AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と特訓
夢現空間 修練場
封印された強者も、残すところあと四人。
別のところで偽者が使っていたスキルのコピーなども含め、色々な実験を行い、手数を増やしていくことにした。
「(……けれども、さすがにこれはイジメの域に達してないか?)」
空飛ぶ斬撃や魔法が、俺の体スレスレを通過していく。
口を開く暇も無いため、念話を発動をして会話を行う。
『しょうがない、メルスが強過ぎるから』
『アリィたちが束で掛かっても勝てないんだから、こうするしかないんだよ』
『ホラホラ、油断してると当たるぞ?』
『全ては其方のためを思ってのこと。ほれ、次の攻撃が行くぞ』
「(お前さんら、俺が一般ピーポーだってこと忘れてないか!?)」
『『『『そんな事実は無い!』』』』
現在俺は四人――ミシェル、アリィ、チャル、シュリュを相手に模擬戦を行っている。
ただでさえ強い強者は、俺の[眷軍強化]によって更に強化されている。
一人でも苦労するというのに四人って……理不尽だろ。
運営は一般人を恨むし、強者は寄って集って俺をイジめるし……やっぱり凶運なのかもしれないな。
『……現実逃避してる――"聖迅剣"』
「のわぁ! (――"光迅剣")」
『うん、防げているのはおかしい』
<封印>が外れたミシェルは、自身のスキル――<勇魔王者>を発動できるようになった。
このスキルは言わば、勇者と魔王のハイブリッド系スキル、"光迅◯"より一段階上そうな武技――"聖迅◯"と"邪迅◯"を使用可能なのである(しかも、まだ他にも能力はある。どれだけチートなんだよ……)。
いきなり薙ぎ払われた神々しい斬撃を、同じく煌々と光る斬撃を振り降ろして防ぐ。
「(俺はデュランダルを使ってるからどうにか打ち合えてるだけだ! 普通の剣だったらバターみたいに斬られてたわ!)」
『そんな未来は、絶対に来ない』
「(そうだよ、お前とやる時はこの武器を重用するからな!)」
『……分かってるくせに(ボソッ)』
ミシェル一人に構っている暇は無い。
次に俺は、既に発動寸前のアリィの札への対処を行う。
『遅い! ――"フォーカード・4"』
「いいや、これで充分だ(――"六華")」
長剣を刀のように構え、武技を発動する。
縦・右斜め・左斜めに放った斬撃が雪の結晶のような形を取り、札から飛び出して来た火、水、土、風の現象から俺を守る。
アリィも最初に会った頃の自惚れが無くなり、状況に合った行動をしている。
"フォーカード・4"とは、四倍の強さで4の力――四元素の力を振るう技だ。
実は彼女の能力は、一回以上の溜めが行えないため、一度強力な技を使用した後は再び細工をするまで、ある意味運任せの攻撃しかできないのである。
まあ、イメージするなら……ド◯クエの占い師だな。
アレのタロットの枚数が五枚になり、コンボとかが発動できるようになったもの……それがアリィの【加留多】だ(あれは特定の札ならコールできるけど)。
こっちに来てから、彼女は知恵や技術を学び続けた。
幸い、天才や秀才はいくらでも居る。
彼女は他の眷属たちへと助力を求め、様々な情報を磨いていった。
その結果、彼女は戦術を理解したのだ。
勝利への長期的な戦略を練り、そのための具体的な方法を定める。
今まではできていなかった基本や基礎を学ぶことで、彼女はより強くなった。
……今ではゲーム中に少し小細工をしようとても、行う前に直ぐバレるようになってしまったな。
「(結局、それでも律儀に一人ずつ攻めるんだな。四人一気に本気の攻撃をするなら、俺もさすがに捌き切れないんだが……)」
『ミシェルちゃんとアリィは、二人で一つのコンボだったからね。だけど、この後は……もう分かるよね♪』
「(Oh……)」
二人同時に迫って来るのを【七感知覚】で察知してしまい、頭の中で警報が鳴り響く。
その警報に従い、"六華"の型のままであった体を、多少の損傷は気にせず無理矢理動かして攻撃を躱す。
『へぇ、ちゃんと避けれんのか』
『チャル、やはり無理であっただろう』
『それでこそさ! シュリュ、今度は(神氣)も使いな!』
『ふむ、承知した』
「(お前ら、遠慮ってものを知ろうよ)」
先程まで俺がいた場所には、小規模だが穴ができていた。
その穴の中にはチャルとシュリュがおり、次の攻撃法を決めている(念話で本当の作戦を決め合ってるだろうから、言葉だけを信じていては駄目だな)。
チャルはこちらに来てから新たな武技を大量に模倣し、シュリュは(神氣)の扱いを習得した……どっちも厄介だよな。
合成技術も権能スキルも、どちらも貴重な戦力だ。
本来なら秘匿すべきものだが……眷属にはすぐ教えちゃうんだよな~。
『行くよ――"剛魔空拳"!』
『朕も行くぞ――"劉神雀火"!』
「それ、色んな意味でヤバいから! (――"夢現返し")」
さすがに神氣付きの攻撃をあっさりと受け止めるのは無理だ。
俺も(神氣)を練り込み、新たに開発した合成魔法を発動して二人の攻撃を一気に無効化する。
襲い掛かる二つの技は、その場に立った俺に何の影響も残さずに通過する。
直後、激しい音と共に技が地に触れて――炸裂した。
うわー、発動して正解だったー。
『……結構本気だったのだがな。一体何をしたのだ?』
「(攻撃したという現実を、何も無かったという夢と入れ替えた。二人の攻撃は、俺の妄想だったってことになってる……のかな?)」
『其方、本当にありえないことをするな』
「(その分かなり消耗するんだよ。普通の奴が使おうとしても、絶対にMPが足りなくて発動できない。(神氣)が一定量存在しないと駄目かもしれないな)」
『そうか。――なら、次にいこうか』
「(え? チャル、まだやるの? テンションが下がってるみたいだから、てっきり休憩にしてくれるのかと……)」
『当然だろ、まだ攻撃の組み合わせは大量に残ってるじゃないか。アンタもまだまだ元気そうだし、もうちょっとやるよ』
「(いーや~!!)」
この日俺は、新たな力を何個か収得した。
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