AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と夢現祭り三日目 その06
連続更新です(06/12)
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「世界の終わりって……あんな感じかな?」
「片や神にすら殺せない最強の龍。片や大罪の一つ【憤怒】を振るう魔法使い。そもそもの話、魔法系の職業で【憤怒】を得ることってたぶんありえないんだろうな」
「……まあ、アニメとかラノベでも、普通は前衛系のキャラのヤツだよね」
アルカとソウの戦いは、終焉を思わせるほどに激しいモノである。
空間魔法で至る所に動くアルカを、竜人状態で追いかけるソウ。
すでに【憤怒】は髪と瞳を赤に染め上げ、ギリギリまで力を引き出しているアルカ。
魔法にその力を付与する『憤怒纏魔』を発動させ、あらゆる魔法が炎を纏っていた。
「だからこそ、アルカと相性がいい。今はあらゆる魔法が使えるから、そこに【憤怒】の炎を纏わせるだけでも強力だ。代償も、精神系の魔法が使えるからだいぶ抑制可能だ」
「それは……大丈夫なのでしょうか? 旦那様の力は、より上位の力があってこそ抑制できているのですよね? いくらそれが一つ分だけとはいえ、魔法で抑えられるとは思えませんが……」
「フィレルが言うことももっともだけどな。精神魔法の中には、本人の精神強度を高める魔法もある。元が異常に頑強だから、それで凌げているってだけの話だ。これも、魔法職だからこそかもしれないな」
本来の条件を無視して、適正だけで付与した結果起きたイレギュラーな獲得者。
安全な場所で、凶悪とも呼べるエネルギーの塊を飛ばすだけで勝つことができる。
アルカはすでに、攻城戦イベントの際にソウと手合わせ済み。
それから時間もあったし、闘い方を編み出していたのだろう。
決して距離を詰めさせないよう立ち回り、魔法で少しずつ削っていく。
その間により火力の高い魔法を構築し、投下したらまた弱い魔法を繰り返す。
弱い、といってもそれはアルカにとってのという意味。
そのすべてが上級魔法レベルの代物、そこに超級レベルの魔法を混ぜていた。
「よく魔力が尽きないよね……」
「“湧き立つ衝動”って能力が、消費したエネルギー分回復速度を上げるんだよ。代償があるからあんまり使わないけど、ソウが相手なら使わざるを得ないわけだ」
「ですが旦那様、ソウさんもまったくの無傷のようですが」
「アイツの鱗、異様に堅いからな。俺でもできないぞ──上級以下の無効化、魔法と魔力と属性攻撃に対する軽減と減少って」
まず、ソウに対する魔法は超級以上で無ければ意味を成さない。
そして超級以上であっても、三段階の弱体化を受けたうえでダメージ計算が行われる。
アルカが上級魔法を飛ばしているのは、それでも当たり判定自体はあるから。
それによって連鎖系の能力を発動させ、超級以上の魔法の火力を上げているのだ。
……ちなみに下級と中級だと、鱗に当たる以前で掻き消される。
なので最低でも届き得る、上級魔法でコンボを稼いでいた。
「アルカの固有魔法? みたいなアレが、当たった判定に炎をプラスしている。ソウもあれだけは抵抗するために、微量の魔力を使わないといけない」
「あの真っ黒い炎だね。魔神とか、地獄の炎とかそういう感じ?」
「……俺、知らないんだよな。たぶん悪魔関連のモノなんだろうけど、そういえば調べるの忘れてたな。全コピーだったから、必要なかったし」
「よく使えるね、そういうの」
あのアルカが自分のために創った魔法。
よく殺されかける俺だからこそ、信じられるという認識だ。
今も着実に“奪魔掌《マジックテイカー》”と“魔喰の牙《マジックイーター》”対策が出来上がっているはずだ……うん、コピーするときが楽しみである。
≪アン様、アルカ選手とソウ選手の勝敗はどうなると思われますか?≫
≪アルカ選手は魔法特化、対するソウ選手は万能型……のようなものです≫
≪何か違いがあるのですか?≫
≪単純に有する力が膨大ですので、何をしても超火力になるのです。ある意味において、力に特化した存在がソウ選手なのです≫
拳で砕き、蹴りで払い、翼や尾で打ち飛ばすパワープレイ。
アルカがどこに向かおうと、体を動かせばほんの一瞬で近づいている。
アルカも時魔法や認識速度を上げていなければ、対処できないほどの速度。
それらをいっさい身体強化を行わず、追いついては追い詰めているのがソウの怖い点。
≪このままでは、アルカ選手が判定に失敗して暴走することになるでしょう。そうなれば隙が生まれ、敗北となります。それまでに倒すために、アルカ選手はある仕込みをしていますね……それが成功すれば、あるいは≫
≪仕込み、ですか? それはいったい、どんなものなのでしょうか?≫
≪もう少し待ちましょう。無数の魔法を放っているのは、牽制であり連鎖の維持を行うためであり……布石のためなのですから≫
それでもアルカは諦めない。
彼女は相手がどんな強敵だろうと、己の才覚を信じて持ちうるすべてを使い、相手を倒すために考えることを止めないのだ。
今も頭を使いながら魔法を使い、勝負を決めるその瞬間を待っていた。
ソウを目的の地点に気づかれないよう誘導して……起動させる。
──これまでにない壮絶な爆発が、ソウを中心に引き起こされた。
