AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者とイベントアイデア 後篇
???
「――とまあ、こんな感じのアイデアが出たわけなんだが……どう思う?」
『どう、と申されましても……』
『それはさすがに……』
『やり過ぎですの』
「そうかなー。それならやっぱり、俺の無人島サバイバルイベントを進める方針で――」
『『『もっと無い(です)(わ)(ですわ)』』』
いきなりの即否定!
みんな、俺にだけ冷たくないか!?
現在、俺はGMたちとのイベントに関する話し合いを進めていた。
眷属たちへの調査も終了し、様々なアイデアが手に入ったからだ。
しかし、少し悩んでいる様子だな。
「ちゃんと企画書として纏めて提出しただろう? あれでも駄目なのか?」
『むしろ、アレだから没なのよ』
「何が駄目だと言うんだ、他のプレイヤーのこともしっかり考えた、最高のプランを組んだはずだぞ」
『それ以上に、眷属のことを思っていますわよね?』
「それは当然だ。だがしかし、参加するだけでも報酬が貰えるようにしてあるし、時間もこっちで加速させるから、プレイヤーの生活に迷惑を掛けない仕組みなんだよ」
『それもまた、理由の一つになります。報酬が現時点のプレイヤーに知られていないものが大半を占めること。そして、時間の加速があまりに速過ぎることです』
いや、カタログには沢山と……と言おうとした俺だが、始まりの町で読んだ本を記憶から確認して止めた。
結構、その気になれば知ることのできた物ばかりだったよ。
「うーん、なら仕方が無い。俺のアイデアはとりあえず保留で――」
『『『却下!』』』
「……保留にしておくとして、もう眷属の分は尽きたぞ。どうする、プレイヤーにどんなイベントが良いかの質問でもするか? どうせ水着か戦闘だろ?」
え、風評被害も甚だしい?
世の大半はゲームにそれを求めるだろう?
ゲーム三大欲求、俺は戦闘欲・レアアイテム欲・色欲が当て嵌まると考えている。
詳細は省くし、食欲や睡眠欲を抜いた理由も今回はカットです。
イベント自体が、レアアイテム欲を呼び覚ますものなので、あとは戦闘欲か色欲を埋めれば良い。
その結果が――あの答えなのだ。
『ツッコむ点が多々ありますが……さすがにそこまでプレイヤーの方々も、欲望を顕在化させているわけではありませんよ』
「でもさ、こっちの奴は美人が多いし、プレイヤーも補正である程度マシになっていだろう? だから薄着になる水着イベってのはやりたくなるもんだ。それに戦闘だって、ゲームだからこそ、まだ見ぬ闘争の世界に身を投じたいって奴がいるだろうさ」
『メルスはどうなのよ』
「……水着、水に入る際に着るから水着なんだよな。俺には見えない水着なんて存在しないんだよな。戦闘、世界最強を倒した上に自分のコピーも打ち破ったよ。むしろ俺がボス役としてプレイヤーを全力で叩いた方が面白くなるんじゃないか……ハハハッ! なのにさ、俺には見えない水着を暴くことはできなかったさ。お蔭で死にかけた」
『か、乾いてますわね』
何度鼻から血が出ると思ったことやら。
既に(血液不要)を手に入れていたから良いものの、もし無かったら(血潮魔法)の中で最も血を触媒として使用する魔法を、何十回も使えるようになっていたよ(別口で大量に手に入れることになったけど……)。
「でもさ、俺だって水着イベと戦闘イベのアイデアぐらいなら考えてあったんだよ。第一世界に海は何種類かあるからそこを複製すれば良いし、戦闘も千尋山を複製すれば……まあどうにかなる。水着だって――ほらっ」
『え、何この水着。凄い可愛いじゃない!』
「ああ、資料だけなら沢山あったし、何より入浴へのせめてもの抵抗をしようとな、何着か作ってみたんだよ。パターンも何個かあるし、それの色を変えれば……ってあれ? どうしたの、そんな顔して」
水着だが、王道の三角ビキニである。
デザインも凝っており、シンクも褒めてくれたよ。
俺としてはパレオをお薦めしたいのだが、今はあくまでどんな物があるかを魅せる時間なので、女性の魅力を引き出せると言われるこれにしてみた。
……のだが、レイやアオイは沈黙状態に移行してしまう。
やっぱり俺みたいなモブが、水着を凝っていることがアウトだったのだろうか。
「ま、まあ、もうこれについては置いておくとして『『ああっ!』』……後でサンプルは複製してアプリに入れておくよ。今はイベントについて考えようか」
『え……あ、はいっ! そうですね』
『は、はい。当然ですわ』
女性の機微を全て察せるわけじゃないからな、多分水着に何か思うことは分かるが……それ以外は理解できなかった。
とりあえず渡しておけば、彼女たち自身で考えを纏めるだろう。
シンクだけ反応が違っていたのは……単純に、やや平野だったからかもな。
『ジトー』
「さ、さぁアイデアを出そうじゃないか! ほ、ほらシンクも一緒にさ」
『……まあいいわ。それより、水着イベントはそろそろやる予定だから却下。戦闘イベントもリソースがピンチだから止めて頂戴』
「え、結局水着イベやるの?」
『前に広めたイベントの詳細が不明だったでしょ? 未だにプレイヤーたちがイベントフラグを見つけられてないから、始まってないのよ。掲示板でもそれで炎上、何か代わりのイベントをすることが決まって……その、水着イベントになったの』
「……へー、そりゃあ面白くなりそうだ」
運営公式の水着イベともなれば、俺の考えていたものよりも、遥かに面白くなることが約束されよう。
それに、俺が水着イベをやると眷属たちがアレだし……うん、こっちの方が良いか。
「なら、また別のイベントを考えるか。シンク、それっていつ頃やるんだ?」
『告知はそろそろやるけど、まあ来月になるわね。運営が必死にデザインとかを作っているらしいから、メルスの考えていたもの以上になるかも知れないわね』
「そう、だな……クフフフフフッ」
黒い笑みを浮かべ、俺は次のプランを練り始めていく。
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