AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と自己紹介 その13



夢現空間 居間


 森人との交渉も終了し、再びゆっくりと過ごす時間が訪れた……ワケでも無い。
 時にメルとして、時におっさんとして、俺は活動を行っていた。

 メルとしての活動はクラーレたちのリアルでの行事によって一旦休みになったので、ついでにおっさんとしての活動も休み、ゆっくりとすることにしている。

 美味い緑茶を口に含み、その後に煎餅をパリポリと食べていく……あぁ、何だか心が落ち着いていくよ。
 隣に座る今日のゲストもまた、小動物のようにハムハムと茶請けを食べている。


『メ、メルス君。お代わり、いいかな?』

「あぁ、今用意する……ほいよっ」

『あ、ありがとう!』

「うんうん、たーんとお食べ」

『……そ、その言い方はどうかな?』


 それを気にするような奴は、眷属の中にはいないんだよ。
 彼女もまたツッコんではいるが、結局は渡した大福を至福の顔で食べてくれた。

 そんな風に暫くは休憩をしていたが、いつまでもやっていると、彼女をここに呼んだ理由が無くなってしまうな。


「じゃあそろそろ始めるか! 第十三回、自己紹介ターイム!」

『う、うん』

「数字的に十三って色々とアレな気もするけど、まぁ何とかなるよね」

『ん? う、うん……んぐっ!』

「あぁあぁ悪かったよ。まだ食べてる途中なのにいきなり叫んでな。ほら、お茶だ」


 喉に大福を詰まらせてしまったであろう彼女に、程々に温くなったお茶を渡して、自分で飲んでもらう。


「――あ、すまん。それ、俺のだった」

『んぬぐっ!』


 ……何だか女性としてのあれこれを捨ててしまったような声もしたが、多分気の所為でよな。


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「問01:あなたの名前は?」

『シ、シーです』


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

『女性で、終焉の島、生年月日は分からない……よね?』

「そうだな。夢現空間に居た時間がずれているみたいで、まだ割り出せてない」


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

『身長は160で、髪と目が淡い紫だよ。あと、尻尾とか蝙蝠の羽が生えてるよ』

「髪は背中ぐらいまで伸びてるな」


「問04:あなたの職業は?」

『夢幻操士だね』

「……まだ諦めて無かったのかよ」


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

『しょ、消極的なブレーキ担当?』

「消極的かはともかく、確かにブレーキとしてみんなを止めるくれてはいるな」


「問06:あなたの趣味、特技は?」

『ゆ、夢を観ること……かな?』

「『みる』が違うぞ」


「問08:座右の銘は?」

『異床同夢だね。違う場所に居たって、みんな同じ愉しい夢が見たいんだよ』

「楽しい……ん? 愉しい? 結局そっちに逝ってしまうのか」

『き、気付かないでよ!』


「問09:自分の長所・短所は?」

『長所は周りから一歩下がった判断ができることで、短所は中々指摘できないこと……かな?』


「問10:好き・嫌いなもの/ことは?」

『好きなことは夢を観ることで、嫌いなもの……というより、苦手なものは理解し難い夢だと思う』

「へぇ~、例えばどんな夢だ?」

『ちょっと猟奇的だったけど……本当に訊きたい?』

「いえ、遠慮しておきます!」


「問11:ストレスの解消法は?」

『これも夢を観ることだよ』


「問12:尊敬している人は?」

『……メ、メルス君だよ』


「問13:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

『夢を観る時は、観る人を選んでいるよ』

「どういう風にだ?」

『な、内緒でお願いします』


「問14:この世で一番大切なものは?」

『メルス君を中心にできた繋がりだよ』


「問15:あなたの信念は?」

『信念……って言う程じゃないけど、スキルに流されないで動きたいな』


「問16:癖があったら教えてください」

『く、癖? な、無いよ。一つも、一切、全く癖なんて無いんだからね!』


「問17:ボケですか? ツッコミですか?」

『ツッコミだよ』


「問18:一番嬉しかったことは?」

『夢現空間での経験……かな?』


「問19:一番困ったことは?」

『これも同じ。メルス君がメルちゃんになって逃げるから』

「俺は勢いのままに流される主人公みたいな存在じゃないんだし、しっかりとNOが言える系の日本人なんだよ」


「問20:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

『飲めるには飲めるけど、あんまり好きじゃないかな? あ、でもルジェピーチミルクなら少しだけイけるかも』


「問21:自分を動物に例えると?」

『大人しい犬だよね? そうだよね!』

「あ、あぁ。そうだな(夢魔だよな、ほぼ)」


「問22:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

『……今メルス君が心の中で思っていた通りのことを言われるよ』

「あ、バレてた?」

『ティルちゃんみたいに全部見えるワケじゃないけど、それなりにメルス君は分かり易いからね』


「問23:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

『そう呼ばれちゃうような行動かな?』


「問24:あなたの野望、もしくは夢について一言」

『頼ってもらえるようにすることだね』


「問25:自分の人生、どう思いますか?」

『メルス君の力になる為の人生だよ』


「問26:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

『無い……かな?』


「問27:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

『好い思い出を作ろうとするね』


「問28:何か悩み事はありますか?」

『中々スキルの制御に戸惑うことが多いことかな?』


「問29:死にたいと思ったことはありますか?」

『……結構ある気がするよ』


「問30:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

『普通になりたいよ!』


「問31:理想の死に方があればどうぞ」

『ど、どうせなら、メルス君と一緒に死にたいな~……なーんて』


「問32:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

『ヤンちゃん、メルス君に有ること無いこと全部言わないで!』


「問33:最後に何か一言」

『あ、アレは誤解なんだからね!』


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「はいカット! ところでさ、誤解って一体なんのことなんだ?」

『お願いだから訊かないでよ!!』


 最近は、ゆっくりとする時間の無かったからな~。
 今日はシーの望む普通な時間とやらを訊いて、二人で過ごしていくことにした。



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