覇王サタンの聖誕祭〜鉄道王への道〜
第29話「ノエルと愉快な仲間たち」
「お腹減った〜」
「そうだね〜、どっかで食べ物買いたいね」
「って言ってもさ……」
私たちがストレスフル学園を出発してから数時間、私たちは今、山の中にいた。
「食べ物買うとこなんてどこにもないよー!」
「うーん……ってあれ?」
「どうしたの?」
アスモデウスの顔が少し青白くなってる。お腹痛くなったのかな。
そして、アスモデウスから飛び出したのは信じられない言葉だった。
「燃料切れたみたい……」
「あはははは……え?なんで?」
「給油してくるの忘れた……」
最悪。アスモデウスがブスだったら山から突き落としていた。
「えっ!どうすんの!?まだ登りだよ!?」
「うーん、押していこっか!」
「元気よく言わないで!」
仕方なくアスモデウスとバイクを押しながら山を登っていると、一台のトラックが通りかかり、おじさんが話しかけて来た。
「お前たち、バイクの燃料切れか?」
「はい……」
「どこまで行くんだ?」
「とりあえず、山は越えますけど……」
「じゃー途中まで乗せて行ってやるよ。1人は荷台に乗りなよ」
「えっ、いいんですか!」
優しいおじさんであった。
* * *
しばらく窓の外を眺めていると、小さな山村に入った。
「乗せてけるのはここまでだから。ああ、燃料もあるから給油していけよ」
「あっ、ありがとうございます!」
「助かります」
そうして、私たちはなんとか難を逃れたのだった。
「一時はどうなることかと思ったよ、本当に……」
「まあ、本当にやばい時はストレスフル学園に戻ればよかったけど……」
「何開き直ってるの!」
そんなやりとりを聞いていたのか、村の子供たちが話しかけてきた。
「お兄さん、今ストレスフル学園に戻るって言った?お兄さん、ストレスフル学園から来たの?」
そう訊いてきたのは帽子をかぶった少年。その後ろで、糸目の少年、メガネの少年、バンダナの少女がもじもじしている。
「うん、そうだよ。僕はストレスフル学園の学園長だからね」
「本当ですか!?」
「えっ!そうだったの!?」
私も知らなかったんだけど!
「あ、あの……俺たちをストレスフル学園に入学させてくれませんか!?」
「え?」
「お願いします!」
子供たちはそういうと、深々と頭を下げた。
「えっ、ちょ、ちょっと待って。頭上げて。
えーっとね……まず君たち名前は?」
アスモデウスが訊くと、帽子の少年は答えた。
「俺、マサル村のサトル。こっちのメガネはマサオ、で、この女がハルナ。そして……」
「お姉さん!自分、タカシっていいます、自分と熱い夜を過ごしませんか!?」
「きゃああああ!?ちょっとぉお!何この子!?」
タカシとかいう少年は私をみるなりすぐさまナンパしてきた。軽くトラウマになる。
「はーいはい、そこまでにしとこうねぇ〜」
「いでででで!!」
メガネのマサオくんがタカシの耳を引っ張って助けてくれた。怖かった……
「すみません……えーとそれで……ストレスフル学園のことなんですが……」
「うん、それで君たち、どうしてストレスフル学園に?そもそもまだ高校生になるような歳じゃないでしょ」
「はい……実は……」
そう言うと、サトル君は語りだした。
* * *
あれはそう、今から1年前のこと……
「うーん、今年も良質な野菜ができたぞ!」
「ホーキド博士ー!」
「おおサトル!よくきたな!」
「うん!俺、手伝いに来たんだ!何か手伝えることある!?」
「おお、すまんなサトル!今日の収穫は全部終わったのじゃ」
「なーんだそっかー!タカシ達も一緒に来たのに」
「なら、明日はみんなで野菜、ゲットじゃぞ〜」
そんな感じで俺たちは、野菜を作って暮らしていたんだ。
でも、ある日……
「おぉーい!誰か来てくれぇえー!」
「ん!?博士の声だ!何かあったのか!?」
「行くわよ!マサオ!」
「あっ!待ってよお姉ちゃーん!」
「おーい!俺をおいてくなよー!」
そして、博士の家に着くと、俺たちの目に入ったのは、ボロボロに荒らされ尽くした博士の畑だったんだ……!
