異世界転移~俺は人生を異世界、この世界でやり直す~
魔術読本
家に着いた頃には周りの風景も緑色からオレンジ色へと姿を変えていた。なんともきれいな夕焼けだ。
「おかえり……ってアキ君その服どうしたの!?」
「あはは……ちょっとした崖から足を滑らせちゃいまして……」
「ティミー、本当?」
「う、うん」
勿論嘘である。家へ帰る途中、そう言っておこうとティミーとあらかじめ打ち合わせをしておいたのだ。銀髪の知らない男に魔術ぷっ放されてこうなったなどと言えば軽い騒ぎになりかねないからな。
「にしてもこれはすごくなぁい?」
そう言って訝しげに俺の顔を凝視するヘレナさん。
「まぁ、はい。ちょっと派手でしたからね……」
思わず目をそらしそうになるもグッとこらえる。一瞬何か悟られないかと不安になったが杞憂だったようで、しばらくすると目線をはずしてくれた。
「ふぅ、これからは気をつけてね」
「はい」
とりあえず面倒な事態は回避できたようだ。
「でもちょうどよかった。ベルナルドさんが子供の頃着ていた服をいろいろいただいたところだったの」
ベルナルドさんか……。うーん、サイズ合うのかな。え? べ、別に嫌とか言ってないよ?
「はいこれ」
そう言ってヘレナさんがタンスの中から取り出してきたのは麻でできたような簡素な服だった。ズボン、服、共に黄土色一色。なんというかほんと、ゲームの世界のド田舎な村の子供が着てそうな服だ。実際ここはたぶんド田舎なんだろうけどさ。他のものも見てみたがどれもそう変わるものではなかった。
「えと、ありがとうございます」
とりあえずお礼の言葉は述べて置く。
でもまぁ今までの服だとどうにも浮いてたからありがたいと言えばありがたい。欲を言えばヘレナさんの手編みとかならさらに嬉しかった。
「それで、そのボロボロになっちゃった服はどうする? 捨てとく?」
「そうですね、捨てときましょう」
どうやったって直すことはできなさそうだし、直ったとしてももあんまりこの世界で使いたくないし捨てておいてかまわないだろう。さらば、俺の上下各九百八十円の服たちよ!
「そうしとくね。ところでその重そうな本はどうしたの?」
今頃気づかれるとか、重いくせに影うっすいなぁ……などと思いながら適当な言葉をみつくろう。
「ああ、崖の下にありまして」
「へぇ……何が書いてあったの?」
「それが……」
「何も書いてないよ」
俺が言うよりも先にティミーが心なしかぶっきらぼうに口をはさんだ。
もしかしてまだちょっと怒ってらっしゃるのかな……でもそのふてくされた感じ、可愛くてアキヒサ的には星三つ!
「あら、ちょっと見せて」
大人しくヘレナさんにその本を差し出す。ティミーが見えないというんだから見えないんだろうけど一応確認だ。
「ほんと、何も書いてないわね」
「でしょ!?」
そう言うとティミーはフフーンと満足げに俺の方を見る。はいはい可愛いから分かったって。
しかし本当に見えないとは。だが俺にしか見えない文字ってなんかかっこいいな……。
「でも珍しいから持って帰りました」
「そっか」
とヘレナさんは俺に微笑みかける。ああ女神様! アーメン。と思わずかしずきそうな美しさでした。
「そうだ、お風呂わいてるからアキ君入る?」
「あるんですか!?」
「あらあら、こんな田舎でもそれくらいはちゃんとあるわよ」
そう言いヘレナさんは少し困ったように微笑む。
「アハハ、すみません」
「家の裏にお風呂小屋があるけど、使い方とか分かるかな? とりあえず一緒に入ろっか」
願ってもねえことです! 是非ともご一緒に! ブヒィィ。と言いたいところだったがここは我慢だ。紳士として断じて……ブヒィ……。
「えと、じゃあお言葉にあまえて」
俺の馬鹿があああぁぁぁあああ! いや、この機会をむげにするなど男ではない、紳士とかどうでもいい! そう、俺は漢だ! 本能の赴くままに生きてくれるわ! いやそもそも俺十歳だし? 歳の差にして二十以上はあるらしいからいいだろ! まぁ若さ的には十数歳くらいしか離れてない気がするけどな!
「それじゃあいこっか」
「ありがとうございます」
あくまで表には出さず、ポーカーフェイスだ。
やっぱりちゃんと風呂はあるんだな……と感慨深げ考えるのと同時に、意気揚々とヘレナさんと風呂小屋とやらへ向かった。ティミーといえば家で作ってる途中の料理が焦げないか見張っている。ゆくゆくはティミーととか考えてないからな?
