AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と元商人
連続更新中です(08/12)
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紅蓮都市
赤色の世界にやってきた俺は、とある商人と話を行っていた。
「──そうでしたか。話には聞いておりましたが、そのようなことに」
「ええ、まあ……ただ、やはりそこは異なる世界。いかに商人といえども、そこに向かうのは苦難でして」
「それで私に……」
橙色の世界。
赤色の世界に存在する試練を超えた先に広がる、新たな活動場所。
しかしそこへ向かおうとする商人は居ようと、実際に行けた者はいない。
試練を行う必要はない……だが、扉が在る場所が在る場所なだけに難しいのだ。
「神聖国の地下に在るとされる、例の扉。そこには、信徒ですら入ることが許されていないという話ですけど」
「まあ、それに関しては滞りなく……こちらがあれば、問題なく通ることができるでしょう──『ルーカス』さん」
「……ノゾムさんには、私の計画を手伝ってもらった礼もございます。しかし、まさか私が異世界へ向かうことになるとは……家族も思っていなかったでしょう」
「ははっ、そうかもしれません。ですが、案外そうだったのかもしれませんよ」
ルーカスさん、実はいろいろと抱えた復讐者っぽいポジションだったんだが……その真犯人が(偽)邪神の眷属だったってことで、どうにも苦労していたらしい。
そして前に行われた試練。
そのときに現れた奴らの中に、それもいっしょに居たので……ルーカスさんにいろいろとやらせた。
手を組んでいた商人も、その眷属も遠いお空へ逝き……礼ができたわけだ。
「ルーカスさん、今はまだあちらでの活動拠点もできておらず、人との接触も行えてはいません。ですが、必ず外交が可能な状態までは持っていきます。それ以降を……どうか、頼めないでしょうか?」
「ノゾムさん、あなたはどうしてそこまでなされるのですか?」
「前にも言った通り、私は偽善者。故にあなたの復讐にも協力しました。あなたの商才は復讐を終えた、それだけの理由で終えてはならないもの……そう思っています」
なんせ、赤色の世界内でベスト5に数えられるほど儲けたらしいし。
だからこそ、例の眷属もその中でもっとも狙いやすかった彼を狙ったわけだけど。
スキルに頼らない手管があり、彼はそれらに加えてちゃんとスキルを持っている。
かつては『狂商人』と言われるようなこともしていたらしいが、今はやっていない。
──というか、もう商人をやっていないのだから、何に誘おうと問題ないだろう。
「何より、私はルーカスさん以上に頼れる商人を知りませんので。出会いは偶然のものでしたが、今では頼れる方だと思っています」
「……そうでしたか。私は、ノゾムさんのことを勘で迎えました。きっとこの方は、何かするだろう。私のどうしようもない憤りを、晴らしてくれるかもしれないと」
「で、結局どうでしたか?」
「想像以上でしたよ。お蔭様で、失ったモノはすべて取り戻すことができました。そして何より、このような地位まで」
紅蓮都市の外交官、まあそんな役職も与えられているルーカスさんである。
当時はウィーの『赤王』認定のため、そういったこともやってもらっていたのだ。
「お蔭で家族にも不安そうな顔をさせずに済みます。これまではその表情が怖く、顔を合わせることができずにいましたが……今では面を向かって合わせられますよ」
「それはよかった。やはり、家族は共に在るべきだと自負していますので。……そういった意味では、私の話はルーカスさんを家族から引き離すかもしれませんがね」
「家族も分かってくれますよ。恩義あるノゾムさんが困っているのであれば、私が力を貸さねば報いることができないことぐらい。できるのであれば、ノゾムさんにも家族へこの話をしてもらいたいですけれど」
「それぐらいならば、構いませんよ。もともとお願いしているのは、こちらなんですし。ルーカスさんをお借りするための話し合いともなれば……これは、邪神たちよりも苦戦するかもしれませんね」
割とマジなところだ。
しっかりと顔を見せて話すことができる魔道具などを提示しても、期間を設定されてしまうかもしれない。
溺愛というか家族愛が深いというか……とても仲のいい家族だったしな。
◆ □ ◆ □ ◆
???
