AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と自己紹介 その49
夢現空間 居間
「……故?」
「特に何も無かったぞ。しいて言うなら、帝国だと半端ない額の懸賞金を求めて、さらに冒険者や傭兵が集まっているぐらいか。移動費のサービスとか規制の緩和をして、徹底的に追い詰めるつもりだそうだ」
「呆」
「そう言われても、俺にはこれしか考え付かなかったんだよ。もちろん、うちのヤツらならもっといい考えを出しただろうけどな」
嘆息する彼女に追加の茶菓子を用意し、つい先日の出来事を話す。
ギュッとぬいぐるみを抱き締めながら、そのお菓子を食べていく。
「それにしても、魔道具の効果はしっかりと機能しているな。ちゃんと、言葉の意味が追加で分かるようになっている」
「是」
「俺の世界の創作物だと、深層心理まで読み出しちゃって大変……なんてイベントもあるらしいがな。いやいや、そうならないことは事前に説明しただろう? 表層意識で考えたことしか出てこないよ」
「疑念……」
彼女の喋り方は眷属の中でも独特なので、一言ですべてを語り尽くすのは難しい。
そこで俺が用意したのは、その発言の意図が分かるようになる魔道具。
イメージ的には、どれだけ意味不明な言葉でもルビが振られる感じだろうか。
歌などにある、絶対にそうは読まないだろうというアレも、音なら理解できるヤツだ。
というわけで、ある程度言葉が伝わるようになっている。
一言一言区切るよりも、こっちの方が彼女も手っ取り早いだろう。
「まあ、ともかく始めるとしようか……第四十九回クエッションタイム! 本日のゲストはこの方──神秘の大妖怪『輪魂穢廻』、その受肉体であるリンカちゃんです!」
「否定」
「悪い悪い。ただ、実年齢はともかく見た目も受肉してからの年も子供レベルだ。傍から見たらそういう外見だってのは、忘れないでくれよ?」
「了解」
そんなこんなで、いつも通り質問をする時間が始まる。
……魔道具を開発したのも、そうしないと質問に翻訳が必要だったからだな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「問01:あなたの名前は?」
「綸嘉」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
「元無、狭間、不明」
「狭間について補足すると、世界同士を繋ぐ場所の総称だ。今回は人族が主に活動する世界と妖怪たちの世界との間の場所になる」
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
「褐色、幼体、黒髪黒目」
「褐色和風ロリ、みたいな感じだな」
「問04:あなたの職業は?」
「【人形姫】」
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
「……冷静沈着《くがすくない》」
「問06:あなたの趣味、特技は?」
「……裁縫」
「うん、可愛い趣味だと思……ぐへっ!」
「黙!」
「問07:座右の銘は?」
「輪廻転生」
「……いやまあ、たしかにそうだけどな。それを実際にできるのは、お前とアイぐらいだと思うぞ」
「問08:自分の長所・短所は?」
「長所、蘇生。短所、皆無」
「うちのヤツらは全然死なないからな」
「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」
「愛好、動物。嫌悪、聖気」
「ちなみにどういう動物が好きなんだ?」
「……小」
「問10:ストレスの解消法は?」
「針」
「怖い、怖いから」
「問11:尊敬している人は?」
「師匠」
「連絡とか取っているのか?」
「無」
「……今度、探してみるか」
「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
「肉体」
「へー、なんでだ?」
「秘密」
「問13:この世で一番大切なものは?」
「命」
「問14:あなたの信念は?」
「受入」
「リンカは能力で、魂を受け入れられる。そして、それを保存する器も用意できるぞ」
「問15:癖があったら教えてください」
「発見、裁縫」
「問16:ボケですか? ツッコミですか?」
「後者」
「問17:一番嬉しかったことは?」
「縫……内緒」
「問18:一番困ったことは?」
「難解」
「ほぅほぅ、例えば?」
「……対人」
「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
「無飲」
「まあ、見た目は子供だからな。他のヤツ同様に我慢してくれよ」
「問20:自分を動物に例えると?」
「……猫」
(増えるって意味だと間違いないか)
「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
「皆無」
「まあ、褐色和風ロリぐらいは言うな」
「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
「最初、博打」
「……ひ、酷い言われようだ」
「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」
「……秘密」
「秘匿事項が多いな」
(……ぬいぐるみを強く抱き始めたから、それに関することかな?)
「問24:自分の人生、どう思いますか?」
「不明」
「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
「皆無」
「ああうん、そうだな」
「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
「挑戦、完成」
「問27:何か悩み事はありますか?」
「未完、困難」
「問28:死にたいと思ったことはありますか?」
「皆無」
「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
「尊師」
「……本当、凄い憧れだよ」
「問30:理想の死に方があればどうぞ」
「不明」
「生まれたばかりだしな」
「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
「妖怪、謝罪」
「問32:最後に何か一言」
「生存、功罪」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はい、カット! ……別にさ、俺と生きることが贖いになるわけじゃないよな?」
「……秘密」
「まあいいさ、俺たちは家族だ。罪を償うって言うなら、俺も眷属たちもいっしょに背負う気でいる。何かあったら、いつでも誰かを頼ってくれよ」
「……了解」
今はまだ、頭に留めておく程度で良い。
いつか本当にそれが必要な時に、できるようにするためにもな。
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