AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と赤色の解放戦 その02
連続更新中です(07/12)
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「……ついに、このときが来たのか」
「ああ、そうみたいだな。ブリッド、門を開けてもらえるか?」
「了解した」
心の準備云々はすでに済まさせたので、試練を始めるべくブリッドを促す。
代々聖炎龍たちに受け継がれた力──閉ざされた扉を、選ばれし者たちを集結させることで解放させる代行権限。
ブリッドが何かを唱えると、門そのものに刻まれた術式が起動する。
それは転移の術式、選ばれし者たちを試練の間へ誘う証を示す場。
「これより先、選ばれし者とその従者以外が向かうこと能わず。メルス、正式な権限を持たず来訪したお前も例外ではない」
「分かっているさ。それじゃあお前ら、俺の分まで頑張って来てくれよ。それまで美味しい料理でも作って、終わったあとの宴会の準備でもしておくからさ」
「……ふんっ、ずいぶんと呑気なことを」
「当然だろう? 失敗なんてない、そう言い切れるぐらいお前たちは強くなった。だからこれからやるのは、ただの戦闘。別に重いモノも何も背負う必要は無い。ただ行って、相手を倒すだけ……それだけだろう?」
いっさい情報が無かったため、練習には前来た時に戦った魔物を出すしか無かった。
だがこういうイベントには、相応のボスがいるだろう……それを考慮してもなお、俺には負ける光景が浮かんでこない。
「メルスの言う通りだ。ここに居る皆で、閉ざされた世界に虹を掛ける時が来た──行くぞ、戦いの始まりだ!」
『おぉーーー!!』
なんて宣誓と共に、この世界の代表者たちは門に触れてここではないどこかへ向かう。
残されたのは俺とブリッドのみ、静寂がこの場を支配する。
「……分かっているな?」
「そりゃあもちろん。わざわざこんな機会を設けたら、当然動くよな」
「邪神の眷属どもが。まだなお、この世界を脅かそうとするか」
「開かれたらこの世界にどんな影響があるのか、どうやら邪神は知らされていないみたいだな。だからこそ、不確定要素は取り除こうとして──こんな風に派遣してきたわけだ」
だがそれを邪魔するように、どこからともなく現れる者たち。
例外なく瘴気と邪気を纏い、爛々と瞳を昏く澱ませて近づいてくる。
「さて、あっちもあっちでそろそろ着いた頃だろうか。俺たちもこっちで、やれることをやっておかないとな──ブリッド!」
「おう──ガァアアアアアアアアッ!」
聖なる炎、そして雷が解き放たれた。
あまり力を持ち合わせていない者は、初撃だけで潰える。
異なる聖属性を同時に併せ持つブリッドの一撃は、互いが互いを高めるようにしてその威力を増幅させていく。
ある者はその身を焼き焦がされ、ある者は纏う装備ごと痺れさせられたりと。
少し怯えたものの、すぐに狂気に染まった彼らは進軍を再開する。
──二人だけで、勝てるかな?
◆ □ ◆ □ ◆
ところ変わり、門の奥にて。
選ばれし者たちとその従者として入り込んだ数名は、辺りを見渡していた。
「ここが……『審判の門』」
「そうだよー。ここがー最後のなんかーん」
「こんな場所があるんだ……」
すべての物が赤色に染め上げられたその場所は、赤色の世界を羽ばたこうとする者たちへ試練を与える。
本当に旅立つのか、相応の力を以って先へ進むのか……覚悟無き力を審判し、他の世界では生きられぬ者たちを送り返すために。
「けど……何も起きない?」
「魔物も居ないじゃない」
現在、この場に居るのは審判を受ける者たちのみ。
部外者はいっさい存在せず、ただただ時間だけが過ぎていく。
「……おそらく外では、メルスたちが邪神の眷属たちと交戦しているだろう。奴らにとっても、外部へ渡る手段は喉から手が出るほどほしいものであるからな」
「!? じゃ、じゃあ、早く行かないと!」
「落ち着け。連絡の手段はある……ああ、どうやら繋がっているようだな」
身に纏う軍服の下を、胸の部分から弄ったウィーが取りだしたのは──小さな石。
宝玉とも呼べる綺麗な円形と輝きを誇るそれに、魔力を流して語りかける。
「聞こえるか、メルス。こちらは無事、目的地へ辿り着いた」
すると少し間が開いた後、石からも同様に声が聞こえ始めた。
『あ……、……か。なら、…………せて、早く……に……欲しいんだが』
途切れ途切れの音声と、時折聞こえる爆発音に一部の者はビクッと怯える。
しかしウィーは冷静に、ただ一言だけ伝えるべきことを伝えた。
「無駄な演出はいい。それよりも、状況を説明してほしい」
『──あっ、やっぱり分かっちゃう? こちらは滞りなく順調、現れた邪神の眷属もすでに三十体ぐらい倒してあと二十体か? 全部ブリッドのお蔭だがな』
「そうか……こちらは全部が赤色の空間に飛ばされた。魔物も現れず、ただ待っている状況にある」
『えっ? それは想定外だな……なら、もう少し待って何もなかったら何か怪しいモノが無いか探してみてくれ。マジかよ、まさかのマニュアルか? ──っと、そろそろ敵も本格的になるから一度切るぞ』
一方的にそう告げられ、ブツンと途切れて輝きを失う石。
それを元の場所へ仕舞うと──ウィー指揮の下、不審物の捜索が始まった。
