AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と赤色の解放戦 その07
連続更新中です(12/12)
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渾身の一撃。
本来であれば、人族が放った渾身など邪神の残滓が憑いている守護者にとって微々たるものだった。
しかし、邪神の残滓が憑いている……狂化によって能力値が高まっているRRに生まれた欠点は、まさにそれが原因である。
──オウシュの職業は【神殺剣士】。
神を殺す剣士、そして今のRRに憑りついているのは邪神の残滓……神の力をその身に宿したこと、それによってあるはずのない弱点が生成されたのだ。
『■■■…………■■■■■ッ!!』
その一撃はRRの奥深く、核の部分に強烈なダメージをもたらした。
神の性質を持ったが故に起きたその現象によって、通常では予期せぬダメージを受けたRRは……暴走する。
ただし、今の一撃を以って邪神の残滓は完全に消滅した。
残ったのは壊れた守護者、そして神殺しの力を不要とされた剣士。
そして──
「よくやった、オウシュ。あとは私たちに任せ……いや、私たちと共に戦おう。ナーラ、追加で回復を」
「もう……もう! オウシュ、あんまり心配させないでよ!」
「ご、ごめん……」
「いくら魔法で防御したって、体は傷つくのよ! 一瞬だって邪神の炎に触れたら……もし耐えられなかったら一生火傷の痕が残ったかもしれないのに!」
瘴気の密度を高めたような邪気は、不癒の呪いにも似た力を持っている。
不死鳥の炎を扱えるライアと異なり、オウシュではそれを自然に治すことはできない。
治すことができるのは、聖属性の力を高めることができる『聖女』たるナーラのみ。
体力を戻し、魔力を増やし、精神力を高めていく……そして薄く浅く焼かれたオウシュの皮膚を、『聖女』の力を以って全力で癒していく。
「な、ナーラ。さすがにそこまで力を使わなくても……」
「……だって、オウシュに何かあったら……耐えられない」
「ナーラ……」
互いに見つめ合う二人。
戦場という危機的状況が二人の想いを高め合い、願いを形にすべく実行を……。
「えっとー。二人とも、いいシチュなのは分かりますけど、もう少し頑張りません?」
「「──ッ!」」
「ああ、うん……『えっ、いつから!?』みたいな反応しているのは分かりますけど。とりあえず、今は……ねっ?」
「「…………」」
見た目は年下の少年であるアカリに一連の流れを見られ、そのうえで大人な対応を取られる二人。
だが言っていることは至極真っ当で、いっさいの反論ができない。
「じゃ、じゃあ行ってくるね!」
「ちょっ、オウシュ!?」
「あはは……が、頑張ってください」
アカリは二人を送りだし、自身もまたやれることを行っていく。
必要なアイテムを取りだし、それを前で戦う者たちへ送り届けてもらう。
「とりあえずエリクサーを十本ほど……リュナ姉ェ、シュカ姉ェお願いします」
「任せて」
「え、エリクサー……これ一本にどれだけの価値が……」
「割らないように気を付けてくださいね」
「あ、ああ、もちろんだ!」
幻獣人の二人に最高級ポーションを渡し、続いて魔法陣を描き出す。
他者の補助にも使える魔法陣だが、それ以外にも使いようがあった。
「術式──“大地槍”!」
描いた魔法陣から巨大な槍が生成される。
土でできた地面が無いこの空間でも、大気中の魔力を取り込むことで通常よりも多めに魔力を消費することで発動は可能だ。
槍はRRに食いこむ……が、それは瞬時に燃焼される。
暴走状態に入ったRRは、認識したものすべてを燃やし尽くす。
どんなに小さな物質だろうと、どんなに強大な相手だろうと……等しく燃やす、火の概念に従い万象を灰燼へ帰すため暴れていた。
「……不味いな。メルスがこのままだと来てしまう」
『──ッ!』
この場に居る誰もが、もっとも望んでいない結末を告げる。
それだけで全員の目から、どうにか阻止せねばという強い意志の火が燈った。
「ヤツが認識できる攻撃はすべて燃やされてしまう……だが、あの状態であればどうにか倒せるかもしれない。全員、火属性の攻撃を一点に集中させて撃つんだ!」
ウィーは、RRが火属性の攻撃を吸収することに気づく。
アカネにも確認を取り、その予測が正しいことも調べてある。
だが、だからこそその指示を告げた。
皆一瞬だけ躊躇ったものの、補填されたエリクサーを飲み干して自身が持ちうる最大の一撃を放つ。
「“紅蓮蜥蜴”、“精霊解放”!」
「“業炎槍・集束”ー」
「“波浄”──“発浄”!」
「“火焔纏い”──“真炎解閃”!」
「──“火焔渦”!」
「「──“焔獣爪”」」
「術式──“業炎爆撃”!」
『■■■■■■……!』
集められた火属性の技たちを、RRはその身に取り込み吸収していく。
本来であれば、それは絶望の始まりでしかないだろう。
しかしすべてを理解している者にとって、それは絶望を終わらせる希望である。
『■■■■!? ■■■■■……!』
突如もがき、苦しみだすRR。
内側からこれまででもっとも膨大なエネルギーを秘めたRRは、その力を外へ放出しようとしていた。
ただしそれは、RRにとって制御できたものではない。
その逆、制御できない無軌道な力が内側から外へ飛び出し、その反動を内包者が受けてしまう現象。
『■■■■■■■■──ッ!』
