AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と橙色の交流記 その02
連続更新です(07/12)
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魔術。
眷属の中でもあまり使い手のいないこの魔技は、魔法と異なる運用法が用いられる。
そのため、魔法のように才能を求められず魔力さえあれば誰でも使うことができた。
「改めて、魔術とはどういうものかな?」
「えっとー、装華にインストールした術式を使ってー、魔力を籠めたらはつどー」
「そうだね。前にも話した通り、魔法とは異なるプロセスを踏んでいるみたいなんだ。魔法はスキルを使って外部と内部で混ぜた魔力が変換されるけど……魔術は内部の魔力だけで、スキル無しでも使えるみたいなんだよ」
アンは基礎魔術というスキルを持っているが、アレは一定数の魔術が予めプログラムされた……いわゆるお試し版のようなものだ。
そこまで強くないため、それを自分たちで改良していかなければならない。
ちなみに魔術は魔術系の職業や、この世界で造られた魔道具で書き換えが可能だ。
「魔法の場合は詠唱が必要なんだけど、魔術は最初からそれがない。威力で少々劣る所もあるけど、即効性はある……言うと、魔術は対人用のものみたいなんだよね」
「じゃー、わたしたちもー魔法の方がいいってことかなー?」
「一概にそうとも言い切れないけどね。威力が伴なえば魔法より優れているところはいっぱいあるし、君たちには装華がある。いちいち口を動かさないでも使える魔術には充分な利点があるんだ」
「……でもー、あの人ー。普通にいろんなことやってないー?」
そう指さされた俺はやることがなくて飽きてきたおり、魔力操作の練習をやっていた。
指先から異なる属性の魔力を生みだし、それを宙でクルクルと回していく。
「あれは魔法でも魔術でもないよ、ただの魔力操作。けど、それが大切なんだ」
「あれは無理だと思うけどー」
「うん、さすがにアレはやらないよ」
「──ヲイ、さっきからあれアレ言いやがって。これだって真面目に鍛え続けた結果なんだからな。俺ができることは誰でもできる、だからそんな目で見るんじゃありません」
二人がありえないものを見るような目で見ているのは、一つひとつが籠めている魔力量が膨大だからだ。
それを精密に操作する技巧は、俺がこれまでに地道にやってきた努力を証明している。
これまで知ったすべての魔技に影響する技術なので、やっておいて損はないんだけど。
「けど、やってもらいたい。メルス、例のモノを準備してくれないかい?」
「ああ、あれね──“放魔”」
「っ……!」
俺が掛けた魔法が作用した途端、ライカは立ち眩みを起こした時のようにふらふらと揺れてしまう。
その原因は、魔法の名前が示した通り魔力が体から抜けているからだ。
それは本来、正しく魔力操作ができているものであればあまり影響がない状態異常だ。
「ライカ、その状態で装華は使えるかな? できないなら、一度中止するけど」
「や、やってみる……か、『開花』」
少々苦しげに唱えた三文字。
それによって、彼女を包むように光が生まれ──次の瞬間には、光は橙色の剣や盾、鎧となっていた。
身に装備を纏った影響か、少しだけ彼女の表情が和らぐ……なるほど、耐性が付くみたいだな。
「じゃあ、回復を……って、なんだよその目は。ちゃんとやるぞ?」
「初めての子にそれはダメだよ。ポーションも持ち歩いているんだろう? そっちを使って回復させて」
「なんで……いやまあ、何かあるのか。じゃあ──これぐらいあればいいか?」
「何も起きないようにするためにしているんだけどね。あとそれだと回復量が多すぎるから、もう少し普通の物にしておいてくれ」
いつも通り、魔力譲渡をやろうとしたのに目でダメだと訴えられた。
なので方向を改め、ポーションで回復をさせることに。
消耗品なんだし、俺の魔力の方が手っ取り早いと思うんだけどな。
どうしてどの眷属も、危険だのいろいろと危ういだのと言っているんだろうか。
◆ □ ◆ □ ◆
リアによる、ライカのワンツーマンの指導が始まった。
俺は助言を乞われた時のみ、思い当たるコツを伝えるだけの簡単なお仕事。
感覚派のような才能はあまりないし、かと言って理論派でもない俺は人に教えるのが正直上手くはない。
なので称号やスキルを力を駆使して、自分のイメージをそのままライカに押し付けようとした……が、これもリアに止められた。
一度リアを中継して、その感覚をライカに教えるんだとか。
やるたびに、なぜかライカは顔を掌で隠していたな……隙間が空いてたけど。
「魔術か──“火よ灯れ”」
アンが持つ基礎魔術に登録された、生活魔法“着火”の魔術バージョン。
魔視眼を使いながら発動すると、体の中で術式が編まれ──掌に火が燈った。
魔法の場合、発動するソレはある程度後からの変更が効く。
たとえば射程を延ばすとか、発動時間を伸ばすとか。
しかし魔術の場合、そういったことが寸分の狂いもなく術式通りとなる。
威力、それに伴う影響は魔力量で調整できるらしいがな。
「俺はカスタマイズできないから、そこまで強い魔術をまだ使えないんだよな……職業に就けないって、本当に不便」
装華を介して魔術を使う、そういった方法ならばこの世界で改良ができる。
だが、それはそれでデメリットもある……リアがいずれ、ライカに説明するだろう。