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「……ついに、このときが来たのか」
「ああ、そうみたいだな。ブリッド、門を開けてもらえるか?」
「了解した」
心の準備云々はすでに済まさせたので、試練を始めるべくブリッドを促す。
代々聖炎龍たちに受け継がれた力──閉ざされた扉を、選ばれし者たちを集結させることで解放させる代行権限。
ブリッドが何かを唱えると、門そのものに刻まれた術式が起動する。
それは転移の術式、選ばれし者たちを試練の間へ誘う証を示す場。
「これより先、選ばれし者とその従者以外が向かうこと能わず。メルス、正式な権限を持たず来訪したお前も例外ではない」
「分かっているさ。それじゃあお前ら、俺の分まで頑張って来てくれよ。それまで美味しい料理でも作って、終わったあとの宴会の準備でもしておくからさ」
「……ふんっ、ずいぶんと呑気なことを」
「当然だろう? 失敗なんてない、そう言い切れるぐらいお前たちは強くなった。だからこれからやるのは、ただの戦闘。別に重いモノも何も背負う必要は無い。ただ行って、相手を倒すだけ……それだけだろう?」
いっさい情報が無かったため、練習には前来た時に戦った魔物を出すしか無かった。
だがこういうイベントには、相応のボスがいるだろう……それを考慮してもなお、俺には負ける光景が浮かんでこない。
「メルスの言う通りだ。ここに居る皆で、閉ざされた世界に虹を掛ける時が来た──行くぞ、戦いの始まりだ!」
『おぉーーー!!』
なんて宣誓と共に、この世界の代表者たちは門に触れてここではないどこかへ向かう。
残されたのは俺とブリッドのみ、静寂がこの場を支配する。
「……分かっているな?」
「そりゃあもちろん。わざわざこんな機会を設けたら、当然動くよな」
「邪神の眷属どもが。まだなお、この世界を脅かそうとするか」
「開かれたらこの世界にどんな影響があるのか、どうやら邪神は知らされていないみたいだな。だからこそ、不確定要素は取り除こうとして──こんな風に派遣してきたわけだ」
だがそれを邪魔するように、どこからともなく現れる者たち。
例外なく瘴気と邪気を纏い、爛々と瞳を昏く澱ませて近づいてくる。
「さて、あっちもあっちでそろそろ着いた頃だろうか。俺たちもこっちで、やれることをやっておかないとな──ブリッド!」
「おう──ガァアアアアアアアアッ!」
聖なる炎、そして雷が解き放たれた。
あまり力を持ち合わせていない者は、初撃だけで潰える。
異なる聖属性を同時に併せ持つブリッドの一撃は、互いが互いを高めるようにしてその威力を増幅させていく。
ある者はその身を焼き焦がされ、ある者は纏う装備ごと痺れさせられたりと。
少し怯えたものの、すぐに狂気に染まった彼らは進軍を再開する。
──二人だけで、勝てるかな?
◆ □ ◆ □ ◆
ところ変わり、門の奥にて。
選ばれし者たちとその従者として入り込んだ数名は、辺りを見渡していた。
「ここが……『審判の門』」
「そうだよー。ここがー最後のなんかーん」
「こんな場所があるんだ……」
すべての物が赤色に染め上げられたその場所は、赤色の世界を羽ばたこうとする者たちへ試練を与える。
本当に旅立つのか、相応の力を以って先へ進むのか……覚悟無き力を審判し、他の世界では生きられぬ者たちを送り返すために。
「けど……何も起きない?」
「魔物も居ないじゃない」
現在、この場に居るのは審判を受ける者たちのみ。
部外者はいっさい存在せず、ただただ時間だけが過ぎていく。
「……おそらく外では、メルスたちが邪神の眷属たちと交戦しているだろう。奴らにとっても、外部へ渡る手段は喉から手が出るほどほしいものであるからな」
「!? じゃ、じゃあ、早く行かないと!」
「落ち着け。連絡の手段はある……ああ、どうやら繋がっているようだな」
身に纏う軍服の下を、胸の部分から弄ったウィーが取りだしたのは──小さな石。
宝玉とも呼べる綺麗な円形と輝きを誇るそれに、魔力を流して語りかける。
「聞こえるか、メルス。こちらは無事、目的地へ辿り着いた」
すると少し間が開いた後、石からも同様に声が聞こえ始めた。
『あ……、……か。なら、…………せて、早く……に……欲しいんだが』
途切れ途切れの音声と、時折聞こえる爆発音に一部の者はビクッと怯える。
しかしウィーは冷静に、ただ一言だけ伝えるべきことを伝えた。
「無駄な演出はいい。それよりも、状況を説明してほしい」
『──あっ、やっぱり分かっちゃう? こちらは滞りなく順調、現れた邪神の眷属もすでに三十体ぐらい倒してあと二十体か? 全部ブリッドのお蔭だがな』
「そうか……こちらは全部が赤色の空間に飛ばされた。魔物も現れず、ただ待っている状況にある」
『えっ? それは想定外だな……なら、もう少し待って何もなかったら何か怪しいモノが無いか探してみてくれ。マジかよ、まさかのマニュアルか? ──っと、そろそろ敵も本格的になるから一度切るぞ』
一方的にそう告げられ、ブツンと途切れて輝きを失う石。
それを元の場所へ仕舞うと──ウィー指揮の下、不審物の捜索が始まった。
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