「それで、橙色の世界の神とは連絡が取れたのか? まさか、カグみたいな状態になっている……とかそういうパターンか?」
カカのような存在と逢うことができる、特殊な世界。
その本人ならぬ本神から情報を貰うため、そこを訪れていた。
カグの色を反転させたような幼女は、首を横に振って答える。
「門も開かれたから、君にも言っておくべきだろう……とはいえ、大半は異界より招かれた『賢者』の少女が知っていたが」
「そうそう、だから神様がどうなっているのか知りたいんだ……俺の古びた勘は、またカカとは違う理由で連絡が取れないと見ているが……違うよな?」
「…………」
ヤバい、完全に当たったときの反応だ。
全然嬉しくない、けどここは向き合わなければならないところだろう。
「教えてくれ、カカ」
「……連絡が付かない。私と同じように邪神と化した身をどうにかしたのか、あるいは異なる手段で活動を停止させられたか。いずれにせよ、あの世界もまた本来の在るべき姿から逸脱しているのだろう」
「……まあ、それならそれで偽善のし甲斐があるさ。ちなみに、友人……いや友神だったのか?」
「…………知っている間柄、とだけ言っておこうか」
遠い目をするカカに、俺は何も言えなかった……これも、フラグなんだろうなぁと。
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紅蓮都市
赤色の世界にやってきた俺は、とある商人と話を行っていた。
「──そうでしたか。話には聞いておりましたが、そのようなことに」
「ええ、まあ……ただ、やはりそこは異なる世界。いかに商人といえども、そこに向かうのは苦難でして」
「それで私に……」
橙色の世界。
赤色の世界に存在する試練を超えた先に広がる、新たな活動場所。
しかしそこへ向かおうとする商人は居ようと、実際に行けた者はいない。
試練を行う必要はない……だが、扉が在る場所が在る場所なだけに難しいのだ。
「神聖国の地下に在るとされる、例の扉。そこには、信徒ですら入ることが許されていないという話ですけど」
「まあ、それに関しては滞りなく……こちらがあれば、問題なく通ることができるでしょう──『ルーカス』さん」
「……ノゾムさんには、私の計画を手伝ってもらった礼もございます。しかし、まさか私が異世界へ向かうことになるとは……家族も思っていなかったでしょう」
「ははっ、そうかもしれません。ですが、案外そうだったのかもしれませんよ」
ルーカスさん、実はいろいろと抱えた復讐者っぽいポジションだったんだが……その真犯人が(偽)邪神の眷属だったってことで、どうにも苦労していたらしい。
そして前に行われた試練。
そのときに現れた奴らの中に、それもいっしょに居たので……ルーカスさんにいろいろとやらせた。
手を組んでいた商人も、その眷属も遠いお空へ逝き……礼ができたわけだ。
「ルーカスさん、今はまだあちらでの活動拠点もできておらず、人との接触も行えてはいません。ですが、必ず外交が可能な状態までは持っていきます。それ以降を……どうか、頼めないでしょうか?」
「ノゾムさん、あなたはどうしてそこまでなされるのですか?」
「前にも言った通り、私は偽善者。故にあなたの復讐にも協力しました。あなたの商才は復讐を終えた、それだけの理由で終えてはならないもの……そう思っています」
なんせ、赤色の世界内でベスト5に数えられるほど儲けたらしいし。
だからこそ、例の眷属もその中でもっとも狙いやすかった彼を狙ったわけだけど。
スキルに頼らない手管があり、彼はそれらに加えてちゃんとスキルを持っている。
かつては『狂商人』と言われるようなこともしていたらしいが、今はやっていない。
──というか、もう商人をやっていないのだから、何に誘おうと問題ないだろう。
「何より、私はルーカスさん以上に頼れる商人を知りませんので。出会いは偶然のものでしたが、今では頼れる方だと思っています」
「……そうでしたか。私は、ノゾムさんのことを勘で迎えました。きっとこの方は、何かするだろう。私のどうしようもない憤りを、晴らしてくれるかもしれないと」
「で、結局どうでしたか?」
「想像以上でしたよ。お蔭様で、失ったモノはすべて取り戻すことができました。そして何より、このような地位まで」
紅蓮都市の外交官、まあそんな役職も与えられているルーカスさんである。
当時はウィーの『赤王』認定のため、そういったこともやってもらっていたのだ。
「お蔭で家族にも不安そうな顔をさせずに済みます。これまではその表情が怖く、顔を合わせることができずにいましたが……今では面を向かって合わせられますよ」
「それはよかった。やはり、家族は共に在るべきだと自負していますので。……そういった意味では、私の話はルーカスさんを家族から引き離すかもしれませんがね」
「家族も分かってくれますよ。恩義あるノゾムさんが困っているのであれば、私が力を貸さねば報いることができないことぐらい。できるのであれば、ノゾムさんにも家族へこの話をしてもらいたいですけれど」
「それぐらいならば、構いませんよ。もともとお願いしているのは、こちらなんですし。ルーカスさんをお借りするための話し合いともなれば……これは、邪神たちよりも苦戦するかもしれませんね」
割とマジなところだ。
しっかりと顔を見せて話すことができる魔道具などを提示しても、期間を設定されてしまうかもしれない。
溺愛というか家族愛が深いというか……とても仲のいい家族だったしな。
◆ □ ◆ □ ◆
???
「それで、橙色の世界の神とは連絡が取れたのか? まさか、カグみたいな状態になっている……とかそういうパターンか?」
カカのような存在と逢うことができる、特殊な世界。
その本人ならぬ本神から情報を貰うため、そこを訪れていた。
カグの色を反転させたような幼女は、首を横に振って答える。
「門も開かれたから、君にも言っておくべきだろう……とはいえ、大半は異界より招かれた『賢者』の少女が知っていたが」
「そうそう、だから神様がどうなっているのか知りたいんだ……俺の古びた勘は、またカカとは違う理由で連絡が取れないと見ているが……違うよな?」
「…………」
ヤバい、完全に当たったときの反応だ。
全然嬉しくない、けどここは向き合わなければならないところだろう。
「教えてくれ、カカ」
「……連絡が付かない。私と同じように邪神と化した身をどうにかしたのか、あるいは異なる手段で活動を停止させられたか。いずれにせよ、あの世界もまた本来の在るべき姿から逸脱しているのだろう」
「……まあ、それならそれで偽善のし甲斐があるさ。ちなみに、友人……いや友神だったのか?」
「…………知っている間柄、とだけ言っておこうか」
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