AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者なしのエンヴィーサーペント戦 その02
(とあるフェニックスの体験記)
『……~~~~♪』
どこからか、ご主人の声が聞こえてくる。
それと共に高まっている力が、更に強力なものになっているのが感じられた。
「全く……。ご主人の過保護さには手が焼ける」
我はそう呟きながら、一体の取り巻きと接触する。一番デカい蛇と戦っても良かったのだが、ご主人にあれは駄目と言われたので、取り巻きと戦うことにしたのだ。
……にしても本当に、ご主人は過保護である。
ご主人の掛けた(強化魔法)は、向上させた補正値だけで取り巻きの蛇を倒せるぐらいの効果が籠められており、同時に発動させていた(快聖魔法)とやらには、ダメージを負った者が直ぐに回復できるような仕掛けが施されていた。
……もうそれだけで、我にはあの蛇など取るに足らない敵だと思える。それ程までに、ご主人の掛けた魔法が凄かったのだ。
しかも、それに加えてご主人は現在、本陣で歌い、踊っている。[スキル共有]のリストから察するにあれは、(歌魔法)と(祈舞術)を同時に行っているのだろう。
……これで、もう蛇達に勝ち目は無くなったな。
「……さて、我もそろそろ殺るとするかな」
周りでは、様々な者達が取り巻きの蛇との戦いを始めていた。我も戦いを始めるべく、
背中から炎の翼を広げて、武具を展開する。
……この武具は昔、ご主人に貰った物なのだが、あまりに強すぎた為に、眷属同士の戦闘にしか使っていなかった。
しかし、ご主人が使って良いと言っていたので、今回は問題は無い。
そう考え、我の武器である聖魔剣"レーヴァティン"を抜く。
これは、ご主人お手製の聖剣と魔剣、どちらとしても使える剣で、主に我の焔に付与効果を与える剣だ。
形状も片手剣・大剣・短剣・槍・杖・棍に変化可能で、実に使い勝手の良い武器だ。
さて、準備もできたし戦うとするか。我は上空で片手を蛇に翳し、魔法を発動させる。
「まずは……"紅蓮大蛇"」
魔法が発動すると、手の先から炎で出来た
大きな蛇が現れた。紅蓮の蛇は、そのまま取り巻きの蛇の一体に向かって行き、その体を使って、攻撃を始める――
SHAAAAA!
攻撃された蛇も必死に抵抗するのだが、我の創った蛇には聖剣としてのレーヴァティンが、聖炎属性を付与してある。
聖なる力を持った我の蛇は、巨大な蛇をそのまま包んでいき……最終的には、丸焼けになった蛇がポツンと置かれているだけとなった。
「ありゃ、もう終わってしまったか」
ご主人から、眷属は一人一匹と厳命されている為、我はこれ以上の戦闘ができない。
ハァ……まだ、ご主人から貰った武具を魔物相手に試していないというのに……。そんな残念な気持ちをご主人に慰めて貰うべく、我はご主人の元へ飛んで移動した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(とある【英雄】の体験記)
『……お姉ちゃん、フェニさんが倒しちゃったよ』
「え?! 早すぎない?」
『だって、フェニさんだし』
私とフーリは、メルス様に言われた通り、二人で一匹の取り巻きを相手にしていた。
だけど、フェニさんは一人で同じ蛇を相手にして、既に倒しているのだ。ビックリしない方が凄いと思う。
「なら、私達も直ぐに倒しちゃいましょう」
『うん、お兄ちゃんの為に』
そう決めた私達は、一匹の蛇の周りに(結界魔法)を使って周りに被害が出ないように、巨大な結界を生成した。
「行くわよ……"ヒロイックブースト"」
『……うん、"ヒロイックブースト"』
私達が【英雄】の能力を発動させると、
体の髄まで力が湧いてくる。"ヒロイックブースト"は、身体強化の効果を持っている。
「はぁぁ……"地裂斬"!」
『……"フレイムアロー"』
SHAAAA!
私は剣、フーリは弓を握り締めて、それぞれ武技を発動させて蛇と戦う。
私の斬撃は地を割り、蛇の足止めを行う。
割れた地面に嵌った蛇は、なんとか抜け出そうとしてもがいている。
だけど、そこにフーリの放った炎の矢が届き――蛇に突き刺さる。
SHAAAAAAAA!!
蛇の悲鳴が私達の鼓膜を襲うが(結界魔法)で体を覆っているので問題は無い。
今がチャンスだ、一気にけりを付ける!
「行くよ、フーリ!」
『うん……お姉ちゃん!』
私達は、武器を双龍剣"紅雷"・"天災"に変更して蛇に構える。この武器は、メルス様が突然現れてくれた物だ。当時、剣に籠められた効果も教えてくれたのだが、あまりに強すぎて、日常での使用は禁止された程だ。
そんな武器の持つ固有武技を、今蛇に解き放つ――
「喰らえ――"紅色雷電"!」
『……バイバイ――"凍雷"』
私達が剣を横に振り抜くと、紅と蒼の雷が蛇へと向かって行った。
SHA……
蛇が何か言う前に、紅の雷は蛇を炎で焼き尽くし、蒼の雷は完全に焼き消される寸前の蛇を氷で包み込む。蛇は、辞世の句を言うことも無く、その命を終えた。
『……お姉ちゃん、やりすぎ』
「な!  フーリだって、あの氷の量じゃ、融かすのに凄い時間が掛かるじゃない!」
『……お兄ちゃんなら、一瞬で戻せる。だけど、お姉ちゃんみたいに燃やし尽くしちゃったらお兄ちゃんでも無理』
「くっ」
我が妹ながら、頭が回る。このままじゃ、私だけがメルス様に怒られてしまうかもしれない……それだけは回避しないと。
「こうなったら、どっちの言い分が正しいのか、メルス様に聞いて貰いましょう」
『……うん、それで良い』
そう言って、私達は結界を解除して、メルス様の元に向かった。
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