覇王サタンの聖誕祭〜鉄道王への道〜

鉄道王

第9話「天使」

「よし、では行くぞ。見つからないようにな?」
「クク…隠密か。私の得手とするところよクックックッ」

(サタンとレヴィも張り切ってるけどお前ら外出てねーじゃん。
まー幸い今は時間帯的に授業中だろうし、今のうちに行くか…)

「それでレヴィ、お前の依り代候補はどこにいんだ?」
「もちろん教室だ」
「いやわかってんよ。どこの教室だ?」

そこで廊下の奥から、
「きゃあああああ!!」
「!?」
「天使か!?」
「行くぞ瀬川!」

悲鳴の発せられたと思われる教室に行くと、白づくめの連中が女子生徒を襲っていた。
性的な意味ではない。

「やめろォ!!」
かっこよく登場。

「瀬川、あの女が私の依り代となる女だ。」
「なるほどな…」
じゃーここでかっこよく助けてやれば簡単に仲間にできるな。

「よぉ〜お前この子を狙ってんだろ?依り代にする気か?だがね、この子は俺たちが貰う!!」
「え…」
「なんだ貴様は?」
「俺は憤怒の悪魔サタンの依り代。鈴木瀬川だ!その子は俺の仲間になって、嫉妬のレヴィアタンの依り代となってもらう!」

今さらではあるが、真面目に戦うのなんて今回が初めてだということに気がついた。
けどま、こっちにはサタンがついてるし、勝てるだろ。
でも天使いっぱいいるな…

天使達は徒党を組んで襲いかかってきた。俺は勝ちを確信する。

(この感じは…雑魚だ!)

「ぐらあああ!」
天使達は一生懸命俺を攻撃してくるが俺はそれをカカッと躱す。

「瀬川、これを使え」
サタンの声と共に刀身の黒い剣が現れる。

(いやこれを使えって...俺剣道とか体育の授業でしかやったことねーぞ。)

意外にも剣は軽やかな線を描いて一体の天使を斬り裂いた。

(おー強い。適当に振ってりゃ勝てそう。)

やはりこの天使達も三流のようでバタバタと斬り倒せる。
数だけだ。これならレヴィの依り代は簡単に手に入るだろうな。

あっという間に最後の一体だけとなった。

「死ね!」
今までギャアギャア叫んでいただけの天使だったが、何が喋り出した。

「死ぬのは貴様らだ...間も無くシェムハザ様が復活なさる...そうなれば貴様らは終わりだ!!」
「シェムハザ?お前らのリーダーか?」
サタンは、何か知っている風に語り出した。

「シェムハザね...降りてくるか...災厄が...」
「サタン知ってるのか」
「ああ、昔の話だがな。」

俺がサタンに詳しく聞こうとしたところでレヴィが遮った。

「おい!そんなことよりな!私の依り代が手に入ったぞ!」
「待てよ。この子に何の説明もなしかよ?素がでてるし」

とりあえずレヴィは外に出た。
「女よ。貴様、私の眷属となる覚悟はあるか?」
唐突すぎだろ。けど、何と説明していいのか…
「レヴィ、説明して」
「ん、唐突すぎたか」

レヴィが依り代について説明する。
わかりやすい説明だ。さすがあの難解な言葉を使いこなしているだけある。(もっとも、俺には理解不能のためこいつが使いこなしているかどうかは判断するのは難しいが)

「なるほど...わかりました。命を助けてもらったわけですし、私もあなた方に協力させていただきます!」
「ありがとう。けど俺たち、ずっとここにはいないで動き続けるけど...」
「大丈夫ですよ。実は私、魔女の一族の末裔なんです。」

(魔女?じゃーこの子は俺や萩村みたいにここにやってきたんじゃなくて原住民なのか。)

「でも、魔女だったらどうなの?」

「はい、実は魔女の一族で生きているのは私だけで家族はいません。そして、私は魔法が使えるので、学校に通わなくたって、私の分身がなんとかしてくれます。」
「へぇーそうなのか。じゃあ改めて、よろしく」
「よろしくお願いします」

そこでレヴィが待ちきれなくなったらしく、
「では...えーっと...」
「あっ申し遅れました。私、リリー・アステラといいます。よろしくお願いします」
「リリー!これより私と貴様の血の契約を結ぶ儀式を行う!!」

そんな大層なことはしなくていいはずだけどな。

「魔女か...」
サタンがボソッと呟いた。
「ん?どうかしたのか?」
「あぁ、古い知り合いでな。だが、この話はまたにしよう。天使が来たようだ。今度の天使は、強い」
「え!?」

轟音と共に煙が立ち、中から現れたのはやはり白の男。
紳士然としたその男は、その見た目に反しない丁寧な言葉遣いで喋り出した。

「やあ...僕はメタトロンというんだ。それでね、僕がここに来たのはそこの女の子。その子が欲しくてね」
「リリーは渡さんぞ」
「お前なんかに渡さないよー!!私が契約するんだい!」

レヴィがなんか騒いでる。この緊張感のなかこんな言葉が出てくるとかすげえ。

「うーん?困ったな。僕も欲しいんだけど、あまり戦いたくはないし...そうだ!」
メタトロンが何かとても良いアイデアを思いついたように手を叩く。

「そこの少年!」
メタトロンが指した指の先には俺しかいない。
「君が僕の攻撃に3分耐えたら譲ってあげる」
「何言ってんだ。この子は俺たちが先にいただいたんだ。早い者勝ちだ」
「お前...女を早い者勝ちとか男として最悪な発言だな...」
レヴィにひかれちゃった。
「瀬川、この勝負受けろ」

サタンがひどいことを言いやがった。
「メタトロンは十四天使のうちの一体でな。戦うより3分我慢した方が楽だぞ」
「きまりかな!じゃ、始めようか。誰か3分計っててね〜」

(ちょ、まじで!?
覚悟するしかないのか...)

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