AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者なしのAFO説明 後篇



「そういや、どこまでスキル上げたか?」「耐性系だけは無駄に上がったな」「ちゃんと言語系のスキルも上げなさいよね」「ハァ、俺も転移系のスキルを持ってればなぁ」「お前にあんなレアのスキル、取得できるわけないだろうが」「……よし、(隠身)ゲット」

 今までの説明でもたまにチラホラ出現していた、スキルについての説明をしよう。

 前に言ったが、スキルとは免許のようなものである――

 例えば(剣術)、これを持っていると剣を使う時に補正が入り、剣の武技が使える。
 例えば(火魔法)、これを持っていると火の属性の魔素を扱う時に補正が入り、火の魔法という超常現象を起こすことができる。
 例えば(体幹)、これを持っていると体のバランスを取りやすくなる。
 例えば(鍛冶)、これを持っていると火を使用した金属の加工に補正が入る。
 例えば(鑑定)、これを持っていると視る力に補正が入る。
 例えば(交渉)、これを持っていると相手との話し合いが合意に到達しやすくなる。

 ――無くても困らないが、あった方が断然便利。
 それがスキルという存在である。

 また、スキルにも階級というものが存在している。
 (普通ノーマル)【固有ユニーク】<伝説レジェンド>{夢幻ファンタジー}、これらは種族や職業にも当て嵌まる階級で、必ずどれかに属する……と思われている。

 [個有オンリー]と:超越トランセンド:、どちらも知るものは極僅かとも言われる希少価値の高いスキルだ。
 [個有]スキルは決して同じ名前のスキルは存在しないという程に効果が所持者ごとに異なり、:超越:スキルはそのスキルが他のスキルとは効果も使い勝手も――まさに超越していることから、その名が付けられた。

 どちらも努力だけでは手に入れることのできない――運命に選ばれた者のみが習得できる幻のスキル。

 故にそのスキルたちに選ばれた者は、時に世界を相手取り戦うことのできる程の力を個人で有する。

 ……現在、運営がプレイヤーの中でそれを所持していると確認している数は――たった一人である。
 だが、そのプレイヤー一人に翻弄された運営は……いや、ここで説明することではないだろう。


 また、スキルにも使用方法ごとにある種の系統が存在する――

 (剣術)(弓術)(格闘術)など、戦闘に関するスキルが属する――武術系
 (水魔法)(回復魔法)(木魔法)など、魔法属性に関するスキルが属する――魔法系
 (身体強化)(魔力操作)(遠視)など、自身の体に関するスキルが属する――身体系
 (木工術)(鑑定)(騎乗)など、別のものへ干渉する際に関わるスキルが属する――技能系
 (幸運)(竜殺し)(韜晦)など、上の四系統に収まらないスキルが属する――特殊系

 大まかに分けるとこの五つに分類される。

 さらにここへ、就職時に習得する(職業)スキルと転生時に習得する(種族)スキルを入れるのは……これも面倒なので止めておこう。
 どちらも平たく言えば、その五つのどこかに該当するのだから。

 スキル獲得には幾つかの方法がある。
 SPというポイントを所費して、スキル習得画面から習得する方法や、スキル結晶というアイテムを用いて習得する方法、クエストと呼ばれる依頼をこなす最中で流れで習得する方法など……。
 習得する方法ですら、無限大なのがAFOの売りでもある。

「なぁ、このクエスト受けてみないか?」「エロティックスライムの討伐……ほ、保護の方が良くないか?」「待て待て、ここはやはり調教師である俺の出番だ!」「……アンタたち、全員纏めて丸焦げにしようかしら」「「「「何でありません、すいませんでした!!」」」」「お、調査依頼……ってことはもしや――」「もしかしたらレイド系か?!」「こりゃあ先に掲示板に挙げておいた方が良いんじゃねぇか?」「まだ確定じゃねぇんだし、別に良いだろう。それより早く達成しようぜ」

 AFOでは、クエストや依頼と呼ばれる指令が存在する。
 通常それは任意で受けられるのだが、プレイヤーは死に戻りという特権を有しているため、果敢に様々なクエストをこなしていく。

 クエストにもいくつか種類が存在する……が、これは説明をするとあまりに長くなるため省略させてもらう。

 大きく分けるならば――日常に関する頼み事、ギルドからの依頼、突発的な緊急クエスト、そして……AFOという物語に関わるグランドクエストに分類される。

 報酬は基本的に、難易度相応の品が用意される。
 まれに簡単なのにレアの物、地獄級なのに陳腐な物が報酬になる場合があるので、プレイヤーは報酬欄と難易度を比べ、自身が挑むクエストを選んでいる。

 依頼によっては未だ誰も見たことのないものを見ることができる……それもまた、一つの冒険であろう。
 スキル・職業・種族・魔物・財宝・秘境・未知……など、それらはプレイヤーの目の届かぬ所で眠っている。
 それを見つける者こそがハンタぁ……ではなく、冒険者という存在だ。

 なお、同時に受注できる数が制限されており、時間制限のあるものも多いので、独占はほぼ不可能である。

「……結局、最強のプレイヤーって誰なんだろうな」「『模倣者』や『試練の魔王』は都市伝説扱いだしな。やっぱり、今を時めく彼女達じゃないか?」「いや、ここは漢のナックルさん一択だろ」「何言ってんのよ、やっぱりマツリお姉様が一番よ」

 AFOにおいても、力の序列は存在する。
 今のプレイヤーの総数の中でも、【固有】や<伝説>を持つ者は少ない。
 {夢幻}に至っては……これもまたたった一人のプレイヤーしか、その領域に到達していないレベルだ。

 なのでそのプレイヤーを除いたプレイヤーの中で、上位者ランキングと呼ばれるものが裏で作られたりしている(そのプレイヤーが表に出てこないのが、最もな理由である)。

 しかし、細かな分類をすれば決まるその頂点も、最強という看板の元で行おうとすると全く決まらない。

 ……今までに行われた公式のイベントで、その一人のプレイヤーが圧倒的な力を魅せたため、誰もその領域に辿り着けていないと理解しているからだ。

 しかし、そのプレイヤーの正体は未だに不明である。
 故に、最強の者は誰かと訊かれると、人それぞれな回答を挙げてしまうのだ。

 だが、もしその最強が日の元の晒されたならば……その際は、最強のプレイヤーが全意識の中で統一されるのかも知れない。
 ――そして、そのときは近い。


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