「はーっはっはっは!」
「なんだお前達はァ!!」
「なんだかんだと聞かれたら!」
「答えてあげるが世の情け!マサシ!」
「コタロウ!」
マサシとコタロウと名乗った2人は、この辺でも悪名高いポケット団の一員だったんだ!
「野菜はいただいて行くよー!」
「じゃあーねー!」
「待ちなさーい!それはホーキド博士が必死こいて育てた野菜よ!それを奪おうなんて」
「お前ら人間じゃねえ!!」
「うるせーっ!!」
ポケット団を止めようとしたタカシはコタロウに殴られた。
それでも怒りがおさまらないのか、マサシとコタロウは村のみんなを襲いだしたんだ!
「うわぁあ!やめてくれぇえ!!」
「そんなに怒ることかよぉ!?」
……そして、ひとしきり暴れたポケット団は、村の野菜や金品を奪って逃げて行ったんだ!
俺たちは、ただ泣いていることしかできなかった……
* * *
「そんなことがあったのか……でも、それでなぜストレスフル学園に?」
「ストレスフル学園では、医学が非常に重視されているって聞いたんです。村のみんなは大怪我したけど、お金がないから医者が呼べないんです。だから、俺たちが治療してあげたくて!」
「なるほどね……」
アスモデウスは考える素振りを見せる。
「そうだね……入学させてあげる、と言いたいところだけど」
「だめですか……!?」
いや、普通だめでしょ。見た所まだ10歳くらいみたいだし。
「あいにく学園長の僕が学園にいない以上入学の手続きはできない。しばらく戻る気もないしね」
「そんな……!」
えっ、そういうこと!?年齢じゃなくて!?
「そこで、君たちには入学試験を受けてもらおうじゃないか」
「入学試験……?」
「うん、僕たちの旅に、着いてくることだ。そのくらいもできないんじゃ、ストレスフル学園での生活には耐えられないと思うよ。できるかな?」
「はい!先生!」
アスモデウスが問いかけると、サトル君は力強く答えた。
いや、ハ○ター試験じゃないんだから……
「それじゃ、出発しようか!」
「って、アスモデウス、この子たちはどうやって移動するの……」
「あっ!そうか……!どうしよう?」
本当に大丈夫かな〜……
そんな不安と共に、旅の仲間が増えたのでした。
「そうだね〜、どっかで食べ物買いたいね」
「って言ってもさ……」
私たちがストレスフル学園を出発してから数時間、私たちは今、山の中にいた。
「食べ物買うとこなんてどこにもないよー!」
「うーん……ってあれ?」
「どうしたの?」
アスモデウスの顔が少し青白くなってる。お腹痛くなったのかな。
そして、アスモデウスから飛び出したのは信じられない言葉だった。
「燃料切れたみたい……」
「あはははは……え?なんで?」
「給油してくるの忘れた……」
最悪。アスモデウスがブスだったら山から突き落としていた。
「えっ!どうすんの!?まだ登りだよ!?」
「うーん、押していこっか!」
「元気よく言わないで!」
仕方なくアスモデウスとバイクを押しながら山を登っていると、一台のトラックが通りかかり、おじさんが話しかけて来た。
「お前たち、バイクの燃料切れか?」
「はい……」
「どこまで行くんだ?」
「とりあえず、山は越えますけど……」
「じゃー途中まで乗せて行ってやるよ。1人は荷台に乗りなよ」
「えっ、いいんですか!」
優しいおじさんであった。
* * *
しばらく窓の外を眺めていると、小さな山村に入った。
「乗せてけるのはここまでだから。ああ、燃料もあるから給油していけよ」
「あっ、ありがとうございます!」
「助かります」
そうして、私たちはなんとか難を逃れたのだった。
「一時はどうなることかと思ったよ、本当に……」
「まあ、本当にやばい時はストレスフル学園に戻ればよかったけど……」
「何開き直ってるの!」
そんなやりとりを聞いていたのか、村の子供たちが話しかけてきた。
「お兄さん、今ストレスフル学園に戻るって言った?お兄さん、ストレスフル学園から来たの?」
そう訊いてきたのは帽子をかぶった少年。その後ろで、糸目の少年、メガネの少年、バンダナの少女がもじもじしている。
「うん、そうだよ。僕はストレスフル学園の学園長だからね」
「本当ですか!?」
「えっ!そうだったの!?」
私も知らなかったんだけど!
