ゲームの世界で天下統一を目指す俺
第三十三戦
駄目だ血が止まらない。
慶次さんを助けられない……!!
だらだらと血が流れ、横になる慶次さん。俺はどうしていいか分からなかった。
俺が血を止めようとしている間伊達政宗が舞剣大心と戦っている。今は伊達政宗になんとかしてもらうしかない。
☆
「竜爪を纏いましたか伊達政宗。覚醒したということですね」
「よくもっ……!!よくもっ…慶次をっ!!竜擊閃!」
伊達政宗の放った斬撃が蒼い光を纏って舞剣大心を襲う。
舞剣大心もこれに反応して同じように斬撃を放つ。
「なっ……!」
だが舞剣大心の放った斬撃は伊達政宗の斬撃に打ち消される。
(これは防御に全力を注ぐしかありませんね)
ギュイーん
あたりに伊達政宗の斬撃「竜擊閃」が舞剣大心に当たったと音で伝える。
あたりには土煙がまい、攻撃がどのようにヒットしたのかをまだ教えてくれない。そしてゆっくりと視界が開ける。
「ぐふっ……!まさかこれほどの威力があるとは……」
視界が開け、伊達政宗が目にしたのは刀で防御しながらも全身を切り刻まれている舞剣大心の姿だった。攻撃は成功といえるまでのダメージを負わせた。
「少し……甘く見ていたのかも知れません。竜爪を……!」
「まだじゃ……。まだこんなもんでは終わらせんぞ?若造?」
「貴女も十分に若いでしょうに。いいでしょう。返り討ちにしますよ」
(まさか、伊達政宗の攻撃力がこれほどとは予想外でしたね。それに前田慶次との戦闘のダメージも思ったより大きい。さすがですよ天下無双)
舞剣大心の体は伊達政宗と戦う前から限界に近かった。それは前田慶次との戦闘を経ていたから。
(死してなおも私に報いるとはやはり侮れない……!前田慶次……!)
☆
「……ぐっ……ふっ」
「大丈夫ですか!?慶次さん!?」
慶次さんは血反吐を吐きながら起き上がろうとする。その度に空いた穴から血が飛び出る。俺は起き上がろうとする慶次さんをささえ、斜め横にし起き上がれないようにしっかりと慶次さんの体を支える。
「迅……」
「駄目ですよ慶次さん!喋ったら!今医療班が来ますから!」
「きたところで意味がねぇ……」
「何言ってるんですか!?」
「ははだってお前さん……俺の腹にはぽっかりと穴が空いてるんだぜ?どうこうなるもんじゃねぇ」
「でもっ……!」
「それより政宗に伝えてくれ」
「は、はい」
「逃げろってな」
慶次さんの口から弱気な発言を聞いたのはこれで何回目だろうか。逃げるなんて言葉。俺は慶次さんは使わないものだと思っていた。
「舞剣大心はつぇ。この俺が適わないんだ。竜爪を纏ったくれぇの政宗じゃはがたたねぇ。だから頼む!迅!」
慶次さんが強く言葉を発するたびに血がどんどん溢れる。
慶次さんは俺の肩を掴みこう懇願した。
「政宗を連れて逃げろっ!今のお前達じゃ舞剣大心にはかなわねぇ!」
「はいっ……!」
慶次さんがどんな気持ちで言ったのかは分からない。でもこれが慶次さんの命令なんだ。聞かなくてはならない。「今」の俺達はまだ舞剣大心には敵わないから。
「そうやすやすと逃がすとでも思いましたか?この私が?」
気が付くとすぐ傍に舞剣大心が立っていた。伊達政宗はどうしたのかと辺りを見渡すと目くらましを食らったのか目を抑えていた。よかった殺られたわけではない。
「くっ!」
「戦おうとするな迅……!逃げることだけ考えろ……!」
慶次さんの言葉が俺の意思を踏み止まらせてくれる。
