AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者とレイドラリー前篇 その08
連続更新中です(12/12)
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「──スゥウウ!」
「……っと、もう戻ってきたのか」
「テメェ、この野郎がぁああ!」
「はいはい、ストップストップ──リーダーがそんなに慌てちゃいかんだろ」
俺がここに来たのは、ナックルと座標を入れ替えたためだ。
そして転移する前、俺は情報開示を求める大量の祈念者に神殿外から包囲されていた。
俺の代わりにそんな場所へ放り出された結果、荒んでしまったギルド『ユニーク』の代表者であるナックル。
それを諌めるべく、後ろでその様子を窺うギルドメンバーを見せ──拳が振るわれた。
「危ない危ない、だから殴るなって。おーい誰かー、こいつ止めてー!」
『…………』
「あ、あれ? 誰も止めてくれないのかよ。まあ、別にいいけどさ」
「そういう態度が、腹立つんだよ!」
幸いにして、今回の縛りは中途半端に終了してしまった深海旅行と同じものだ。
なのでスキルそのものはすべて使用可能、つまり反射眼で対応するのも容易い。
未来眼もセットで使うと、さすがに今は燃費が悪いからな。
回避スキル、あとは歩行に関するスキルだけで【拳聖】の攻撃を処理していく。
「ハァ、ハァ……」
「もういいか? ちょうど、新しい迷宮をコイツらのために造るって約束を──」
「おいおい、水臭いじゃないか相棒。困ったことがあったら先に言ってくれよ。どんなことであろうと、『ユニーク』の古参であれば説明足らずでも協力したんだぞ!」
「……まあ、その迷宮は入場料でも払ってもらうけどな。落ち着いたようで何よりだ」
呆然とこれまでの流れを見ていた新規メンバーと、やれやれと苦笑する古参たち。
何度かこのやり取りをやっているの知っているため、リアクションも慣れたモノだ。
「──で、何をしているんだ?」
「なんかアストレアたちが俺に言いたいことがあるって言うから、仕方なく聞いていたところだ。ちなみにその迷宮云々も、眷属より強くなりたいという要望からだな」
「よくやったお前たち! 今度俺の奢りで飯にでも行こうか!」
迷宮好きを拗らせているリーダーである。
この態度を知らない新規メンバーたちは、かなり戸惑っている様子だ。
古参たちによる、考えるな感じろ論を伝えられているので、すぐに慣れていくだろう。
「あれはもう置いておくとして、あとはいったい何なんだ? 俺の殺し方とこっちの世界の眷属の殺し方以外なら、だいたい答えようという気分になっているけど」
「マジか……いやな、いろいろと訊きたかったことがあったんだ。差し当たっては、お前が『ユニーク』に何を求めているかとか」
「求めているもの? そうだな……互いに得のある関係だな」
「俺たちは大陸を攻略させられている。その情報はたしかに教えているが、それでお前たちは何の得になるんだよ。結局何かしないとWikiを見ているのと変わらないだろ」
俺の目的を彼らにはすべてを語ってない。
説明せずとも済んだのが主な理由だが、その他にもさまざまな要因があったからだ。
「うーん……まず大陸は複数あるだろ? 俺の眷属には、その大陸出身者が居るわけだ。いちいち俺が一つひとつ巡るより、お前たちに任せた方が楽ってことだ」
「……で、見つかったのか?」
「ああ、迷宮ばっかりの大陸があったんだろう? そこが地元らしい……ただ、ソイツも迷宮に引き籠もっていたから、特に思い出は無いらしいんだけど」
「あー、俺は行ってねぇけどそんな場所があるとか言ってたな」
アストレアが行った大陸じゃないのか。
他は獣人の大陸とか、そういう場所だったのかな?
船が一隻しかないので、そんなに多くの場所を調査できなかったのだろう。
「そこを探してほしいって、そこに居る頼れるリーダーに頼んだわけだ。そうしたら、快く了承してくれた」
「……どうせ迷宮で釣ったんだろ?」
「それ以外、方法ってあるのか?」
「…………いや、ねぇな」
俺たちの間では『ナックルの説得=迷宮』ぐらいの見解がある。
それ以外の交渉では、真面目に利益を考えなければいけない……第四世界の広さは、俺がどうにかすればいいだけなので簡単だ。
それより何より、そろそろ第四世界もとある目的を達することができる──それを考えると、ぜひとも新たな収入源を確保したい。
「ナックルも帰ってきたことだし、そろそろ質問は終わりにしようか」
「はぁ? お、おい、ちょっと待て、まだ聞きたいことが山ほどあるん──」
「もう良いだろう? そうやって、人の都合とか無視して何かを押しつける奴って、嫌われるんだぞ」
「テメェがそれを言うんじゃねぇよ……」
まあ、ごもっともな意見である。
ナックル越しの命令みたいな感じで、さまざまなことをやらせているご身分だ。
しかも、報酬なんて現地で得たモノと撲滅イベントで渡した武具くらい……最悪だな。
「まあ、それはともかく今日は帰る。次にまた会えたら、答えてやらんこともないこともないと前向きに検討を善処しておくよ」
「絶対に答える気ないよな!?」
「それに答えたら、さっきの台詞全部が無意味になるから却下な」
じゃあなーと手を振り、改めて回復した魔力で空間魔法を使って転移する。
