AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と攻城戦後篇 その15
連続更新となります(09/12)
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とはいえ、俺がやることは模倣のみ。
ギーの力はそれに特化しており、本来積み重ねが無ければ力を発揮できない。
解放されている身体スキル、そしてティルの礼装を纏っている最中に使ったスキル。
それらの効果によって身体能力の高め、相手が使う攻撃すべてを認識していく。
唯一、カナの使う技は大抵が導士関連のものなので大半が模倣できない。
シュリュのように眷属になっているならともかく、相対する者の能力は無理みたいだ。
それでも、三つの首を持ち千の魔法陣を操る蛇龍『アジ・ダハーカ』ことハーク。
死の天使にして魔王、種族はその両方を使いこなす天魔『サマエル』ことケイコク。
彼らの戦闘能力をカナが飛躍的に高め、俺と戦わせていた。
その目的は移動の阻止と時間稼ぎで、俺が召喚した『狂邪真竜』を倒している。
「しかし、こちらにとっても都合が良い」
「何を言っている?」
「知らぬ方がよい。貴様のように脳の小さい蛇如きに、俺の崇高な考えなど理解できないのだからな」
「……その嘘臭い演技も一貫か? 我はその蛇如きの姿で神を出し抜いた男だぞ。このような姿になってしまえば、貴様の凡庸かつ平凡な思考など読み切ってしまえるわ」
途中からやや魔王ロールを始めていたのだが、どうやらまたバレていたようだ。
演技力皆無、眷属からも大根役者と呼ばれる俺の演技なので当然と言えば当然だが。
カナとハークは後方支援。
強化されたケイコクが光と闇の双剣を振るい、十二枚の羽に火を燈してそれを飛ばしては命を狙ってくる。
「片方が盲目の男とは思えぬ剣技だな。それも神話通りの力か?」
「弛まぬ努力、その結果よ。元は光か闇か、そのどちらかだけだったが……カナの下に付き、より清廉さを増した今の戦闘法は、完璧とも言えよう」
「光にも闇にも呪いを付け、傷を与えても与えられても呪うような奴が何をほざいているのやら」
サマエルらしき蛇は、神話において原初の人と神を欺いた。
その罰として呪いが与えられ、人には寿命という概念がもたらされる。
そんな伝承が残っているからか、目の前の天魔にも呪いを操る力があった。
しかも、それなりに聖性を感じる光の剣の方からも……うん、見た目は関係ないのか。
俺は現在、それをただ避けていた。
幸い、スキルを使えば回避行動を勝手に実行してくれるし、体を慣らせば少しずつ使用頻度は下げられる。
どうしても困ったら上に、そして瞬脚で元の場所に戻ればスキルも再使用できるだけの時間を稼げた。
そうして時間を稼いでいれば、いずれ目的は達せられる。
……体を縛る魔法陣は、少しずつ解れていき──完全に消滅した。
「時間稼ぎへの協力、感謝するよ。お陰で俺の力を戒めていた魔法は解除された」
「魔龍よ、貴様の性格は嫌いでも腕は否定できなかった。それは本当か?」
『クッ……一つ首の施した魔法は即興のものです。あなたが仕留められなかったため、自力でそれを解いたのでしょう』
「そういうことだ、天魔よ。せっかくだ、一つぐらい俺からも返礼をせねばな」
ハークが見せてくれた千以上の魔法は、これからの俺にとって実に役立つ魔法を無数に提供してくれたわけだし。
あくまでギーのスキルで収まる範囲で、見せられるものと言えば──
「まずは“完全再現”。そして魔導解放──“万雪積もる豹の狩場”!」
かつて、幻影の賢者が解き放った魔導。
俺と俺の偽物が繰り出したものを除けば、唯一他者が編み出した魔導を模倣する。
周囲一帯が吹雪に包まれると、カナたちを囲うように無数の雪豹たちが姿を現した。
彼らは雪がある限り、何度でも再生して敵対者へと牙を剥き──狩りが行われる。
「カナとハーク、貴様らの相手はこれで充分だろう。ケイコク、まずは貴様から潰す」
「面白い冗談だ。やれるものならやってみせるがよい!」
「冗談ではなく、ただの事実なのだがな……それは、貴様の身を以っているのだな」
ギーの模倣は、あくまで技やスキルなどの起こされた変化を模倣するもの。
なので魔技系は模倣できても、武術の動きそのものを模倣することはできない。
そこは自分自身で補うしかないのだ。
ティル師匠に習い、多くの武芸者から倣った俺だけの武術──夢現流武術を以って。
「──“天装”、“分裂”、“戦闘学習”」
天使がよく使う光の武具。
それを生み出すスキル光装、その上位スキルである天装で武具を生み出す。
より威力を増した光の剣を一本作り上げると、それを二本に増やしておく。
最初から二本にしておかなかったのは、その方が一本に力を籠められるからだ。
そうして戦闘準備が整ったところで、これまで回避しながら溜め込んでいた対ケイコク用の情報を脳にインプットしておく。
本来はギーが俺を補助するためのスキルだが、今はこういう使い方もできる。
流れ込んでくる膨大な量の情報も、身体スキルで引き上げた思考能力で処理可能だ。
「俺は武技を使わない。それでも貴様は、俺に敗北する。その理由を知りたくば、とっととかかってこい」
「知る気はない、だが挑ませてもらう。その目的は、貴様に敗北を与えるためだがな!」
互いに宣誓しあい、剣戟を繰り広げる。
魔導もカナとハークなので、そう長くはもたないだろう……初めから全力でやれば、ギリギリ間に合うか?
