…それは命令か?」
「どうせ暇なのだろう?ちょうどよいではないか」
この狸め…!と毒づくスカイ。
「もちろん君の奴隷も連れて行け。幸運を祈るよ」
王城から帰ってきたスカイは一気に身支度を整えた。
「主人…私は何をすれば…」
「フィナは自分の荷物をまとめろ。
どうせ地下王都なんてまともな場所じゃないからな。さっさと引き上げるぞ」
「わ、分かった」
鬼気迫る勢いで身支度を済ませるスカイ。
二時間の間に地下王都対策を済ませたスカイとフィナは、
王国の使者に連れられて王都のある宿へと連れられる。
「ここが受付だ」
そう言って使者は立ち去った。
「ようこそ地下王都区手続き所へ。お二人の話はすでに聞いています」
奥から宿の女将らしき人が現れる。
「地下王都は実験場です。よってお二人にも魔道具を装着していただけます。
こちらは来客用ですので、出区時に返却をおねがいいたします」
渡されたのは眼鏡。淵やガラスに薄らと魔法陣が刻まれている。
「それが地下王都での身分証明書を兼ねているので、就寝や入浴時以外は着用してください」
意外と人道的そうだな…と思いながら眼鏡をかけるスカイ。
『装置が装着されました…システムを起動します』
一気にガラスが変質する。
『仮想現実融合を開始…完了しました。アプリを表示します』
視界にアイコンが並ぶ。
「…これは?」
「地下王都で生活する上で必要な機能ですよ。
説明は後にして、まずは入国しましょう。ついてきて下さい」
カウンターを開け、二階へと上る女将。
スカイとフィナがついていくと、最奥の廊下で女将が待っていた。
「こちらです」
廊下の壁を女将が押すと、壁は消えて機械的な部屋が現れる。
「中央の円にお乗りください」
スカイとフィナが中央の円に乗ると、女将は部屋のボタンを押す。
「いってらっしゃいませ」
ガコンと円は地下へと降りていく。
段々とスピードは早くなり、高速で地下へと降りていく。
体幹で言えば100mほどであろうか。
「深いな…」
と思ったスカイ。次の瞬間、ガラス張りの通路から見える光景に驚く。
超高層ビルの立つ未来都市とも言うべき姿がそこにはあった。
スカイは国王との謁見を果たしていた。
通常であれば精鋭護衛騎士団が周囲に付いているはずだが、
今回の謁見の際には護衛騎士団を下がらせておいた。
スカイが本気で国王を狙えば精鋭であろうとも殺害は確定事項になるからだ。
王都平原ノ迷宮を攻略する前の素体状態であれば騎士団もスカイを抑え込むことが可能だっただろう。
ギルド長に負けている程度では騎士団には手も足も出ないはずだからだ。
だが、攻略中に迷宮の魔素を取り込んだスカイはすでに騎士団を一瞬で壊滅する力を得ていた。
本人は迷宮の中に居すぎたせいで他人との力の差が分からなくなっているという一面もあるが。
国王も丁重に扱うべき存在へとスカイは昇格していたのである。
ちなみに謁見要請から一ヵ月もの間があったのは役所手続きの面倒くささから来ている。
その間、迷宮に入ることもせず、ただのんびりとフィナと生活していた。
特に定住する気もなかったために、家を買うことはなく、宿にずっと止まっていた。
「いい加減ベッドの汚れにこっちは慣れてきましたよ」
との皮肉さえ宿の女将から飛ぶほど仲も良く?なっている。
余談は置いておいて、今、スカイは国王にひれ伏すことなく突っ立っている。
「狸爺、さっさと身分を自由にしろ。ここまで動きづらいのは久しぶりだ」
「…短刀直入じゃな」
スカイの首にある首輪は今も王城内でスカイの首を締めようとしている。
ランクC研究の派生で生まれた奴隷首輪だ。
今こそこの首輪に対抗できるほどの魔力で押さえつけているものの、
一定以上の力を使う、または特定の場所に行くと首輪が首を締めにくるのだ。
そのため、スカイは全魔力を使用して弓を扱うことができない。
王都平原ノ迷宮では勝利をおさめたが、
スカイの弓術はしょせん小手技でしかなく、全力が出せない状態で迷宮攻略など理解不能の領域である。
「さっさと外せ。どうせ制御装置はテメーの椅子の脇にあるだろ」
「はぁ…よい。これが望みじゃな?」
パシュッと奴隷首輪が外れる。
「ああ。やっと地下王都にもいけるようになったか」
「もう地下王都を知っておるのか」
「何を言ってんだ?俺は辺境に行く直前まで情報収集してる。
地下王都計画が遂行されてるくらい予想できる」
「そうか…では地下王都の全貌を分かっておるか?」
「はっ。魔道技術による人体実験場。
領地は国有としているが、天才魔道研究者が実質牛耳ってるってところか?」
「ああ。そこでだ、スカイ=フリーダムよ、地下王都への許可証を授ける。一ヵ月ほど生活してこい」
「…それは命令か?」
「どうせ暇なのだろう?ちょうどよいではないか」
この狸め…!と毒づくスカイ。
「もちろん君の奴隷も連れて行け。幸運を祈るよ」
王城から帰ってきたスカイは一気に身支度を整えた。
「主人…私は何をすれば…」
「フィナは自分の荷物をまとめろ。
どうせ地下王都なんてまともな場所じゃないからな。さっさと引き上げるぞ」
「わ、分かった」
鬼気迫る勢いで身支度を済ませるスカイ。
二時間の間に地下王都対策を済ませたスカイとフィナは、
王国の使者に連れられて王都のある宿へと連れられる。
「ここが受付だ」
そう言って使者は立ち去った。
「ようこそ地下王都区手続き所へ。お二人の話はすでに聞いています」
奥から宿の女将らしき人が現れる。
「地下王都は実験場です。よってお二人にも魔道具を装着していただけます。
こちらは来客用ですので、出区時に返却をおねがいいたします」
渡されたのは眼鏡。淵やガラスに薄らと魔法陣が刻まれている。
「それが地下王都での身分証明書を兼ねているので、就寝や入浴時以外は着用してください」
意外と人道的そうだな…と思いながら眼鏡をかけるスカイ。
『装置が装着されました…システムを起動します』
一気にガラスが変質する。
『仮想現実融合を開始…完了しました。アプリを表示します』
視界にアイコンが並ぶ。
「…これは?」
「地下王都で生活する上で必要な機能ですよ。
説明は後にして、まずは入国しましょう。ついてきて下さい」
カウンターを開け、二階へと上る女将。
スカイとフィナがついていくと、最奥の廊下で女将が待っていた。
「こちらです」
廊下の壁を女将が押すと、壁は消えて機械的な部屋が現れる。
「中央の円にお乗りください」
スカイとフィナが中央の円に乗ると、女将は部屋のボタンを押す。
「いってらっしゃいませ」
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