「まだ死んでいなかったとは。タフなところもさすがですね。ですがこれで終わりです……っ!」
舞剣大心は刀を振り上げる。俺はとっさに刀を抜きそれを防いだ。だが……
「……ヴっ……!!」
精密射撃という言葉がある。ゲームなどで銃を得意武器すとるキャラクターが持っているスキルとして有名な。
何故今この言葉を思い浮かんだのかそれは慶次さんの心臓ど真ん中に刺さっている矢を見たからだろう。そして俺はこの矢を見たことがある。その持ち主も知っている。
慶次さんは言葉を発しない。当たり前か。腹にはぽっかりと穴が空き、心臓には矢が刺さっているんだから。
「……慶次……?」
目くらましが解けたのか伊達政宗が状況を察知し寄ってくる。
「嘘……じゃろ?なぁ……慶次よ。目を目を開けてくれよ慶次よ……!!妾は目が見えるようになったんじゃぞ!?なぁ……!なあ!!」
「辞めろ伊達政宗。死んだ人は何も語らない」
「黙れ!誰じゃ!慶次を……!慶次を殺したのは!」
そして伊達政宗は舞剣大心に振り向く。
「お前しかおらんよな。舞剣の長よ……。ウォォォォ!!」
「返り討ちにしますと言いましたがいささか厳しいですね。これは」
再び伊達政宗と舞剣大心の戦闘が始まるのを見つつ。俺はゆっくりと立ち上がる。
「伊達政宗……。そいつは頼んだぞ?」
「言われるまでもない!」
「俺はちょっと野暮用ができた」
俺は走り出した。慶次さんに矢を放った者の元へ。
確かにこの世界はゲームだ。ゲームだけどっ!
現実世界でやっていい事と悪い事がある様に。この世界にもいや俺が許せないこともあるっ!
「そこで待ってろよぉぉお!咲ぃぃい!!」
☆
舞剣対伊達&前田の一戦。終戦まで残りわずか。
ここで一人の男が離脱した。
前田慶次。戦死。
慶次さんを助けられない……!!
だらだらと血が流れ、横になる慶次さん。俺はどうしていいか分からなかった。
俺が血を止めようとしている間伊達政宗が舞剣大心と戦っている。今は伊達政宗になんとかしてもらうしかない。
☆
「竜爪を纏いましたか伊達政宗。覚醒したということですね」
「よくもっ……!!よくもっ…慶次をっ!!竜擊閃!」
伊達政宗の放った斬撃が蒼い光を纏って舞剣大心を襲う。
舞剣大心もこれに反応して同じように斬撃を放つ。
「なっ……!」
だが舞剣大心の放った斬撃は伊達政宗の斬撃に打ち消される。
(これは防御に全力を注ぐしかありませんね)
ギュイーん
あたりに伊達政宗の斬撃「竜擊閃」が舞剣大心に当たったと音で伝える。
あたりには土煙がまい、攻撃がどのようにヒットしたのかをまだ教えてくれない。そしてゆっくりと視界が開ける。
「ぐふっ……!まさかこれほどの威力があるとは……」
視界が開け、伊達政宗が目にしたのは刀で防御しながらも全身を切り刻まれている舞剣大心の姿だった。攻撃は成功といえるまでのダメージを負わせた。
「少し……甘く見ていたのかも知れません。竜爪を……!」
「まだじゃ……。まだこんなもんでは終わらせんぞ?若造?」
「貴女も十分に若いでしょうに。いいでしょう。返り討ちにしますよ」
(まさか、伊達政宗の攻撃力がこれほどとは予想外でしたね。それに前田慶次との戦闘のダメージも思ったより大きい。さすがですよ天下無双)
舞剣大心の体は伊達政宗と戦う前から限界に近かった。それは前田慶次との戦闘を経ていたから。
(死してなおも私に報いるとはやはり侮れない……!前田慶次……!)
