AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と自己紹介 その08



夢現空間 居間


「……ハァ、自己紹介をやってみよ~」

『ほ、本当に、そのままでやるのですか?』

「大丈夫大丈夫、オレ、トッテモ、ゲンキ」

『言葉から安心の『あ』の字も浮かんできません……』


 そう言われるのも仕方が無いのかな?
 現在の俺は、レミルの膝枕の上で話をしている(……眼福とだけ言っておこう)。

 そんな状況になった理由の一つに、特訓が激化してきたことが挙げられるだろう。
 魔物っ娘、強者、武具っ娘……パターンを変えて何度も模擬戦を繰り返していく内に、俺の中の大事なものが無くなっていた。

 ――そう、やる気だ。

 基本俺は【怠惰】で【強欲】で【傲慢】であったはずなんだが……前に言われた通り、それ以外の感情も俺の中でちょくちょく顔を出している。
 解析班に調査を依頼しても……{感情}に関しての詳細な情報は発見できず、メンタリストな方々へのお悩み相談程度でしか、今の症状は分かっていない。

 ……話を戻そう。
 ま、そうして無いはずのやる気を振り絞って特訓をしていたが、ついに俺からやる気が無くなってしまった。
 どうしても特訓を行う気になれない。
 なら、自己紹介を久しぶりにやろう! というわけで、俺は今回のゲストの膝を枕にして、安静にしているのだ。

 ……え? 意味が分からない?
 世の中の大半はそんなことで溢れている。
 これに関しては、『男のロマン』――この一言で説明は済むからな。


「それじゃあ、始めるか」

『本当に、本当にこのまま行うのですか?』

「……駄目か?」

『うっ……分かりました』


 よしっ! やはり自重が負担にならないようにとショタ化しておいたのが正解だったのかもな。
 今回はちゃんと消費MPも調整したし、妨害の心配はないぞ。

 さぁ、インタビューだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「問01:あなたの名前は?」

『レミルです』


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

『女性、第二世界、不明です』

「"空間創造"で創った世界って、どういった時間の流れをしてるんだろうな? それが分からないと、こっちに来る前の奴等全員が不明のままだよ」


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

『身長156、肌や髪は白く、目の色は蒼、背中から天使の羽を広げられます』

「……いやー、もふもふさせてーなー」

『ちょ、ま、待ってくださいよ……あっ』

 モフモフ中


「問04:あなたの職業は?」

『メルス様の使徒です』


「問05:自分の性格を出来るだけ客観的に描写してください」

『そうですね……寛大、でしょうか?』

「……本当に、ありがとうございます」


「問06:あなたの趣味、特技は?」

『特技として、盾の扱いが当て嵌まります』


「問07:座右の銘は?」

『安全第一です』

「理由は?」

『今のメルス様にはほぼ必要ありませんが、一応は盾……守護役ですので、使える主の安全を第一にするのが当然かと』


「問08:自分の長所・短所は?」

『長所は私が成長することで、メルス様をサポートできること、短所は……他の方と比べて、あまり強くないことです』

「……まあ御使いのままで、全く昇進できてないもんな。法則に関しては調査中だから、楽しみにしていてくれ」


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

『好きな人と一緒に居ることが好きです。嫌いなのはその人が傷付くことです』

「前にそれは禁止したはずだが『メルス様が禁止になされたのは、メルス様自身のことを言うことですよ。私の好きな人が分かるのですか?』……分かったよ」


「問10:ストレスの解消法は?」

『空を自由に飛びますね』

「はい、ヘリトンボー(濁声)」


「問11:尊敬している人は?」

『メルス様とフェニさんですね』

「初めて俺以外が出たな。一応訊くがどうしてだ?」

『私に、色々なことを教えてくださりましたから』


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

『フェニさんたちとの模擬戦にこだわってますね。どうやったら上手く盾を扱えるか日々確認しています』


「問13:この世で一番大切なものは?」

『メルス様です』


「問14:あなたの信念は?」

『この身を盾とし、貴方様を守り抜きます』

「ちょ、俺がヒロインみたいじゃん」


「問15:癖があったら教えてください」

『目の前の敵に集中すると、偶に周りに目がいかなくなります』


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

『ツッコミです』


「問17:一番嬉しかったことは?」

『メルス様から指輪を嵌めて頂けた時です』


「問18:一番困ったことは?」

『メルス様が自重しないことです』

「してるしてる」


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」

『ソーマが好みですね』

「……造るの大変なんだからな。神の酒なんだし」


「問20:自分を動物に例えると?」

『天使もまた、ある種の動物ですよね?』


「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

『メルス様。レン様に『肉壁』と当初言われていたらしいのですが……本当ですか?』

「ああ……って、泣かないで」

 慰め中


「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

『……グスッ。今はありませんので、そのままを維持したいです』


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

『もっと強くなりたいです』


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

『メルス様のものです』


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

『特にありません』


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

『本当に、メルス様でもどうしようもないのなら、そのときはメルス様と一緒に居ます』

「……さっき誤魔化した意味が無いだろう」


「問27:何か悩み事はありますか?」

『昇格できないことです』


「問28:死にたいと思ったことはありますか?」

『今のところは特に……』


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

『いえ、このままで』


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

『メルス様を庇っての死……ですかね?』

「殺させない、死んでも必ず生き返らせてみせる」


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

『……嬉しいですよ、そういったことは』


「問32:最後に何か一言」

『膝枕、いかがでしたか?』


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「カットー! ……気持ちいいです」

『では、延長されますか?』

「……お願いします」


 この日は、膝枕でのんびりとしていた。



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