家の裏側なのですぐに小屋へ着くと、中に入った。
風呂は田舎だから汚いなんてことはなくむしろ綺麗にされていて、ヒノキのような香りが立ち込めるそこは小さくはあるがどこかの高級旅館を彷彿させるものだった。そして肝心のヘレナさんと言うと……ちゃんと衣服を着ています。
「えっとここがこれでこうしたらお湯が出るの」
ヘレナさんの言う一緒にとは、ただお風呂を説明してくれるつもりだっただけらしい。まぁそうですよねー……。ありがちな展開おつかれさまでした。はい、俺が馬鹿でしたよ。
皆が寝た頃、一人、部屋の片隅でダウジェスからもらった本を見つめる
「読んでいくか……」
本を開くと初っ端から俺をイラつかせることが書かかれてあった。
「サルのようなアホでもわかる、魔術読本!……ってなんだよそれ!」
思わず全力で突っ込んでしまい、二人を起こしてしまったのではないかと不安になったがとりあえず大丈夫だったようだ。
でもこれ今思ったけど日本語なんだな。この世界の文字は日本語表記なのか? だとすれば嬉しいけどファンタジー感ぶち壊しだよな……。明日辺り本棚にある本を少し見させてもらおう。今はとにかくこれだ。
改めて本に目を落とす。
……しかしまぁなんだこのクソみたいな煽り文句。婉曲的に俺がアホと罵られた気がするな。著者は俺とあと猿に謝るべきだと思う。
「まぁいい……」
気を取り直して、俺は次のページをめくる。すると、『あなたの属性判断テスト!』と見開き1ページにでかでかとどこぞの恋愛心理テストみたいなフォントで印字されていた。
『次のページをめくってね』と書かれていたのでめくると、いきなり辺りが眩しい光に包まれ、目の前にはその魔術読本以外の全てがなくなっていた。
「ほうお主、たぎるのう。うん若い血がたぎるぞい!」
どこからともなく聞こえたのは能天気なおじいさんの声だった。
「あんたは誰だ?」
「わしか、わしはそうじゃのう、この本そのものじゃ!」
妙にテンションが高いのが鼻につくな……。
「なんじゃ~い! 熱く燃え上がる魔力のくせしてしけた面しおってぇ!」
「悪かったなしけた面で」
「まぁよいわ。所詮サルみたいなアホ野郎じゃからのう」
「あ!?」
てめぇか、最初の煽り文句書きやがったのは!
「そう怒るなよぅ……年寄りのたわむれじゃてに……。ゴホン、それではお主の属性を発表する」
悪ノリのするじじいだな。やれやれ、ようやく俺の属性が分かるらしい。
「ズバリ炎じゃ! シィユゥネクスタ~イムじゃぞい!」
そう告げ声が途切れると、辺りは元の静かな家の中に戻っていた。
テストって感じもしなかったがまぁ炎なんだな俺は。
その後十数ページ読むと本を閉じる。子どもの身体だし、あまり夜更かしするのもよくないだろうと思ったのだ。幸いな事に今のところ先ほどのようにふざけたページは無かった。いろいろ書かれていたがとらあえず簡単なところを抜粋してメモにでもまとめてみるか。
まず魔術とは。
人々は生まれながらにして魔力を有するらしく、その量に個人差はあれど訓練すれば誰でもその魔力を用いて魔術を扱えるようになるらしい。
魔術教本の言葉を引用すると、『それは時に刃となり時に盾となる』と書かれている。後にも記されてたけど、ようは魔術にもいろんな種類があるってことだな。実際、治癒魔術や攻撃魔術、防衛魔術、身体強化系魔術などなど、けっこういろいろ載ってるし。
次に属性について。これは魔力の性質という立ち位置になる。
大まかに4つの属性に分かれているらしく『炎・水・天・地』となる。術者はそれに応じて発動できる魔術が変わるという。
そしてそこから水属性なら水系統、氷系統、のように細分化していくのだが、とりあえずここでは俺の属性の炎について。
炎は特殊なものらしく、赤・青・紺、この三つで、細分化ではなくいわばクラス分けがされる。赤がもっとも使用者が多く王道だが、威力といえば『赤<青<<紺』のように強くなっていくので一番低い。努力さえすれば青なら誰でも到達できるらしいが、魔力消費は少なめですむので青を使えても赤を好んで使用する人もいるらしい。紺は威力がピカイチで高く、言わずもがな才能の問題といわれおり、使用者はごくわずかだという。黒、というのもあるらしいがそれは200年以上発見されていないとなっている。