☆
「……ぐっ……ふっ」
「大丈夫ですか!?慶次さん!?」
慶次さんは血反吐を吐きながら起き上がろうとする。その度に空いた穴から血が飛び出る。俺は起き上がろうとする慶次さんをささえ、斜め横にし起き上がれないようにしっかりと慶次さんの体を支える。
「迅……」
「駄目ですよ慶次さん!喋ったら!今医療班が来ますから!」
「きたところで意味がねぇ……」
「何言ってるんですか!?」
「ははだってお前さん……俺の腹にはぽっかりと穴が空いてるんだぜ?どうこうなるもんじゃねぇ」
「でもっ……!」
「それより政宗に伝えてくれ」
「は、はい」
「逃げろってな」
慶次さんの口から弱気な発言を聞いたのはこれで何回目だろうか。逃げるなんて言葉。俺は慶次さんは使わないものだと思っていた。
「舞剣大心はつぇ。この俺が適わないんだ。竜爪を纏ったくれぇの政宗じゃはがたたねぇ。だから頼む!迅!」
慶次さんが強く言葉を発するたびに血がどんどん溢れる。
慶次さんは俺の肩を掴みこう懇願した。
「政宗を連れて逃げろっ!今のお前達じゃ舞剣大心にはかなわねぇ!」
「はいっ……!」
慶次さんがどんな気持ちで言ったのかは分からない。でもこれが慶次さんの命令なんだ。聞かなくてはならない。「今」の俺達はまだ舞剣大心には敵わないから。
「そうやすやすと逃がすとでも思いましたか?この私が?」
気が付くとすぐ傍に舞剣大心が立っていた。伊達政宗はどうしたのかと辺りを見渡すと目くらましを食らったのか目を抑えていた。よかった殺られたわけではない。
「くっ!」
「戦おうとするな迅……!逃げることだけ考えろ……!」
慶次さんの言葉が俺の意思を踏み止まらせてくれる。
「まだ死んでいなかったとは。タフなところもさすがですね。ですがこれで終わりです……っ!」
舞剣大心は刀を振り上げる。俺はとっさに刀を抜きそれを防いだ。だが……
「……ヴっ……!!」
精密射撃という言葉がある。ゲームなどで銃を得意武器すとるキャラクターが持っているスキルとして有名な。
何故今この言葉を思い浮かんだのかそれは慶次さんの心臓ど真ん中に刺さっている矢を見たからだろう。そして俺はこの矢を見たことがある。その持ち主も知っている。
慶次さんは言葉を発しない。当たり前か。腹にはぽっかりと穴が空き、心臓には矢が刺さっているんだから。
「……慶次……?」
目くらましが解けたのか伊達政宗が状況を察知し寄ってくる。
「嘘……じゃろ?なぁ……慶次よ。目を目を開けてくれよ慶次よ……!!妾は目が見えるようになったんじゃぞ!?なぁ……!なあ!!」
「辞めろ伊達政宗。死んだ人は何も語らない」
「黙れ!誰じゃ!慶次を……!慶次を殺したのは!」
そして伊達政宗は舞剣大心に振り向く。
「お前しかおらんよな。舞剣の長よ……。ウォォォォ!!」
「返り討ちにしますと言いましたがいささか厳しいですね。これは」
再び伊達政宗と舞剣大心の戦闘が始まるのを見つつ。俺はゆっくりと立ち上がる。
「伊達政宗……。そいつは頼んだぞ?」
「言われるまでもない!」
「俺はちょっと野暮用ができた」
俺は走り出した。慶次さんに矢を放った者の元へ。
確かにこの世界はゲームだ。ゲームだけどっ!
現実世界でやっていい事と悪い事がある様に。この世界にもいや俺が許せないこともあるっ!
「そこで待ってろよぉぉお!咲ぃぃい!!」
☆
舞剣対伊達&前田の一戦。終戦まで残りわずか。
ここで一人の男が離脱した。
前田慶次。戦死。
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