AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者とユニーク その07
第四世界 天魔迷宮 第三層 闘技場
『嘘……。あれを……全部消したの』
アルカが何やら呟いていたが、俺のいる場所から、その声を聞くことはできなかった。
覚醒したセイとグラに力を貸して貰い、アルカの魔法を消滅させた俺は、次の作戦を考える為、"隠纏"にさっきより(神氣)を注いで隠れることにした(消滅させている最中、消えていく魔法の角度から俺の居場所を推定したのか知らないが、ちょくちょくユウが俺の近くに"万能切断"を放って来ている。事前に(空間把握)を使って無ければ、少し危なかったかも知れないな)。
『さすがメルス様だ! アルカちゃんの数百を超える魔法を全部、消滅させたーー!!』
『あの娘の魔法も、凄かったには凄かったのだが……』
『主様の方が凄いのは、当然のことだな』
止めろって、照れるじゃないか。実際、かなりギリギリだったしな。もし、あの二つの弾が無かったなら、(召喚魔法)で眷属を呼んで何とかしよっかな~と思ったぐらいだし。
ま、Ifの話は置いておくとして、どんどん決着をつけるとするか。"隠纏"を解除した俺は、再び一の弾を自分に撃ってから行動を始める。
『師匠見つけた。絶対に逃がさない!』
「フハハハハハ! 捕まえられるものなら、捕まえてみろ! 俺は、誰にも、縛られない!」
俺を見つけた途端、魔法でも使ったのか、加速している俺に匹敵する速度で、ユウがこちらに走って来た。そして、手に持つ剣に魔力を籠めて、再び振るう――
『いっけー。"ライトニングスラッシュ・魔法剣ver極光"!!』
ピカピカッ シュッ ジュギューン
そう、その一撃はまさに、ギ○スラッシュであった。パクリに負けてはいけない。自分の色々の物をパクってはいるものも、そんな使命感がどこからか湧いてきた。見せてやるぜ、俺の必殺技(笑)を!!
「負けてたまるか、"多重魔法障壁"!」
(リー、ギー、お願い。俺だけじゃ全部の障壁の発動がまだ無理だから)
《自分ができるものを発動させてくださいよ! ……全く、これだからメルスは》
《……リーはずっとメルスのことを心配してたのに、何で素直になれないのかな》
《ギーは黙ってて!》
なにやら揉めあってる様子だが、仕事はきちんとやってくれたみたいだ。俺の前には、複数の障壁が展開されていた。
"多重魔法障壁"とは、俺の持つ防御系の外部に展開する魔法を幾つかの系統毎に分けて壁のように不規則に並べて相手の攻撃を無力化する魔法だ……それだとファラ○クスじゃないかって? そうかもしれないな(棒)。ま、とにかく二人が協力してくれたお蔭で、何とか発動できたこの魔法。
それにユウの武技が接触すると――
ガキンッ
『おぉーーっと、ユウちゃんの一撃をメルス様が受け止めたーー!! お二方、あれは一体どのような方法なんでしょうか?!』
『良く分からんな。あの魔法は初めて見るものだ』
『……我も知らん』
『お二方も知らないとなると、これはまさに未知の魔法。一体、アレはどのような魔法なのでしょうか!』
解説席が盛り上がっているが、ただ防御系の魔法を複数重ねているだけなので、深い説明がし辛いな。
ま、終わってから考えればいいか。
「そろそろ決着をつけるか。最初と同じで、互いの最強の技を当てるってのでどうだ?」
『師匠のアレ、最強じゃ無かったよね?』
「お、それが分かれば及第点だな。俺の最強の技は、闘技場ごと吹っ飛ばしそうな技だから使えないんだよ」
『凄いね、さすが師匠!』
「まぁ、どんどん決着つけようぜ」
『分かった、ちょっと待っててね』
ユウはそう言って、再び剣を輝かせる。その輝きは眩しく、それでいて温かだった。
「準備できたか?」
『うん』
「よし、じゃあせーので行くか……せーの!」
『――"ライトニングブレイク・魔法剣ver極光"!!』
「先に言うけど、普通にバレてるからな――アルカ」
『だってアンタが言ったんじゃない。『せーので行くか』って。だから私も撃ったのよ』
そう、今このタイミングで俺には、ユウのギガブレイ○的な物とアルカの魔法が向かって来ている。今度のアルカの魔法は、昔フェニが撲滅イベントで創った火球の十倍はあろうかという大きさの玉だった。
「この状況じゃ、あれを使うか(――"百花繚乱")」
俺がその武技を発動させると、俺の周りには、あらかじめ登録しておいた大量の武器が現れる。
百花繚乱とは、STR×Lv×(1/100)秒分発動できる【武芸百般】の初期武技だ。
発動中、あらかじめ登録した武器を自分が指定した時間の間出現し、同時に使用可能となる。俺はその指定した時間を最短に、登録できる数だけ武器を登録し、召喚している。
それで何をするかというと――
「……喰らえ! 秘儀、乱れ花火!」
先程リーとギーを使った時に、セイとグラと入れ替えた"天魔の創糸"を使って――
「――そいやっ!!」
投げ続けた。俺の登録した武器は全部試作した魔法武器で、一度使うと耐久値が1になる代わりにとんでもない程の攻撃力を持つという代物だ(全てに(耐久値自然回復)を持たせてあるので、何度でも使用可能だ)。
炎や氷、突風に岩石等、あらゆる魔法が発動し、ユウとアルカに襲い掛かる。俺は糸を操作しながら武器達を丁寧に投げ続けなければいけないので、確認することはできない。
さて、どうなることやら。
50秒(発動限界時間)経過
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一体どうなったのだろう。武器を投げ終えて周りを見ようとするが、一面煙に包まれていて、二人を確認できない。気配は掴めないが、魔法や武技で隠している可能性もあるかもと思い、念の為緊張の糸は緩めない。そして、煙が晴れた――
『し、試合終了。勝ったのは、最後に武器を投げ続けるという荒業を見せたメルス様だ! 
そして、果敢にメルス様に挑んだ挑戦者の二人にも、盛大な拍手をお願いします!』
ウォォォォォ パチパチパチパチ
そっか、いつの間にか倒していたのか。
そう理解し、緊張の糸をやっと緩めることができた俺は、二人が転送されたであろう場所へと移動を始めた。
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