AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と自己紹介 その24
夢現空間 居間
「──なんて、話をしたんだが……何か心当たりはあるか?」
「……たしかに、その日の開発者はとても上機嫌でしたね。私の冗談も笑って受け流すだけで、少し寂しくなりましたよ」
「そりゃあ悪いことをしたな。けど、そこまで盛り上がれるのか? 俺、仕事を与えられたら喜ぶってあんまり理解できないんだが」
「惚れた相手に頼まれる、それこそが開発者にとっての歓びだったのでしょう」
まあ、リュシルから仕事を求めていた気もするが……それをできると信じ、任せられたことに喜んでいるのかもしれない。
俺も眷属にそうやって信頼されれば、有頂天になること間違いなしだし。
「いっしょに行くのか?」
「それは当然、といった野暮な質問ではないですか創造者? 何でもやってしまう万能超人であろうとする創造者であるならばともかく、保護したくなるほどに愛らしい開発者の傍に侍り、そのリアクションを見て和むのは当たり前のことです」
「そっか、それなら安心だな」
防御力はかなり高いし、一人付くことになる被護衛の者も守ってもらえるだろう。
報酬はリュシルのリアクションだけで済むのだから、彼女が傭兵だとすれば相当にお安い契約だよな。
「──さあ、どんどん始めてまいりましょうか! いつものお時間、第二十四回質問ターイム! 今回のゲストはこの方、禁忌を暴いた学者さんの助手ゴーレム──マシューさんでございます!」
「はい、よろしくお願いします」
「いやー、前回のリュシルさんと異なり、スラスラと回答してくれそうです。やはり、優秀そうですね」
「ダメな開発者を称えるのも、生みだされたモノとしての義務でございますので」
リュシルが駄目な奴か? と聞かれて肯定するのは俺とマシューぐらいだと思う。
当然、二人共そうでないことぐらい知っているし、それこそがコミュニケーションの第一段階だということはリュシル自身も理解しているだろうし。
実際、その溜め込んだ学者としての膨大な知識は凄く秀でてるんだよ。
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「問01:あなたの名前は?」
「マシュー=デュールです。製造番号五十六号ですが、そう名乗れと開発者より指示を受けております」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
「もともとは無性、魔国ハイウェル、神歴1961年10月15日。ですが、この女性型の体は夢現空間にて生みだされました」
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
「子供のような背丈、青い髪、ガラス玉のような黒い瞳でしょうか。開発者ともどっこいどっこいな身長です」
「問04:あなたの職業は?」
「世間一般では学者の助手を。ステータス上の表記でも『助手』をしております」
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
「信用深い相手にのみ、口が軽くなるというところでしょうか。開発者、創造者ともにそういったコミュニケーションをお求めになられた結果かと」
「……否定はできないだろうな」
「問06:あなたの趣味、特技は?」
「趣味は観察です、特技は失敗の多い学者の実験の片付けが速いことです」
「問07:座右の銘は?」
「報恩謝徳。開発者や創造者に受けた恩に対して、感謝の意を持って報いることです」
「問08:自分の長所・短所は?」
「仕えている、という意識が良くも悪くあることです。従順ではありますが、それ以上ではないとも認識できてしまいますので」
「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」
「開発者の実験を見ているのはとても好きです。ただ、私以外のゴーレムをずっと注視するのは……その、好ましくありません」
「問10:ストレスの解消法は?」
「開発者と話すことです。大抵のことは、それで癒されます」
「ああ、あれはたしかに癒される」
「問11:尊敬している人は?」
「開発者、そして創造者です。この二人なくして、今の私はございませんので」
「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
「開発者との在り方でしょうか。今はただ、好き間柄でありたいのです」
「問13:この世で一番大切なものは?」
「これは創造者に申し訳ありませんが、開発者を優先させていただきます」
「いや、別に構わないさ」
「大切な生みの親、ですから」
「問14:あなたの信念は?」
「意志を持って動ける今、開発者に降りかかる害悪をすべて払いのけましょう」
「問15:癖があったら教えてください」
「癖、ですか……ゴーレムである私に、そのようなものはございません」
「問16:ボケですか? ツッコミですか?」
「ボケです。そして、それを開発者にツッコませるのが至福だと思います」
「問17:一番嬉しかったことは?」
「開発者と話せるようになったこと、でしょうか」
「問18:一番困ったことは?」
「神に乗っ取られ、開発者の自由を束縛してしまったことです……少し改めて考えてみたら良かったとも思いましたが」
「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
「飲めません。この体、開発者と異なり本当に子供ですし」
「問20:自分を動物に例えると?」
「そもそも動物ではないのでは?」
「まあまあ、何かないか?」
「忠犬、ということで犬ですね」
「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
「開発者に付き従うことが多いので、助手として扱われることが多いですね」
「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
「先ほども挙げたように、神に乗っ取られてしまったことです……これに関しては、開発者が原因ですけど」
「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」
「開発者の研究を邪魔するものすべてを、私が排除できるようになりたいです」
「問24:自分の人生、どう思いますか?」
「すべては開発者、そして創造者のお力になるためのものかと」
「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
「このままの姿で戻り、開発者を肯定してさしあげたいです」
「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
「私は開発者の助手ですし、開発者にお任せしましょう」
「問27:何か悩み事はありますか?」
「開発者が何かの研究に行き詰っているらしい、ということです」
「問28:死にたいと思ったことはありますか?」
「元より生きておりませんので」
「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
「人であろうとどんな姿であろうと、開発者の助手として働ければ幸いです」
「問30:理想の死に方があればどうぞ」
「開発者を庇って、というのは少し憧れるものですね」
「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
「開発者、あまり言いたくはありませんがこの際ですし言っておきます。──隠そうとせずとも分かっておりますので、どうせならば私を混ぜて堂々とやってください」
「問32:最後に何か一言」
「共にダメな開発者と優秀な助手ではありますが……末永く、世話になろうと思います。私を生みだしたもう一人の主、最初は戸惑いましたが今では開発者と同じように思慕の念がございますよ」
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「はい、カット! なんだかリュシルからクレームの念話が流れてくるんだが……」
「無視しましょう。それよりも、たまには二人でまったりとした時間でもいかがでしょうか? ついでにその映像を開発者に送りつけたうえで、焚き……おっと、誘いましょう」
「まあ、それも面白いか。よし、さっそく始めようか」
その後、図書館から物凄い勢いでリュシルが来たので、三人でゆっくりとした一日を過ごしましたとさ。
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