今回の縛りは回復制限、一定量しか魔力が回復できないといったものだ。
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「──スゥウウ!」
「……っと、もう戻ってきたのか」
「テメェ、この野郎がぁああ!」
「はいはい、ストップストップ──リーダーがそんなに慌てちゃいかんだろ」
俺がここに来たのは、ナックルと座標を入れ替えたためだ。
そして転移する前、俺は情報開示を求める大量の祈念者に神殿外から包囲されていた。
俺の代わりにそんな場所へ放り出された結果、荒んでしまったギルド『ユニーク』の代表者であるナックル。
それを諌めるべく、後ろでその様子を窺うギルドメンバーを見せ──拳が振るわれた。
「危ない危ない、だから殴るなって。おーい誰かー、こいつ止めてー!」
『…………』
「あ、あれ? 誰も止めてくれないのかよ。まあ、別にいいけどさ」
「そういう態度が、腹立つんだよ!」
幸いにして、今回の縛りは中途半端に終了してしまった深海旅行と同じものだ。
なのでスキルそのものはすべて使用可能、つまり反射眼で対応するのも容易い。
未来眼もセットで使うと、さすがに今は燃費が悪いからな。
回避スキル、あとは歩行に関するスキルだけで【拳聖】の攻撃を処理していく。
「ハァ、ハァ……」
「もういいか? ちょうど、新しい迷宮をコイツらのために造るって約束を──」
「おいおい、水臭いじゃないか相棒。困ったことがあったら先に言ってくれよ。どんなことであろうと、『ユニーク』の古参であれば説明足らずでも協力したんだぞ!」
「……まあ、その迷宮は入場料でも払ってもらうけどな。落ち着いたようで何よりだ」
呆然とこれまでの流れを見ていた新規メンバーと、やれやれと苦笑する古参たち。
何度かこのやり取りをやっているの知っているため、リアクションも慣れたモノだ。
「──で、何をしているんだ?」
「なんかアストレアたちが俺に言いたいことがあるって言うから、仕方なく聞いていたところだ。ちなみにその迷宮云々も、眷属より強くなりたいという要望からだな」
「よくやったお前たち! 今度俺の奢りで飯にでも行こうか!」
迷宮好きを拗らせているリーダーである。
この態度を知らない新規メンバーたちは、かなり戸惑っている様子だ。
古参たちによる、考えるな感じろ論を伝えられているので、すぐに慣れていくだろう。
「あれはもう置いておくとして、あとはいったい何なんだ? 俺の殺し方とこっちの世界の眷属の殺し方以外なら、だいたい答えようという気分になっているけど」
「マジか……いやな、いろいろと訊きたかったことがあったんだ。差し当たっては、お前が『ユニーク』に何を求めているかとか」
「求めているもの? そうだな……互いに得のある関係だな」
「俺たちは大陸を攻略させられている。その情報はたしかに教えているが、それでお前たちは何の得になるんだよ。結局何かしないとWikiを見ているのと変わらないだろ」
俺の目的を彼らにはすべてを語ってない。
説明せずとも済んだのが主な理由だが、その他にもさまざまな要因があったからだ。
「うーん……まず大陸は複数あるだろ? 俺の眷属には、その大陸出身者が居るわけだ。いちいち俺が一つひとつ巡るより、お前たちに任せた方が楽ってことだ」
「……で、見つかったのか?」
「ああ、迷宮ばっかりの大陸があったんだろう? そこが地元らしい……ただ、ソイツも迷宮に引き籠もっていたから、特に思い出は無いらしいんだけど」
「あー、俺は行ってねぇけどそんな場所があるとか言ってたな」
アストレアが行った大陸じゃないのか。
他は獣人の大陸とか、そういう場所だったのかな?
船が一隻しかないので、そんなに多くの場所を調査できなかったのだろう。
「そこを探してほしいって、そこに居る頼れるリーダーに頼んだわけだ。そうしたら、快く了承してくれた」
「……どうせ迷宮で釣ったんだろ?」
「それ以外、方法ってあるのか?」
「…………いや、ねぇな」
俺たちの間では『ナックルの説得=迷宮』ぐらいの見解がある。
それ以外の交渉では、真面目に利益を考えなければいけない……第四世界の広さは、俺がどうにかすればいいだけなので簡単だ。
それより何より、そろそろ第四世界もとある目的を達することができる──それを考えると、ぜひとも新たな収入源を確保したい。
「ナックルも帰ってきたことだし、そろそろ質問は終わりにしようか」
「はぁ? お、おい、ちょっと待て、まだ聞きたいことが山ほどあるん──」
「もう良いだろう? そうやって、人の都合とか無視して何かを押しつける奴って、嫌われるんだぞ」
「テメェがそれを言うんじゃねぇよ……」
まあ、ごもっともな意見である。
ナックル越しの命令みたいな感じで、さまざまなことをやらせているご身分だ。
しかも、報酬なんて現地で得たモノと撲滅イベントで渡した武具くらい……最悪だな。
「まあ、それはともかく今日は帰る。次にまた会えたら、答えてやらんこともないこともないと前向きに検討を善処しておくよ」
「絶対に答える気ないよな!?」
「それに答えたら、さっきの台詞全部が無意味になるから却下な」
じゃあなーと手を振り、改めて回復した魔力で空間魔法を使って転移する。
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