AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と模擬戦 中篇
「フェニ~、後が閊えてるからさ~。そろそろ終わりにしようぜ~」
『……はっ! すまないご主人。あまりの気持ち良さに意識を飛ばしていた』
「まぁ、何十回も死ねばそうなるか」
フェニとの戦闘はとても激しいものであったと言えよう。
互いに炎の翼を広げて空中戦を行ったり、魔法を使っての遠距離戦、剣をぶつけ合う接近戦を行ったりもした。
ステータス上ではまだ俺の方が上だったので、力技でねじ伏せることもできたが、今回は敢えてステータスを同等にして戦うことにした。
するとまぁ、今までは捻じ伏せることでしか勝てなかったのかな~と思わんばかりに苦戦したよ。
空中戦では死角を取られ続け、魔法戦では攻撃を呑み込まれる。接近戦に至っては……何度冷や冷やさせられたことやら。
ま、それでも神眼を使ってなんとか対処していくことで、フェニを殺し尽くすことはできた。(そういえば……俺がいない間はどうやって死んでいたのだろうか? レンにでも頼んでいたのか?)
空間を歪曲させて捩じったり、状態異常:即死を全力で叩き込んだり、反射眼で対応をしたな。
色々な方法で殺ったりしたのだが、フェニの顔がだんだんと紅潮していく様を見ていると、なんとなくだがこっちの方が緊張してしまう。綺麗な女性が、顔を赤らめて興奮しているんだぞ? 反応しない方がおかしくないか?
そして今、殺し尽くす方法も無くなってきたので一旦終了した訳だ。
『しかしご主人、やはりできるではないか。お蔭で気分も爽やかになったぞ』
「だから殺り方を考えるのが難しいんだよ。今回だって、大体の殺し方が(神氣)ありしの方法だったろう?
今の俺じゃあ、そうしなきゃフェニを殺せないんだ」
『……確かに、聖魔武具達はそこの剣以外は使っていなかったな』
そう。フェニの言う通り、俺は現在聖魔武具を剣以外一つも使っていない。
あくまで自分自身の力だけで、彼女達の成長具合を調べたかったのでそうなった(武具っ娘達は、少し離れた所で俺達の戦闘を見ていた)。だからといってそれが苦戦した理由になる訳では無いが、自分の力の物足りなさを改めて実感した戦闘であった。
閑話休題
「……それじゃあ、次の相手は誰かな~?」
少し休憩の時間を入れてから、再び戦闘を再開することにした。この時間の間に消費した体力や魔力、氣力などを回復させたので、準備万端だ。
暫らく相手を待っていると、対戦相手が出てきた。
『主、一戦願っても良いだろうか』
「勿論だ、一緒に楽しもうぜリョク」
次の相手は"白牙"を背中に背負った鬼人の王である、リョクのようだ。リョクは書き換えができるようになったからな~、フェニとは違う意味で大変だな。
そんなことを考えつつ、再び(異端種化)を発動させる――
(――"異端種化・鬼:高位吸血鬼")
今回の(異端種化)、俺に分かるのは犬歯と角が生えてきたことだけだ。先程の事例を考えると、髪が緑色で眼が赤眼にでもなっているだろうか。ま、訊けば分かることか。
「リョク~、今の俺の髪と眼ってどうなってるんだ~?」
『…………』
いや、だからどうして黙るんだ。
<畏怖嫌厭>か? 畏怖嫌厭なのか?! 今までそれをなんとかしようと工夫はしてみたのだが、一度として(適応)が発動してくれないのだ……まさか、<畏怖嫌厭>は(適応)からの好感度が低いからなんとかして貰えないのか……。
『ッ! すまない、少し考えごとをしていたのだ。主の今の髪の色は我のような緑で、眼はティンスのような赤色になっているぞ』
やっぱりかな? さっきの色もその因子の持ち主と同じような状態になっていたから、もしかしたらそうかな? と思ってはいたが……これでだいぶ分かって来たな。
因子には、本当にその持ち主の情報を因子に纏めてあるのだろう。それを注入した俺へと、その個人の情報がある程度反映しているのだと思われる。
前に使った龍人因子――イアから入手した竜人因子が進化した物――は、少し色に変化があったが、あれは進化した影響だと思われる。その時の髪や目の色は確認していなかったから、もしかしたらそっちの方はイアと同じ色になっていたかもな。
「……さて、そろそろ戦うとするか!」
『そうだな、よろしくお願いするぞ!』
俺は武器を一本のステッキに持ち替えて、リョクと闘うことにした。勿論、只のステッキじゃないぞ、なんせこんな感じだからな――
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仕込み刀 市 製作者:メルス
武具:半杖・刀
RANK:S  耐久値500/500
メルスが作り出した仕込み刀
高度な錬金術によって作られた刀は丈夫でありながら、柔軟性に富んでいる
また、半杖自体も素材によって様々な効果を持っている
装備スキル
(耐久度自然回復・大)(抜刀術)(居合)(刹那)
(斬魔)(金剛)(急速促進)(光合成)(樹木操作)
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昔あった映画をイメージして作った物だ。
刀自体は(上級錬金術)で加工して作った。
玉鋼を単一の金属で作ることで、曲がるのに硬いという訳の分からない武器になった。
杖の方は……あれだ。ユラルに頼んで神氣が籠められた樹木を出して貰った。それを素材として使ったら、大量にスキルが付いたのだ……さすがユラルさんっす。
お互いに武器を構え合ったので、早速始めるとするか!
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