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「世界の終わりって……あんな感じかな?」
「片や神にすら殺せない最強の龍。片や大罪の一つ【憤怒】を振るう魔法使い。そもそもの話、魔法系の職業で【憤怒】を得ることってたぶんありえないんだろうな」
「……まあ、アニメとかラノベでも、普通は前衛系のキャラのヤツだよね」
アルカとソウの戦いは、終焉を思わせるほどに激しいモノである。
空間魔法で至る所に動くアルカを、竜人状態で追いかけるソウ。
すでに【憤怒】は髪と瞳を赤に染め上げ、ギリギリまで力を引き出しているアルカ。
魔法にその力を付与する『憤怒纏魔』を発動させ、あらゆる魔法が炎を纏っていた。
「だからこそ、アルカと相性がいい。今はあらゆる魔法が使えるから、そこに【憤怒】の炎を纏わせるだけでも強力だ。代償も、精神系の魔法が使えるからだいぶ抑制可能だ」
「それは……大丈夫なのでしょうか? 旦那様の力は、より上位の力があってこそ抑制できているのですよね? いくらそれが一つ分だけとはいえ、魔法で抑えられるとは思えませんが……」
「フィレルが言うことももっともだけどな。精神魔法の中には、本人の精神強度を高める魔法もある。元が異常に頑強だから、それで凌げているってだけの話だ。これも、魔法職だからこそかもしれないな」
本来の条件を無視して、適正だけで付与した結果起きたイレギュラーな獲得者。
安全な場所で、凶悪とも呼べるエネルギーの塊を飛ばすだけで勝つことができる。
アルカはすでに、攻城戦イベントの際にソウと手合わせ済み。
それから時間もあったし、闘い方を編み出していたのだろう。
決して距離を詰めさせないよう立ち回り、魔法で少しずつ削っていく。
その間により火力の高い魔法を構築し、投下したらまた弱い魔法を繰り返す。
弱い、といってもそれはアルカにとってのという意味。
そのすべてが上級魔法レベルの代物、そこに超級レベルの魔法を混ぜていた。
「よく魔力が尽きないよね……」
「“湧き立つ衝動”って能力が、消費したエネルギー分回復速度を上げるんだよ。代償があるからあんまり使わないけど、ソウが相手なら使わざるを得ないわけだ」
「ですが旦那様、ソウさんもまったくの無傷のようですが」
「アイツの鱗、異様に堅いからな。俺でもできないぞ──上級以下の無効化、魔法と魔力と属性攻撃に対する軽減と減少って」
まず、ソウに対する魔法は超級以上で無ければ意味を成さない。
そして超級以上であっても、三段階の弱体化を受けたうえでダメージ計算が行われる。
アルカが上級魔法を飛ばしているのは、それでも当たり判定自体はあるから。
それによって連鎖系の能力を発動させ、超級以上の魔法の火力を上げているのだ。
……ちなみに下級と中級だと、鱗に当たる以前で掻き消される。
なので最低でも届き得る、上級魔法でコンボを稼いでいた。
「アルカの固有魔法? みたいなアレが、当たった判定に炎をプラスしている。ソウもあれだけは抵抗するために、微量の魔力を使わないといけない」
「あの真っ黒い炎だね。魔神とか、地獄の炎とかそういう感じ?」
「……俺、知らないんだよな。たぶん悪魔関連のモノなんだろうけど、そういえば調べるの忘れてたな。全コピーだったから、必要なかったし」
「よく使えるね、そういうの」
あのアルカが自分のために創った魔法。
よく殺されかける俺だからこそ、信じられるという認識だ。
今も着実に“奪魔掌《マジックテイカー》”と“魔喰の牙《マジックイーター》”対策が出来上がっているはずだ……うん、コピーするときが楽しみである。
≪アン様、アルカ選手とソウ選手の勝敗はどうなると思われますか?≫
≪アルカ選手は魔法特化、対するソウ選手は万能型……のようなものです≫
≪何か違いがあるのですか?≫
≪単純に有する力が膨大ですので、何をしても超火力になるのです。ある意味において、力に特化した存在がソウ選手なのです≫
拳で砕き、蹴りで払い、翼や尾で打ち飛ばすパワープレイ。
アルカがどこに向かおうと、体を動かせばほんの一瞬で近づいている。
アルカも時魔法や認識速度を上げていなければ、対処できないほどの速度。
それらをいっさい身体強化を行わず、追いついては追い詰めているのがソウの怖い点。
≪このままでは、アルカ選手が判定に失敗して暴走することになるでしょう。そうなれば隙が生まれ、敗北となります。それまでに倒すために、アルカ選手はある仕込みをしていますね……それが成功すれば、あるいは≫
≪仕込み、ですか? それはいったい、どんなものなのでしょうか?≫
≪もう少し待ちましょう。無数の魔法を放っているのは、牽制であり連鎖の維持を行うためであり……布石のためなのですから≫
それでもアルカは諦めない。
彼女は相手がどんな強敵だろうと、己の才覚を信じて持ちうるすべてを使い、相手を倒すために考えることを止めないのだ。
今も頭を使いながら魔法を使い、勝負を決めるその瞬間を待っていた。
ソウを目的の地点に気づかれないよう誘導して……起動させる。
──これまでにない壮絶な爆発が、ソウを中心に引き起こされた。
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