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とはいえ、俺がやることは模倣のみ。
ギーの力はそれに特化しており、本来積み重ねが無ければ力を発揮できない。
解放されている身体スキル、そしてティルの礼装を纏っている最中に使ったスキル。
それらの効果によって身体能力の高め、相手が使う攻撃すべてを認識していく。
唯一、カナの使う技は大抵が導士関連のものなので大半が模倣できない。
シュリュのように眷属になっているならともかく、相対する者の能力は無理みたいだ。
それでも、三つの首を持ち千の魔法陣を操る蛇龍『アジ・ダハーカ』ことハーク。
死の天使にして魔王、種族はその両方を使いこなす天魔『サマエル』ことケイコク。
彼らの戦闘能力をカナが飛躍的に高め、俺と戦わせていた。
その目的は移動の阻止と時間稼ぎで、俺が召喚した『狂邪真竜』を倒している。
「しかし、こちらにとっても都合が良い」
「何を言っている?」
「知らぬ方がよい。貴様のように脳の小さい蛇如きに、俺の崇高な考えなど理解できないのだからな」
「……その嘘臭い演技も一貫か? 我はその蛇如きの姿で神を出し抜いた男だぞ。このような姿になってしまえば、貴様の凡庸かつ平凡な思考など読み切ってしまえるわ」
途中からやや魔王ロールを始めていたのだが、どうやらまたバレていたようだ。
演技力皆無、眷属からも大根役者と呼ばれる俺の演技なので当然と言えば当然だが。
カナとハークは後方支援。
強化されたケイコクが光と闇の双剣を振るい、十二枚の羽に火を燈してそれを飛ばしては命を狙ってくる。
「片方が盲目の男とは思えぬ剣技だな。それも神話通りの力か?」
「弛まぬ努力、その結果よ。元は光か闇か、そのどちらかだけだったが……カナの下に付き、より清廉さを増した今の戦闘法は、完璧とも言えよう」
「光にも闇にも呪いを付け、傷を与えても与えられても呪うような奴が何をほざいているのやら」
サマエルらしき蛇は、神話において原初の人と神を欺いた。
その罰として呪いが与えられ、人には寿命という概念がもたらされる。
そんな伝承が残っているからか、目の前の天魔にも呪いを操る力があった。
しかも、それなりに聖性を感じる光の剣の方からも……うん、見た目は関係ないのか。
俺は現在、それをただ避けていた。
幸い、スキルを使えば回避行動を勝手に実行してくれるし、体を慣らせば少しずつ使用頻度は下げられる。
どうしても困ったら上に、そして瞬脚で元の場所に戻ればスキルも再使用できるだけの時間を稼げた。
そうして時間を稼いでいれば、いずれ目的は達せられる。
……体を縛る魔法陣は、少しずつ解れていき──完全に消滅した。
「時間稼ぎへの協力、感謝するよ。お陰で俺の力を戒めていた魔法は解除された」
「魔龍よ、貴様の性格は嫌いでも腕は否定できなかった。それは本当か?」
『クッ……一つ首の施した魔法は即興のものです。あなたが仕留められなかったため、自力でそれを解いたのでしょう』
「そういうことだ、天魔よ。せっかくだ、一つぐらい俺からも返礼をせねばな」
ハークが見せてくれた千以上の魔法は、これからの俺にとって実に役立つ魔法を無数に提供してくれたわけだし。
あくまでギーのスキルで収まる範囲で、見せられるものと言えば──
「まずは“完全再現”。そして魔導解放──“万雪積もる豹の狩場”!」
かつて、幻影の賢者が解き放った魔導。
俺と俺の偽物が繰り出したものを除けば、唯一他者が編み出した魔導を模倣する。
周囲一帯が吹雪に包まれると、カナたちを囲うように無数の雪豹たちが姿を現した。
彼らは雪がある限り、何度でも再生して敵対者へと牙を剥き──狩りが行われる。
「カナとハーク、貴様らの相手はこれで充分だろう。ケイコク、まずは貴様から潰す」
「面白い冗談だ。やれるものならやってみせるがよい!」
「冗談ではなく、ただの事実なのだがな……それは、貴様の身を以っているのだな」
ギーの模倣は、あくまで技やスキルなどの起こされた変化を模倣するもの。
なので魔技系は模倣できても、武術の動きそのものを模倣することはできない。
そこは自分自身で補うしかないのだ。
ティル師匠に習い、多くの武芸者から倣った俺だけの武術──夢現流武術を以って。
「──“天装”、“分裂”、“戦闘学習”」
天使がよく使う光の武具。
それを生み出すスキル光装、その上位スキルである天装で武具を生み出す。
より威力を増した光の剣を一本作り上げると、それを二本に増やしておく。
最初から二本にしておかなかったのは、その方が一本に力を籠められるからだ。
そうして戦闘準備が整ったところで、これまで回避しながら溜め込んでいた対ケイコク用の情報を脳にインプットしておく。
本来はギーが俺を補助するためのスキルだが、今はこういう使い方もできる。
流れ込んでくる膨大な量の情報も、身体スキルで引き上げた思考能力で処理可能だ。
「俺は武技を使わない。それでも貴様は、俺に敗北する。その理由を知りたくば、とっととかかってこい」
「知る気はない、だが挑ませてもらう。その目的は、貴様に敗北を与えるためだがな!」
互いに宣誓しあい、剣戟を繰り広げる。
魔導もカナとハークなので、そう長くはもたないだろう……初めから全力でやれば、ギリギリ間に合うか?
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