AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と砂漠の旅 その02
S6W13
果てしない砂漠を、ディー&精霊たちと共に移動中。
ちなみに眷属たちとは、話はついているので問題ない……苦労したけど。
途中、巨大なワーム型の魔物から逃走するキャラバンを見かけたが、俺は放置。
代わりにどこからともなく現れた祈念者たちが、その対応をしていた。
偽善者として、彼らの活躍の機会を奪うわけにはいかなかったからな。
……物凄く今更感があるけども、今回はそういうことにしておく。
「うーん、どこにあるんだろうねー、陽炎都市の入り口」
『?』
「さっきのキャラバンを助けて居たら、もしかしたら分かったかもしれないけど……そのチャンスは逃しちゃったからね」
むしろ、彼らはそういった打算があって助けに向かったのかもしれない。
一度入れば以降の入場も簡単になるが、その一度目が大変過ぎて諦める者もいる。
もちろん、入場済みの者といっしょに入ることができればそれも容易い。
ただし、自力で到達した者との扱いに差があるらしいので、俺はこの方法を選んだ。
「ラボル──“怪電波”」
『!』
空を飛んでいる魔物たちに対し、雷の微精霊に魔力を注いで放ってもらった魔法。
魔力は電気へ、そして電波へと変換され、上空の魔物たちに送られる。
初めの内は特に何ともなかったが、次第にふらつく魔物が続出。
その発生源に気付いた時にはもう遅い、彼らは錐揉み回転をしながら墜ちていった。
「ふふっ。ラボル、凄かったよ」
『!』『『『『『『『!!』』』』』』』
「うんうん、みんなの出番もちゃんとあるから安心してね。精霊魔法も属性魔法も鍛えられるから、ちょうどいいんだよね」
『♪』
魔法系のスキルを鍛えているが、まだまだ成長は見込めない。
精霊たちの助力でレベルは上がりやすいはずなのだが、それ以上に酷い物が。
それは俺の適性の低さ。
決して不可能ではない、だが限りなくそれに近しいほどに適性が低いため、一部の属性以外は成長が見込みづらいのだ。
ちなみに上がりやすいのは無と樹属性。
お察しの通り、ナースとユラルが神霊なのでその影響だ……つまり、俺自身に才能があるとかそういうことではないわけだ。
閑話休題
精霊単体での属性魔法、そして複数で力を合わせて行う合成魔法などを実験。
使えば使うほどスキルは熟練度を伸ばしていき、新たなスキルを獲得していく。
爆、雪、霧、熔、塵属性の魔法スキル。
それらを新たに身に着け、使える魔法の数もどんどん増えていった。
ただ、これ以上は精霊たちの助力を得たとしても、現状のままでは難しいだろう。
微精霊たちでは二種以上の合成魔法は難しく、術式が崩壊してしまうのだ。
「まあ、これについては追々かな? みんなが成長すれば、いつかちゃんとできるようになるよ。だからそんなに落ち込まないでね」
『──』
「本当なら、無属性を挟まないと人族は使えないんだからね。それを純粋な制御だけでどうにかできるんだから、みんなはとっても凄いんだから」
『……♪』
なお、ナースは純粋に虚無特化個体であるため、そちら関係は期待できない。
力を蓄え、早く下級精霊へ昇級できるように俺も尽力しなければ。
「それにしても、陽炎都市への入り口が見つからないな……どうしようかな?」
砂漠の気温の変化は著しく、長時間の滞在は死の危険を伴う。
特にここは迷宮であるため、そんな性質が如実に出ている。
具体的に言うと、一定時間過ぎても外に居ると耐性スキルが通用しづらくなるのだ。
減衰以上に耐性を高めれば良いのだが、現状ではそれも難しいからな。
そのため、見つけられないのであれば砂漠の外に出なければならない。
だが何としても今日中に見つけたい、そのための術をいくつか試してみることに。
「“限界突破”──“幸運”!」
……うん、探知とかそういう方法はすでにやり尽くしていた。
なのですべては神のみぞ知る、運頼みで探すことに。
「まあ、凶運だから、全然底上げして見つからないんだよね……スキルも自力で得たモノじゃないから、効果が完全じゃないし」
祈念者の権能の一つ[スキル習得]。
器であるアバターに与えられた、万能の適性を利用することで、一般スキルであればそのほぼすべてを習得できるこのシステム。
いろいろあって完全な祈念者ではない俺の場合、習得に必要なSPは持っていても、それを使用できない状態なんだが……まあ、それは別の機会に。
そのため、別の方法を経由して、擬似的に習得している。
……それでも、俺は俺自身の適性を用いて縛りプレイをしているので、問題が一つ。
魔法スキルでも軽く語った通り、適性の無さが習得済みのスキルにも影響を及ぼしているのだ──限界突破はそれをどうにかするための、いわゆる応急処置に過ぎない。
「……演技スキルなんて、限界突破を使ってもカバーしきれないみたいだけどね。僕、どれだけ才能が無いって認定されているんだろうねぇ」
『?』
「ううん、ディーは心配しなくても大丈夫だからね。ともかく今は、陽炎を──って、アレかな?」
いつの間にやら、ディーと話している間にかなり遠い場所でこれまでは見えていなかったモノが見えてきた。
他に確かめるものも無いのだ、とりあえず行ってみてチェックしてみようか。
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