覇王サタンの聖誕祭〜鉄道王への道〜

鉄道王

第6話「ランナウェイ」

サタン抹殺の話が挙がった次の日、
ついに決行の時が来た。

「準備はいいわね?皆」
全員、無言で首肯する。

「では、行くわよ!!」
「うおおおしゃああああ!!」
どごおおおっ
マイメロがドロップキックして無理やり扉を開ける。

(いやこれドロップキックする意味あった?鍵開いてたでしょ)

とにかく、学園長室に突撃した以上もう引き返せない。
そして、全員が学園長室に入ったところで異変に気付く。

「サタンがいない!?」
「どうなっているの!?」
ただ1人を除いて皆困惑している。

「落ち着いてください皆さん!」
モモコさんが呼びかけ、
「何らかの方法でサタンは私たちがここに来ることを知っていたのかもしれません。」

「私と会長はここで待機して、サタンが戻って来るのを待っています。皆さんはサタンを探しに行ってください。」

モモコさんは1人平静を保っている。
「一応、役割も分担しておきましょうか。副会長は一階、瀬川さんと萩村さん、マイメロさんは二階を探していてください。では。」

モモコさんが扉を閉めたのを合図に解散。俺たちは二階に向かった。
そして、俺たちが二階に到達し、恐らく副会長も一階に到達したであろうタイミングで、学園長室のある方からモモコさんが降りて来た。
その姿は血に塗れていた。

「!?」
「すみません、サタンを取り逃がしてしまいました...会長は負傷、動くこともままなりません。」

(まじかよ...?会長がこんな早くに...)

「ぎゃあああーっ!!」
下階から悲鳴とも断末魔とも分からない叫び声が聴こえる。

「まさか...!?」
「副会長がやられたようですね。」

(嘘だろ!?だったら、次は俺たちのところに来るんじゃねーか!)

「逃げよう...」
マイメロが言う。
正直マイメロは逃げ癖がついていると思うがこればかりは逃げたくもなる。
あの会長が一瞬で沈められたほどの相手だからな...

しかし、モモコさんはそれを許さない。
「駄目です。戦います」

モモコさんが言ったその直後、
「....!!」
萩村の表情が変わる。
「サタンだ!!」
全員がその方向を振り向く

サタンはその一瞬で萩村の目前に来ていた。

(速い!!)

萩村の腹に剣が突き立てられる
萩村が倒れた瞬間、隣でモモコさんがハンマーのような物でマイメロを殴打する。

「モモコさん!?」
気でも狂ったのかーっ!え?まじで一体どういうこと...

「マモン、よくやったぞ」
マモン?モモコさんのことを言ってるのか?

「は、サタン様のご復活のためであれば、どんな苦労も厭いません。」
モモコさんも何言ってんだ?

「さて...邪魔者もいなくなったしな...依り代をいただくとするかね」
サタンがこちらを見て嗤う。

「待ちなさい!」
「!?」

(会長!動けたのか!?助けてー!)
「ふん...瀕死の虫だ。ほっとけ」
サタンが会長を無視して俺に歩み寄る。

「っ!!」
身体の中に何か入った感覚...
まさか、これだけで俺がサタンの依り代とかになってしまったのか?
脳に直接声が聞こえる感覚で、サタンの声が聞こえた。

「鈴木瀬川...これでお前は私の依り代となった。これからは一蓮托生だな!」
うそぉおん!?まじで!?俺どーなんの!?
「おめでとうごさいます」
ぱちぱちぱち...とモモコさんが小さく拍手する...いや、おめでたくねええ!!

「...!!」
会長が俺とモモコさんを睨んでいる

「さて、少し...疲れた。まだこの身体にも馴染んでいないし...少し眠る。保健室にいくぞ。」
反抗しようにも身体の半分はサタンのものとなってしまっているようで、うまく動けない。
仕方がないので保健室に向かうしかなかった。

保健室に着いてすぐサタンはベッドで眠った。



そして、1時間ほど経っただろうか、目がさめると部屋の外から話声が聞こえる。

「瀬川のやつ...サタンに...?」
「ええ、依り代にされてしまったわ」
会長と萩村、他にも何人かいるか...
「それで、瀬川をどうするんです?」
「そうね...いまはまだ、サタンが馴染んでいないでしょうし...今のうちに、」

(え?)

「殺すしかないでしょうね」
(!?まじで...?嘘だろ。俺を殺すって?)

「本気だぞ。奴ら」
(!?)
「驚くな。私だ」
(いや驚くだろ。声上げそうになったじゃねーか)

「死にたくなければ逃げろ。 私がついているとはいえここにずっと居るのは危険だぞ。」
「逃げるったってよぉ...どこに行けばいいんだよ?」
「知るか。それはお前が考えろ」

「瀬川さん?」

(会長が入ってくる!?)

「逃げるなら早い方がいいぞ。今行け」
「入りますよ」
「くっそ...!」

(つかどこから逃げればいいんだよ!?)

「窓から出ろ。我が憑いている。二階から落ちたくらいで怪我はせんよ」
「本当だろーな!?行くぞ!?」
「行け」

窓から出た瞬間激しく後悔した。
ちょっ怖い!顔面から落ちそうなんですが!

「っ!!」
!気付いたら降りていた。

「ほら、走れ」
(わかってんよ!!くっそぉ...なんで俺がこんな犯罪者みてーなマネしないとなんねーんだよ...)

こうして、俺の逃亡生活が始まった。

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