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魔術。
眷属の中でもあまり使い手のいないこの魔技は、魔法と異なる運用法が用いられる。
そのため、魔法のように才能を求められず魔力さえあれば誰でも使うことができた。
「改めて、魔術とはどういうものかな?」
「えっとー、装華にインストールした術式を使ってー、魔力を籠めたらはつどー」
「そうだね。前にも話した通り、魔法とは異なるプロセスを踏んでいるみたいなんだ。魔法はスキルを使って外部と内部で混ぜた魔力が変換されるけど……魔術は内部の魔力だけで、スキル無しでも使えるみたいなんだよ」
アンは基礎魔術というスキルを持っているが、アレは一定数の魔術が予めプログラムされた……いわゆるお試し版のようなものだ。
そこまで強くないため、それを自分たちで改良していかなければならない。
ちなみに魔術は魔術系の職業や、この世界で造られた魔道具で書き換えが可能だ。
「魔法の場合は詠唱が必要なんだけど、魔術は最初からそれがない。威力で少々劣る所もあるけど、即効性はある……言うと、魔術は対人用のものみたいなんだよね」
「じゃー、わたしたちもー魔法の方がいいってことかなー?」
「一概にそうとも言い切れないけどね。威力が伴なえば魔法より優れているところはいっぱいあるし、君たちには装華がある。いちいち口を動かさないでも使える魔術には充分な利点があるんだ」
「……でもー、あの人ー。普通にいろんなことやってないー?」
そう指さされた俺はやることがなくて飽きてきたおり、魔力操作の練習をやっていた。
指先から異なる属性の魔力を生みだし、それを宙でクルクルと回していく。
「あれは魔法でも魔術でもないよ、ただの魔力操作。けど、それが大切なんだ」
「あれは無理だと思うけどー」
「うん、さすがにアレはやらないよ」
「──ヲイ、さっきからあれアレ言いやがって。これだって真面目に鍛え続けた結果なんだからな。俺ができることは誰でもできる、だからそんな目で見るんじゃありません」
二人がありえないものを見るような目で見ているのは、一つひとつが籠めている魔力量が膨大だからだ。
それを精密に操作する技巧は、俺がこれまでに地道にやってきた努力を証明している。
これまで知ったすべての魔技に影響する技術なので、やっておいて損はないんだけど。
「けど、やってもらいたい。メルス、例のモノを準備してくれないかい?」
「ああ、あれね──“放魔”」
「っ……!」
俺が掛けた魔法が作用した途端、ライカは立ち眩みを起こした時のようにふらふらと揺れてしまう。
その原因は、魔法の名前が示した通り魔力が体から抜けているからだ。
それは本来、正しく魔力操作ができているものであればあまり影響がない状態異常だ。
「ライカ、その状態で装華は使えるかな? できないなら、一度中止するけど」
「や、やってみる……か、『開花』」
少々苦しげに唱えた三文字。
それによって、彼女を包むように光が生まれ──次の瞬間には、光は橙色の剣や盾、鎧となっていた。
身に装備を纏った影響か、少しだけ彼女の表情が和らぐ……なるほど、耐性が付くみたいだな。
「じゃあ、回復を……って、なんだよその目は。ちゃんとやるぞ?」
「初めての子にそれはダメだよ。ポーションも持ち歩いているんだろう? そっちを使って回復させて」
「なんで……いやまあ、何かあるのか。じゃあ──これぐらいあればいいか?」
「何も起きないようにするためにしているんだけどね。あとそれだと回復量が多すぎるから、もう少し普通の物にしておいてくれ」
いつも通り、魔力譲渡をやろうとしたのに目でダメだと訴えられた。
なので方向を改め、ポーションで回復をさせることに。
消耗品なんだし、俺の魔力の方が手っ取り早いと思うんだけどな。
どうしてどの眷属も、危険だのいろいろと危ういだのと言っているんだろうか。
◆ □ ◆ □ ◆
リアによる、ライカのワンツーマンの指導が始まった。
俺は助言を乞われた時のみ、思い当たるコツを伝えるだけの簡単なお仕事。
感覚派のような才能はあまりないし、かと言って理論派でもない俺は人に教えるのが正直上手くはない。
なので称号やスキルを力を駆使して、自分のイメージをそのままライカに押し付けようとした……が、これもリアに止められた。
一度リアを中継して、その感覚をライカに教えるんだとか。
やるたびに、なぜかライカは顔を掌で隠していたな……隙間が空いてたけど。
「魔術か──“火よ灯れ”」
アンが持つ基礎魔術に登録された、生活魔法“着火”の魔術バージョン。
魔視眼を使いながら発動すると、体の中で術式が編まれ──掌に火が燈った。
魔法の場合、発動するソレはある程度後からの変更が効く。
たとえば射程を延ばすとか、発動時間を伸ばすとか。
しかし魔術の場合、そういったことが寸分の狂いもなく術式通りとなる。
威力、それに伴う影響は魔力量で調整できるらしいがな。
「俺はカスタマイズできないから、そこまで強い魔術をまだ使えないんだよな……職業に就けないって、本当に不便」
装華を介して魔術を使う、そういった方法ならばこの世界で改良ができる。
だが、それはそれでデメリットもある……リアがいずれ、ライカに説明するだろう。
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