そういや俺が出したやつって何色だっけなぁ……。青だった気もするけど……。紺色使えるようになれたらいいな。
まぁとりあえずここまでが通常魔術についてだろうか。まだまだ仕組みが細かいのだが、あまりにも長くなりそうなので今は割愛しておく。
とりあえず飛んで深層魔術。ダウジェスが言っていたように術者の身が危険に晒された時、自然と発動されるものだ。だがそれ以外の事も書かれていた。なにもこの深層魔術は二種類存在するらしい。
まず創造。俺が使ったやつだな。
これは術者が命の危険に晒された時、自らの身体が、本能的に判断して状況に応じた自分の持てる(操れる)パワー以上の魔術を出すというもの。身体にはかなりの負担をかけるので、使用後は激しい疲労感が襲い掛かりしばらく立ってもいられなくなり、場合によっては気を失うらしい。
ただまぁこれ、実はあくまで相手を即死させるために使う攻撃系魔術が選ばれた時であって、自己防衛系の魔術が選ばれた場合は身体も戦いの継続をちゃんと予測するので魔力消費は抑えられ、負担はあまりないらしい。
つまりは身体も相手を選ぶという事だな、即死させれる相手ならそうするし、無理なら自動的に防御してくれるものになるってことだから使い勝手は良さそうだ。
そしてもう一つが召喚。これが初見だな。
同じく、術者が命の危険に晒された時、幻獣(精霊や神の使いなど、諸説あるらしいがここではそう記すらしい)が召喚されて術者の事を守るというもの。術者自身、大して身体に負担がかかることはないが、呼び出される幻獣が必ずしも強いわけではなく、創造よりは危なっかしい。でも強かったら化けるよな?
ちなみにこの深層魔術というのは誰でも使えるわけじゃないらしい。前提条件としては魔術となんらかの接点を持つということが必要なようだ。ただそれ以外は書かれていない。つまるところ、まだ完全に解き明かされてはいないという事か……。
まぁこんなところだな。今日は少し残念な事もあったがやはり楽しい一日だった。さて明日は何をしようか、期待を胸に俺は布団に身体を委ねた。
「おかえり……ってアキ君その服どうしたの!?」
「あはは……ちょっとした崖から足を滑らせちゃいまして……」
「ティミー、本当?」
「う、うん」
勿論嘘である。家へ帰る途中、そう言っておこうとティミーとあらかじめ打ち合わせをしておいたのだ。銀髪の知らない男に魔術ぷっ放されてこうなったなどと言えば軽い騒ぎになりかねないからな。
「にしてもこれはすごくなぁい?」
そう言って訝しげに俺の顔を凝視するヘレナさん。
「まぁ、はい。ちょっと派手でしたからね……」
思わず目をそらしそうになるもグッとこらえる。一瞬何か悟られないかと不安になったが杞憂だったようで、しばらくすると目線をはずしてくれた。
「ふぅ、これからは気をつけてね」
「はい」
とりあえず面倒な事態は回避できたようだ。
「でもちょうどよかった。ベルナルドさんが子供の頃着ていた服をいろいろいただいたところだったの」
ベルナルドさんか……。うーん、サイズ合うのかな。え? べ、別に嫌とか言ってないよ?
「はいこれ」
そう言ってヘレナさんがタンスの中から取り出してきたのは麻でできたような簡素な服だった。ズボン、服、共に黄土色一色。なんというかほんと、ゲームの世界のド田舎な村の子供が着てそうな服だ。実際ここはたぶんド田舎なんだろうけどさ。他のものも見てみたがどれもそう変わるものではなかった。
「えと、ありがとうございます」
とりあえずお礼の言葉は述べて置く。
でもまぁ今までの服だとどうにも浮いてたからありがたいと言えばありがたい。欲を言えばヘレナさんの手編みとかならさらに嬉しかった。
「それで、そのボロボロになっちゃった服はどうする? 捨てとく?」
「そうですね、捨てときましょう」
どうやったって直すことはできなさそうだし、直ったとしてももあんまりこの世界で使いたくないし捨てておいてかまわないだろう。さらば、俺の上下各九百八十円の服たちよ!
