AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と弟子特訓 その03
生産班のメンバーたちに、身力操作をスキル無しで扱う術を教えていく。
魔力操作に関しては、割とすぐに体得していく……魔法を使うときとかもやるからな。
問題はそれ以外の身力だ。
武技として使う精気力も、生産に特化している彼女たちはそこまで慣れていない……だがこちらは、武技を使い続ければいい。
一番厄介なのは生命力の操作。
命を削る能力でも持たない限り、滅多に感じ取ることなど無いであろう生命力。
通常の方法では感知不可能である。
PSスキルが高い……というか、現実でもそういう修業をしている輩の中には、できる人は居るらしいけどな。
「──というわけで、生命力は逆に最初から感知できた方が怖いからね。普通は、魔力と精気力の感知をできるようにしてから、自分の中に流れる違和感を掴むんだよ。みんなはまず、精気力を操れるようになろうね」
『はい!』
「方法は二つ。この世界の定番、魔道具を介してゆっくりと覚えていくか……創作物の定番、強引に私が送ったものから感覚を掴むかだね。痛くは無いけど、ちょっとだけむず痒くなるらしいからね」
そう伝えて少しの間だけ待つ。
なんというか、いつも身力関係のことをやると眷属に怒られるからな……慎重にやるつもりではいるがな。
やがて、出した答えは体験。
とりあえず一人が譲渡の方をやってみて、問題が無さそうなら他の者も選ぶらしい。
「クーチェ、本当にやるの?」
「う、うっす……お願いします」
「ふーん、まあいいけど。それじゃあ、座ってね……リラックスして、流れてきたものを拒絶しないで受け入れるんだよ」
「わ、分かりまし──っ!?」
言い終える前に、一気に精気力を流し込んで認識させる。
眷属同様、彼女も突然の体内の変化によって顔が紅潮し出す。
時々息を漏らし、薄っすらと出始める汗。
モジモジと動く体に、ゴクリと息を呑む周囲の少女たち。
……まあ、勝気な子が普段見せない姿に、何か思うところでもあるのかもな。
代謝が上がっているので、こうなるのは仕方ないんだけども。
「どうかな、何か掴めた?」
「ッ……!」
「ああ、今は耳とかも敏感だしね。もっと小さな声の方がいいかな……大丈夫?」
「う、うっすぅッ~~~!」
神眼で視る彼女の流れは、たしかに精気力へ触れている。
おそらく大丈夫だろう……供給を止めるとその瞬間、倒れ伏してしまう。
予め柔らかいクッションを配置しておいたので、そこでグッタリとしている。
脈も安定しているし、大丈夫かと判断してから……周りに目を向けた。
『ッ!?』
「さーて、みんなはどっちがいいかな? 魔道具を使うのと、私が流すのと」
『…………』
「あ、あれ? てっきりここは、怖いから魔道具を使う流れになると思ったんだけど……あっ、ほら、クーチェも落ち着いてきたし、どれだけ怖いかちゃんと聴こうよ!」
俺はその場から少し離れ、彼女たちの選択がどうなるかを待つ。
もちろん、魔道具を揃えてすぐに始められるようにして。
やがて話を終えた彼女たちは、こちらに無言で近づいてくる。
そして、彼女たちは選ぶ──この先は、言わなくても分かるだろう。
◆ □ ◆ □ ◆
精気力感知と生命力感知、そしてなぜか魔力感知と三セットもやった。
三回もやった影響か、制御も簡単に体得してくれた……まだやろうとしていたけど。
とにかく、感知も制御も見事にスキルを獲得したので、次の段階に移行する。
それぞれの分野で上手く身力を使い、生産するアイテムの品質を上げていくのだ。
「──うん、私が教えられることはもうあと一つだね。それぞれを特化して注ぎ込むのもいいけど、組み合わせてやるのも面白いよ。特に、三つの身力を混ぜた力──丹力はね」
突然の新単語に、当然それは何なのかという質問が入る。
普通は秘匿されているんだが……まあ、俺は偽善者だし隠す必要は無いか。
「丹力とはすなわち、生命力・魔力・精気力のちょうどいい比率で混ぜた時に生みだされるエネルギーだよ。まあ、凄い力が宿る……というほどでもないけど、なんと、どの力としても使うことができるんだ!」
スキルには命を魔力に変換するものや、その逆をしたりするものがある。
誰でも習得すればできる代わりに、必ず何かを支払わねばならないというリスク付き。
だが、丹力であれば変換というロストをゼロにしてエネルギーの供給が可能だ。
まあ、代わりに三つ分のエネルギーが必須となるので、消費はするんだけどな。
「具体的な比率は個人で違うし、機人やそれ以外の肉体を持たない種族なんかは使えないみたいだけどね。あくまでも、身・技・体みたいに、肉体・精神・魂の三つが無いとダメなんだって」
過去に持っていた、というタイプならまた頑張ればできるらしいけども。
もともと持たない種族となると、感覚自体が掴めないとかそんな話らしい。
丹力は主に闘士系の者が会得する技術。
まだ完璧な解析は済んでおらず、今なお調査中である。
先んじて眷属たちに会得してもらい、集めた結果から情報を今は伝えていた。
……大半が天才や秀才なので、鵜呑みにはできないけどな。
「よーしそれじゃあ、これが最後なんだから頑張ろう! 比率は分からないけど、調律は私でもできるからね……可能な限りお手伝いするから、みんないっしょにできるようになるといいね」
『はい!』
そして、再び頼まれて直接の調律をやらされることになるのだが……まあ、彼女たちなりにやる気があるってことか。
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