すなわち、自滅であった。
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渾身の一撃。
本来であれば、人族が放った渾身など邪神の残滓が憑いている守護者にとって微々たるものだった。
しかし、邪神の残滓が憑いている……狂化によって能力値が高まっているRRに生まれた欠点は、まさにそれが原因である。
──オウシュの職業は【神殺剣士】。
神を殺す剣士、そして今のRRに憑りついているのは邪神の残滓……神の力をその身に宿したこと、それによってあるはずのない弱点が生成されたのだ。
『■■■…………■■■■■ッ!!』
その一撃はRRの奥深く、核の部分に強烈なダメージをもたらした。
神の性質を持ったが故に起きたその現象によって、通常では予期せぬダメージを受けたRRは……暴走する。
ただし、今の一撃を以って邪神の残滓は完全に消滅した。
残ったのは壊れた守護者、そして神殺しの力を不要とされた剣士。
そして──
「よくやった、オウシュ。あとは私たちに任せ……いや、私たちと共に戦おう。ナーラ、追加で回復を」
「もう……もう! オウシュ、あんまり心配させないでよ!」
「ご、ごめん……」
「いくら魔法で防御したって、体は傷つくのよ! 一瞬だって邪神の炎に触れたら……もし耐えられなかったら一生火傷の痕が残ったかもしれないのに!」
瘴気の密度を高めたような邪気は、不癒の呪いにも似た力を持っている。
不死鳥の炎を扱えるライアと異なり、オウシュではそれを自然に治すことはできない。
治すことができるのは、聖属性の力を高めることができる『聖女』たるナーラのみ。
体力を戻し、魔力を増やし、精神力を高めていく……そして薄く浅く焼かれたオウシュの皮膚を、『聖女』の力を以って全力で癒していく。
「な、ナーラ。さすがにそこまで力を使わなくても……」
「……だって、オウシュに何かあったら……耐えられない」
「ナーラ……」
互いに見つめ合う二人。
戦場という危機的状況が二人の想いを高め合い、願いを形にすべく実行を……。
「えっとー。二人とも、いいシチュなのは分かりますけど、もう少し頑張りません?」
「「──ッ!」」
「ああ、うん……『えっ、いつから!?』みたいな反応しているのは分かりますけど。とりあえず、今は……ねっ?」
「「…………」」
見た目は年下の少年であるアカリに一連の流れを見られ、そのうえで大人な対応を取られる二人。
だが言っていることは至極真っ当で、いっさいの反論ができない。
「じゃ、じゃあ行ってくるね!」
「ちょっ、オウシュ!?」
「あはは……が、頑張ってください」
アカリは二人を送りだし、自身もまたやれることを行っていく。
必要なアイテムを取りだし、それを前で戦う者たちへ送り届けてもらう。
「とりあえずエリクサーを十本ほど……リュナ姉ェ、シュカ姉ェお願いします」
「任せて」
「え、エリクサー……これ一本にどれだけの価値が……」
「割らないように気を付けてくださいね」
「あ、ああ、もちろんだ!」
幻獣人の二人に最高級ポーションを渡し、続いて魔法陣を描き出す。
他者の補助にも使える魔法陣だが、それ以外にも使いようがあった。
「術式──“大地槍”!」
描いた魔法陣から巨大な槍が生成される。
土でできた地面が無いこの空間でも、大気中の魔力を取り込むことで通常よりも多めに魔力を消費することで発動は可能だ。
槍はRRに食いこむ……が、それは瞬時に燃焼される。
暴走状態に入ったRRは、認識したものすべてを燃やし尽くす。
どんなに小さな物質だろうと、どんなに強大な相手だろうと……等しく燃やす、火の概念に従い万象を灰燼へ帰すため暴れていた。
「……不味いな。メルスがこのままだと来てしまう」
『──ッ!』
この場に居る誰もが、もっとも望んでいない結末を告げる。
それだけで全員の目から、どうにか阻止せねばという強い意志の火が燈った。
「ヤツが認識できる攻撃はすべて燃やされてしまう……だが、あの状態であればどうにか倒せるかもしれない。全員、火属性の攻撃を一点に集中させて撃つんだ!」
ウィーは、RRが火属性の攻撃を吸収することに気づく。
アカネにも確認を取り、その予測が正しいことも調べてある。
だが、だからこそその指示を告げた。
皆一瞬だけ躊躇ったものの、補填されたエリクサーを飲み干して自身が持ちうる最大の一撃を放つ。
「“紅蓮蜥蜴”、“精霊解放”!」
「“業炎槍・集束”ー」
「“波浄”──“発浄”!」
「“火焔纏い”──“真炎解閃”!」
「──“火焔渦”!」
「「──“焔獣爪”」」
「術式──“業炎爆撃”!」
『■■■■■■……!』
集められた火属性の技たちを、RRはその身に取り込み吸収していく。
本来であれば、それは絶望の始まりでしかないだろう。
しかしすべてを理解している者にとって、それは絶望を終わらせる希望である。
『■■■■!? ■■■■■……!』
突如もがき、苦しみだすRR。
内側からこれまででもっとも膨大なエネルギーを秘めたRRは、その力を外へ放出しようとしていた。
ただしそれは、RRにとって制御できたものではない。
その逆、制御できない無軌道な力が内側から外へ飛び出し、その反動を内包者が受けてしまう現象。
『■■■■■■■■──ッ!』
すなわち、自滅であった。
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