「あ、あの……俺たちをストレスフル学園に入学させてくれませんか!?」
「え?」
「お願いします!」
子供たちはそういうと、深々と頭を下げた。
「えっ、ちょ、ちょっと待って。頭上げて。
えーっとね……まず君たち名前は?」
アスモデウスが訊くと、帽子の少年は答えた。
「俺、マサル村のサトル。こっちのメガネはマサオ、で、この女がハルナ。そして……」
「お姉さん!自分、タカシっていいます、自分と熱い夜を過ごしませんか!?」
「きゃああああ!?ちょっとぉお!何この子!?」
タカシとかいう少年は私をみるなりすぐさまナンパしてきた。軽くトラウマになる。
「はーいはい、そこまでにしとこうねぇ〜」
「いでででで!!」
メガネのマサオくんがタカシの耳を引っ張って助けてくれた。怖かった……
「すみません……えーとそれで……ストレスフル学園のことなんですが……」
「うん、それで君たち、どうしてストレスフル学園に?そもそもまだ高校生になるような歳じゃないでしょ」
「はい……実は……」
そう言うと、サトル君は語りだした。
* * *
あれはそう、今から1年前のこと……
「うーん、今年も良質な野菜ができたぞ!」
「ホーキド博士ー!」
「おおサトル!よくきたな!」
「うん!俺、手伝いに来たんだ!何か手伝えることある!?」
「おお、すまんなサトル!今日の収穫は全部終わったのじゃ」
「なーんだそっかー!タカシ達も一緒に来たのに」
「なら、明日はみんなで野菜、ゲットじゃぞ〜」
そんな感じで俺たちは、野菜を作って暮らしていたんだ。
でも、ある日……
「おぉーい!誰か来てくれぇえー!」
「ん!?博士の声だ!何かあったのか!?」
「行くわよ!マサオ!」
「あっ!待ってよお姉ちゃーん!」
「おーい!俺をおいてくなよー!」
そして、博士の家に着くと、俺たちの目に入ったのは、ボロボロに荒らされ尽くした博士の畑だったんだ……!
「はーっはっはっは!」
「なんだお前達はァ!!」
「なんだかんだと聞かれたら!」
「答えてあげるが世の情け!マサシ!」
「コタロウ!」
マサシとコタロウと名乗った2人は、この辺でも悪名高いポケット団の一員だったんだ!
「野菜はいただいて行くよー!」
「じゃあーねー!」
「待ちなさーい!それはホーキド博士が必死こいて育てた野菜よ!それを奪おうなんて」
「お前ら人間じゃねえ!!」
「うるせーっ!!」
ポケット団を止めようとしたタカシはコタロウに殴られた。
それでも怒りがおさまらないのか、マサシとコタロウは村のみんなを襲いだしたんだ!
「うわぁあ!やめてくれぇえ!!」
「そんなに怒ることかよぉ!?」
……そして、ひとしきり暴れたポケット団は、村の野菜や金品を奪って逃げて行ったんだ!
俺たちは、ただ泣いていることしかできなかった……
* * *
「そんなことがあったのか……でも、それでなぜストレスフル学園に?」
「ストレスフル学園では、医学が非常に重視されているって聞いたんです。村のみんなは大怪我したけど、お金がないから医者が呼べないんです。だから、俺たちが治療してあげたくて!」
「なるほどね……」
アスモデウスは考える素振りを見せる。
「そうだね……入学させてあげる、と言いたいところだけど」
「だめですか……!?」
いや、普通だめでしょ。見た所まだ10歳くらいみたいだし。
「あいにく学園長の僕が学園にいない以上入学の手続きはできない。しばらく戻る気もないしね」
「そんな……!」
えっ、そういうこと!?年齢じゃなくて!?
「そこで、君たちには入学試験を受けてもらおうじゃないか」
「入学試験……?」
「うん、僕たちの旅に、着いてくることだ。そのくらいもできないんじゃ、ストレスフル学園での生活には耐えられないと思うよ。できるかな?」
「はい!先生!」
アスモデウスが問いかけると、サトル君は力強く答えた。
いや、ハ○ター試験じゃないんだから……
「それじゃ、出発しようか!」
「って、アスモデウス、この子たちはどうやって移動するの……」
「あっ!そうか……!どうしよう?」
本当に大丈夫かな〜……
そんな不安と共に、旅の仲間が増えたのでした。
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