「そうしとくね。ところでその重そうな本はどうしたの?」
今頃気づかれるとか、重いくせに影うっすいなぁ……などと思いながら適当な言葉をみつくろう。
「ああ、崖の下にありまして」
「へぇ……何が書いてあったの?」
「それが……」
「何も書いてないよ」
俺が言うよりも先にティミーが心なしかぶっきらぼうに口をはさんだ。
もしかしてまだちょっと怒ってらっしゃるのかな……でもそのふてくされた感じ、可愛くてアキヒサ的には星三つ!
「あら、ちょっと見せて」
大人しくヘレナさんにその本を差し出す。ティミーが見えないというんだから見えないんだろうけど一応確認だ。
「ほんと、何も書いてないわね」
「でしょ!?」
そう言うとティミーはフフーンと満足げに俺の方を見る。はいはい可愛いから分かったって。
しかし本当に見えないとは。だが俺にしか見えない文字ってなんかかっこいいな……。
「でも珍しいから持って帰りました」
「そっか」
とヘレナさんは俺に微笑みかける。ああ女神様! アーメン。と思わずかしずきそうな美しさでした。
「そうだ、お風呂わいてるからアキ君入る?」
「あるんですか!?」
「あらあら、こんな田舎でもそれくらいはちゃんとあるわよ」
そう言いヘレナさんは少し困ったように微笑む。
「アハハ、すみません」
「家の裏にお風呂小屋があるけど、使い方とか分かるかな? とりあえず一緒に入ろっか」
願ってもねえことです! 是非ともご一緒に! ブヒィィ。と言いたいところだったがここは我慢だ。紳士として断じて……ブヒィ……。
「えと、じゃあお言葉にあまえて」
俺の馬鹿があああぁぁぁあああ! いや、この機会をむげにするなど男ではない、紳士とかどうでもいい! そう、俺は漢だ! 本能の赴くままに生きてくれるわ! いやそもそも俺十歳だし? 歳の差にして二十以上はあるらしいからいいだろ! まぁ若さ的には十数歳くらいしか離れてない気がするけどな!
「それじゃあいこっか」
「ありがとうございます」
あくまで表には出さず、ポーカーフェイスだ。
やっぱりちゃんと風呂はあるんだな……と感慨深げ考えるのと同時に、意気揚々とヘレナさんと風呂小屋とやらへ向かった。ティミーといえば家で作ってる途中の料理が焦げないか見張っている。ゆくゆくはティミーととか考えてないからな?
家の裏側なのですぐに小屋へ着くと、中に入った。
風呂は田舎だから汚いなんてことはなくむしろ綺麗にされていて、ヒノキのような香りが立ち込めるそこは小さくはあるがどこかの高級旅館を彷彿させるものだった。そして肝心のヘレナさんと言うと……ちゃんと衣服を着ています。
「えっとここがこれでこうしたらお湯が出るの」
ヘレナさんの言う一緒にとは、ただお風呂を説明してくれるつもりだっただけらしい。まぁそうですよねー……。ありがちな展開おつかれさまでした。はい、俺が馬鹿でしたよ。
皆が寝た頃、一人、部屋の片隅でダウジェスからもらった本を見つめる
「読んでいくか……」
本を開くと初っ端から俺をイラつかせることが書かかれてあった。
「サルのようなアホでもわかる、魔術読本!……ってなんだよそれ!」
思わず全力で突っ込んでしまい、二人を起こしてしまったのではないかと不安になったがとりあえず大丈夫だったようだ。
でもこれ今思ったけど日本語なんだな。この世界の文字は日本語表記なのか? だとすれば嬉しいけどファンタジー感ぶち壊しだよな……。明日辺り本棚にある本を少し見させてもらおう。今はとにかくこれだ。
改めて本に目を落とす。
……しかしまぁなんだこのクソみたいな煽り文句。婉曲的に俺がアホと罵られた気がするな。著者は俺とあと猿に謝るべきだと思う。
「まぁいい……」
気を取り直して、俺は次のページをめくる。すると、『あなたの属性判断テスト!』と見開き1ページにでかでかとどこぞの恋愛心理テストみたいなフォントで印字されていた。
『次のページをめくってね』と書かれていたのでめくると、いきなり辺りが眩しい光に包まれ、目の前にはその魔術読本以外の全てがなくなっていた。
「ほうお主、たぎるのう。うん若い血がたぎるぞい!」
どこからともなく聞こえたのは能天気なおじいさんの声だった。
「あんたは誰だ?」
「わしか、わしはそうじゃのう、この本そのものじゃ!」
妙にテンションが高いのが鼻につくな……。
「なんじゃ~い! 熱く燃え上がる魔力のくせしてしけた面しおってぇ!」
「悪かったなしけた面で」
「まぁよいわ。所詮サルみたいなアホ野郎じゃからのう」
「あ!?」
てめぇか、最初の煽り文句書きやがったのは!
