シスコンと姉妹と異世界と。
【第33話】護衛任務②
「……」
「どうしたお前ら! なぜ動かない!!?」
「どうもこうも頭ァ、こんだけ霧で視界が悪けりゃ剣も振り回せねえし、銃も撃てねえでさァ」
「情けねぇ……。条件はガキ共も一緒なんだ。あいつらも動けねえはずだからさっきの立ち位置から変わってねえはずだ!」
親玉様が怒鳴り散らしている。確かに俺もモーリスも動いちゃいない。俺の周りにそもそも霧は無いし、モーリスは視界に頼らないでも寵愛で活動出来るのだから。
「それもそうだ! よし行くぞお前ら!!」
「来るぞ、ショー!」
「頑張れ!!」
「人任せな……」
と言いつつモーリスも冗談に付き合う余裕があるんだから大丈夫なんだしょ。
「うらぁぁ!!」
「ハッ!」
「おるぁぁ!!」
「シィッ!」
「そこかあ!!」
「甘い」
「貰ったァ!!」
「残念」
「糞ガキがぁ!!」
「なんですか?」
5人が一気に片付けられる。それも手加減されて。手刀や鳩尾への一撃で意識を失っている様だ。
「このガキ、化け物かよ……。ならこっちのガキだ!!」
「きゃーたすけてー」
地面をちょこっと隆起させてやる。
「そおぉぉうらぁ、ぁぁぁああ!!」
勝手に転んでおしまい。すかさずモーリスが関節を極める。
「モーリス、そのままね。ゾラさんから貰ったもんがあるからそれ使うわ」
アイテムボックスを開いて目的のものを取り出す。
「ショー、それは……」
「手錠ですね、はい」
「ゾラさんてあの、エリーゼさんの友だちのだろ? なんで手錠をお前が預かってる?」
「『私はもう使わないから』って渡されたんだわ」
「詳しくは聞かない方が良さそうだね」
「よっ」
お頭に手錠をかけてやる。ついでに足にも。ほかの5人にもモーリスと手分けして手錠を。こちらは気絶してもらってるので腕だけに留める。
「皆さん、こいつらどうします?」
「殺すのであれば正当防衛を主張出来ますが……」
「いや、殺すなんて勿体無い。1人1発ぶん殴って衛兵に突き出して金に換えるのが一番だ!」
他の商人さんも賛成のようだった。
この後はさすがに何もアクシデントは起こらず、無事に護衛任務終了。
2人合わせての報酬は100万程になった。思ったより懸賞金が高かったのと、懸賞金は学校に取られなかったのが大きい。個人の功績なんだからOKらしい。
「モーリス、これからどうする? 泊まるにしても夕飯まではまだまだ時間あるよ?」
「とりあえず宿を見つけて部屋の確保だけはしてしまおう。その後夕食までこの街を散策しよう」
「どうせ武器屋とか鍛冶屋だろ?」
「バレてたか」
「まぁ付き合い長いからな」
「どの宿にしようか」
歩いていると宿屋街と言えそうな通りに出た。
3軒しか無いんだけど。
大中小というか松竹梅というか、店構えから漂う雰囲気が三者三様といった感じ。
「これは賭けだよなぁ……」
「一応3軒とも覗いてみようか……」
調査隊、始動。
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