AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と渡航イベント中篇 その08
それからナックル、そしてアヤメさんと相談をしてその日は解散。
翌日にはさっそく海戦が始まるので、その準備をする必要がある。
「──というわけで、全員集合!」
俺が号令をかけると、まあまず従順なヤツ代表のシャインがすぐに現れた。
他は全然なので、シャインに何でもいいから連絡してくれと伝え、任せてみる。
他人には見えない画面を操作して始めたので、[メニュー]を使っているようだ。
喋らないので、[掲示板]か[メール]だろうな……なんて予想しながら少し待つ。
「全然集まらないな……たしか、今日は別に学校があるわけじゃないだろう?」
「アイツら……すぐに呼んできます!」
「いや、別にいいさ。連絡はしたんだろ?」
「は、はい、[メール]を使って」
ちゃんと[メール]にも複数人に同じ内容で送る機能はあるので、それを使っていっせいに送信したのだろう。
こちらに[ログイン]していれば、通知が入るはずなので分かると思うのだが……全員に非通知にされているとも考えづらい。
「ふむ……妨害があるわけでもないだろう。そこまで厄介ごとに絡む奴なんて……居ないわけでもないけど、さすがに全員じゃないだろうし」
「いかがなさいますか?」
「眷属印を使えば、場所の特定もすぐにできるぞ。けどまあ、待つのもいいからな……そうだな、少し勝負でもするか?」
率先して俺に挑んてくるのはアルカくらいだし、たまには他の祈念者眷属と戦ってみるのも悪くないだろう。
特にシャインは俺と戦うようなことをしないので、戦闘は観るだけが多いのだ。
……せっかくの機会だし、時間を潰すついでに戦ってみよう。
「俺は武技も魔法も使わない、ただ身力の運用はする。お前は何をしてもいい、そんな感じでやってみよう……どうだ?」
「ですが、ご主人様に攻撃するなど……」
「問題ないさ。俺が評価したくなるレベルの結果が出せたら、ご褒美を出そう。だから本気で掛かってこい」
「! 分かりました、なら──全力で行かせてもらいます!」
というわけで、模擬戦を始める。
時間は全員が集まるまで、それまでは延々と戦い続ける予定だ。
出会った頃はただの剣だった武器も、今では立派に聖剣。
防具などもばっちりだし、スキルや職業の力だけに頼らない戦い方を覚えている。
特に変わっているのは、【堕勇者】の持つデメリットに耐えているということ。
あの頃は暴走しないと使えなかった技も、今じゃ自由に使いたい放題だ。
「それじゃあ、始めますか」
対する俺は無手、特段凝った装備などはしないまま戦う予定。
傍から見れば舐めプだが、そうではないことはシャインも分かっている。
浅く呼吸をして、足に意識を注ぐ。
どっしりと、地面に根深く留まるイメージで──精霊術を行う。
防御型の『土堅』、まずは一つに専念して攻撃を防いでみる。
……さて、全員が集まるまでにどれだけできるのやら。
◆ □ ◆ □ ◆
シャインは名前とは裏腹に、闇の力を操り翻弄してくる。
デバフをもたらす“闇迅剣”、攻撃を吸収する“闇迅盾”、影を渡る“闇迅脚”。
他にもデバフを溜め込んで性能を強化する“闇迅鎧”など、本来は【闇勇者】のみが使う固有能力を、よりデメリットを高めた形で高性能版として使うことができる。
「──疾ッ!」
本気で来いと言ったからか、いきなり影から死角へ飛んで来た。
そのまま振るわれる鋭い斬撃、俺はただその軌道に腕を乗せる。
「──ッ!」
「今の俺は、結構堅いぞ」
肉体の硬度が高まっているので、並大抵の攻撃ではダメージは与えられない。
もちろん、しっかりとした状態で使えていればの話だが。
一撃一撃、受けるたびに俺の集中力は低下していく。
それでも一定以下にはならず、攻撃そのものはどうにかできる。
問題は防ぐことに意識を注ぐ必要があるため、反撃ができないということ。
シャインの攻撃に慣れ、無意識で防御ができるまではこのままお預けとなる。
「ならば──“闇迅剣・影舞”」
「へぇ……こりゃあいい」
そんな俺の考えを読んだのか、シャインは自身の剣を足元に突き刺す。
すると周囲の影が蠢き、剣を引き抜くと同時にそれらが剣の形となって浮かび上がる。
手数で圧し切り、俺の集中力を奪って攻撃が通るようにするつもりだろう。
なるほどたしかに、このままでは間違いなくその通りになる。
「なら、こっちも少し変えるぞ」
「来る……速い!」
「ははっ、ギアを上げていくぞ!」
地道に精霊術は磨いているので、それなりに使えるようにはなっていた。
今回使うのは、風の力で己をより速めることができる『風捷』。
上がるのは攻撃力ではなく敏捷力。
だが堅さが力となるように、苛烈なまでに高められた速さもまた力を生み出す。
身力で全身を強化して保護し、その力を使い加速。
速さを緩めないまま、ノンブレーキでシャインを至る所から攻撃していく。
風の力は俺の追い風となり、自重を軽くして手に宿る。
ぶつかるごとにその小さな風が吹き荒れ、確実に攻撃を届かせていく。
そうして戦っていると、風の力が周囲の気配を読み取ってくれる。
どこでも吹く風なので、そういう探知としても使うことができた。
──うん、ようやく到着した者が現れ始めたようだ。
つまりはそろそろ、お開きになるかもしれないということだな。
「AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
201
-
2,400
-
-
1,391
-
1,159
-
-
1,798
-
1.8万
-
-
270
-
1,477
-
-
408
-
439
-
-
59
-
430
-
-
2.1万
-
7万
-
-
115
-
580
-
-
176
-
61
-
-
83
-
2,915
-
-
432
-
947
-
-
4,126
-
4,981
-
-
86
-
893
-
-
572
-
729
-
-
2,534
-
6,825
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
450
-
727
-
-
756
-
1,734
-
-
66
-
22
-
-
1,658
-
2,771
-
-
5,039
-
1万
-
-
2,178
-
7,299
-
-
147
-
215
-
-
428
-
2,018
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
2,799
-
1万
-
-
1,059
-
2,525
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
3,152
-
3,387
-
-
164
-
253
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
614
-
221
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
614
-
1,144
-
-
1,295
-
1,425
-
-
6,675
-
6,971
-
-
1,000
-
1,512
-
-
265
-
1,847
-
-
29
-
52
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
116
-
17
-
-
86
-
288
-
-
14
-
8
-
-
65
-
390
-
-
398
-
3,087
-
-
76
-
153
-
-
47
-
515
-
-
10
-
46
-
-
218
-
165
-
-
1,863
-
1,560
-
-
187
-
610
-
-
6
-
45
-
-
62
-
89
-
-
104
-
158
-
-
108
-
364
-
-
23
-
3
-
-
2,951
-
4,405
-
-
4
-
1
-
-
89
-
139
-
-
71
-
63
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
42
-
14
-
-
215
-
969
-
-
213
-
937
-
-
62
-
89
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
33
-
48
-
-
27
-
2
-
-
4
-
4
-
-
3,548
-
5,228
「SF」の人気作品
-
-
1,798
-
1.8万
-
-
1,274
-
1.2万
-
-
477
-
3,004
-
-
452
-
98
-
-
432
-
947
-
-
432
-
816
-
-
415
-
688
-
-
369
-
994
-
-
362
-
192
コメント