「そう怒るなよぅ……年寄りのたわむれじゃてに……。ゴホン、それではお主の属性を発表する」
悪ノリのするじじいだな。やれやれ、ようやく俺の属性が分かるらしい。
「ズバリ炎じゃ! シィユゥネクスタ~イムじゃぞい!」
そう告げ声が途切れると、辺りは元の静かな家の中に戻っていた。
テストって感じもしなかったがまぁ炎なんだな俺は。
その後十数ページ読むと本を閉じる。子どもの身体だし、あまり夜更かしするのもよくないだろうと思ったのだ。幸いな事に今のところ先ほどのようにふざけたページは無かった。いろいろ書かれていたがとらあえず簡単なところを抜粋してメモにでもまとめてみるか。
まず魔術とは。
人々は生まれながらにして魔力を有するらしく、その量に個人差はあれど訓練すれば誰でもその魔力を用いて魔術を扱えるようになるらしい。
魔術教本の言葉を引用すると、『それは時に刃となり時に盾となる』と書かれている。後にも記されてたけど、ようは魔術にもいろんな種類があるってことだな。実際、治癒魔術や攻撃魔術、防衛魔術、身体強化系魔術などなど、けっこういろいろ載ってるし。
次に属性について。これは魔力の性質という立ち位置になる。
大まかに4つの属性に分かれているらしく『炎・水・天・地』となる。術者はそれに応じて発動できる魔術が変わるという。
そしてそこから水属性なら水系統、氷系統、のように細分化していくのだが、とりあえずここでは俺の属性の炎について。
炎は特殊なものらしく、赤・青・紺、この三つで、細分化ではなくいわばクラス分けがされる。赤がもっとも使用者が多く王道だが、威力といえば『赤<青<<紺』のように強くなっていくので一番低い。努力さえすれば青なら誰でも到達できるらしいが、魔力消費は少なめですむので青を使えても赤を好んで使用する人もいるらしい。紺は威力がピカイチで高く、言わずもがな才能の問題といわれおり、使用者はごくわずかだという。黒、というのもあるらしいがそれは200年以上発見されていないとなっている。
そういや俺が出したやつって何色だっけなぁ……。青だった気もするけど……。紺色使えるようになれたらいいな。
まぁとりあえずここまでが通常魔術についてだろうか。まだまだ仕組みが細かいのだが、あまりにも長くなりそうなので今は割愛しておく。
とりあえず飛んで深層魔術。ダウジェスが言っていたように術者の身が危険に晒された時、自然と発動されるものだ。だがそれ以外の事も書かれていた。なにもこの深層魔術は二種類存在するらしい。
まず創造。俺が使ったやつだな。
これは術者が命の危険に晒された時、自らの身体が、本能的に判断して状況に応じた自分の持てる(操れる)パワー以上の魔術を出すというもの。身体にはかなりの負担をかけるので、使用後は激しい疲労感が襲い掛かりしばらく立ってもいられなくなり、場合によっては気を失うらしい。
ただまぁこれ、実はあくまで相手を即死させるために使う攻撃系魔術が選ばれた時であって、自己防衛系の魔術が選ばれた場合は身体も戦いの継続をちゃんと予測するので魔力消費は抑えられ、負担はあまりないらしい。
つまりは身体も相手を選ぶという事だな、即死させれる相手ならそうするし、無理なら自動的に防御してくれるものになるってことだから使い勝手は良さそうだ。
そしてもう一つが召喚。これが初見だな。
同じく、術者が命の危険に晒された時、幻獣(精霊や神の使いなど、諸説あるらしいがここではそう記すらしい)が召喚されて術者の事を守るというもの。術者自身、大して身体に負担がかかることはないが、呼び出される幻獣が必ずしも強いわけではなく、創造よりは危なっかしい。でも強かったら化けるよな?
ちなみにこの深層魔術というのは誰でも使えるわけじゃないらしい。前提条件としては魔術となんらかの接点を持つということが必要なようだ。ただそれ以外は書かれていない。つまるところ、まだ完全に解き明かされてはいないという事か……。
まぁこんなところだな。今日は少し残念な事もあったがやはり楽しい一日だった。さて明日は何をしようか、期待を胸に俺は布団に身体を委ねた。
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コメント
エルス・ギルバート
「あ!?」は「あ゛!?」にした方がいいような