AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と『勇魔王者』 その08
「何でそんなに鑑定に反応するんだ? 突然威圧を掛けられるから俺、ちょーっとビビっちゃったじゃないか」
『ぜ、全然怯えていないのに良く言う。す、少し怖いの。鑑定されて、半魔だと知られるのが。全然強く無いことを、知られるのが』
「偽装とか隠蔽とか、ステータスを誤魔化すスキルは持ってなかったのか?」
『私、昔からスキルを習得するの遅くて……メルスが言う通り、呪いなのかも。持ってるには持っているけど、すぐに見破られた。町の人が鑑定を使うだけで、私が半魔だとすぐに気付かれた』
「バレるような呪いがあるのかもな。文献にそんな例があった気がする」
――そう、電脳小説にな。
「視られることが駄目なのか? それともその単語を聞くのが駄目なのか?」
『どっちも駄目。鑑定をされた時、体に嫌な感覚が来るから分かる。だから、どっちも耐えられないで拒絶反応が出るようになった』
「……ならどうするかな。一応マリーの精神状態を平常状態で維持するって方法や、いっそのこと意識を遮断させといてやるって方法もあるにはあるが……どうする?」
『……やらないって方法は無いの?』
「悪いが無理だ。視なければマリーが何故そうなったかが分からない。原因が分かれば、お前の苦しみを減らすことができるかも知れないからな」
『……分かった。だけど、意識はそのままで良い。少し確かめたいこともあるから』
「ん? そうなのか? 分かった、とりあえずそれでも意識は平常になるようにしておくぞ。……威圧が怖いからな」
(――"獅子の心臓")
MINが向上する魔法だ。
これで少しは安心できるんじゃないか? あ、一緒にアレもおまけで掛けてーっと。
「まぁリラックスしてくれ。緊張していると逆に気付いてしまうからな」
『う、うん……』
ほんじゃあまぁ、一瞬で終わらせて安心させてやるか。(神氣)を練って――
(――"鑑定眼")
『…………』
「終わったぞ……ってどうした? そんなに呆然とした表情をして」
鑑定結果を思考内で解析している最中なのだが、彼女の表情が少し気になった。
怯えたり威圧をしたりと言うことは無かったのだが、ボーっとしているのだ。
ハイライトが消えるのでは無く、顔が赤くなってる。
――何か問題があったのだろうか?
『う、ううん。なんでもない。そ、それで、何か分かったの?!』
「はいはい、分かった分かった。もう少しだけ待ってな。今情報を査定中だから」
彼女のステータス、それはこんな感じだった――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ステータス
名前:マリー 〔ミシェル=レーヴェ〕 (女)
種族:半魔人族〔<■■>〕Lv1
職業:なし
〔状態異常:隠蔽不可・封印〕
 HP:1000/1000 〔100/100〕[+582000]
 MP:30000/30000[+760000]
 AP:1000/1000 〔100/100〕[+673000]
 STR:1000 〔10〕[+51800]
 VIT:1000 〔10〕[+51800]
 AGI:1000 〔10〕[+51800]
 DEX:1000 〔10〕[+51800]
 INT:1000 [+51800]
 LUC:0
〔実力偽装:強制〕[眷軍強化]
スキル
Lv有り
(生活魔法)(病気耐性)(眠り耐性)(麻痺耐性)
(毒耐性)(隠蔽)(生存)
Lv無し
(人化)(魔装術)(全魔法適性)(英勇脆弱)
固有/伝説/夢幻
〔<■魔■者Lv->〕<封印Lv->
個有
[スキル共有][経験共有]
〔祝福〕
〔(■■の慈愛:停止)(■■の慈愛:停止)
(不明の守護)〕
〔呪縛〕
〔(運命神の呪縛)〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――つまり、ワザと人に嫌われるようなステータスが見えるようにしたのだろう……彼の運命神は。
MPが多く、魔法を放ったら地形を変えるような力を持っていると見せた。
魔法が少ないのは……まぁ『私の力でなんとかしました』的なことを言えば良いしな。
「――まぁ、大体こんな感じだった。ステータスがバレていたのは神の所為だ。呪いの中にステータスを必ず見れるようにする効果が記されていたから間違いない」
『……私が、何をしたって言うの』
「さぁな。ただ、ヒントは祝福の中にあるとは思うけどな」
彼女にそのことを説明すると、自分の身に起きてきた出来事に憤り始めた。
――子供は親を選べない。
祝福の中に記された慈愛、そんなもので親としての責務を果たしたと思っているなら大間違いだ。
結局はそれだって、(多分運命神の所為で)停止してるんだから意味を成さない。
責任……取ってもらわないとな。
「……とりあえず<封印>を奪えるから、奪うことにするぞ。その時に多分だが天使的なものが出てくる」
『天使?』
「ああ、実際に封印のスキルを奪った時に出て来たからな。運命神は自分のシナリオに異分子が入ると邪魔をしてくるんだ。その使いパシリが天使ってワケだ」
『それをメルスは倒すの?』
「とりあえず鹵獲して情報を手に入れる。俺の眷属が前も天使を捕まえていたしな」
……レミル、同僚でも捕まえるよ。
「それじゃあ早速、奪うとするか」
『……消えれば、私はもう差別されない?』
「あぁ。それにもしできなくても、方法は見つけ出してやる」
『もっと自信満々に言って欲しかった』
そりゃ、無理なこって。
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