AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と目覚める人形
第二世界 修練場
あぁー、酷い目に合った。まさかあんなに隠してたことを怒るだなんて。
俺は、この場所で昨日のことを思い出していた。
■ □ ■
『じゃあ今度はこのスキルね……え? もう止めてくれ? 大丈夫だって、師匠ならきっと逝けるよ♪』
『このステータスならあれも試せるわね……良いから良いから、試させなさいよ』
■ □ ■
全く、主を何だと思っているんだ(そんな風に考えたこと無いけど)。目が覚めてステータスを確認した二人は、観客のいなくなった闘技場でスキルやステータスの確認を始めた……俺を的代わりにして。
色々と試してくるから、俺の負けじと(こっそりと)防御スキルを多用していたのだが……殆ど意味を成さず、だいぶHPに響く攻撃を受け続けた。途中でユニークのメンバーが止めに来なかったら、最終的にはHPが0になるまで終わらなかったのだろうなー……ハァ。
そういえば、こんなこともしたな。
時を遡りユニークのメンバーとの合流後
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あ、ユウとアルカをしばらく借りるぞ」
俺はナックルにそう言うと説明を続けた。
「さっき見ていたから分かると思うが、今の二人は今までの何十倍も強化された。その状態で活動を行うと……まぁ、少し見てくれ」
俺は昔使った魔素召喚陣を再び使って、魔物をこの場へとで召喚する(ティンス達のレベリングに使った奴だぞ。あの時は、レッドラビットだけを召喚出来る魔法陣をグーに創って貰っていたのでランダムでは無かったが、ダンジョンで見つけた魔素召喚陣を解析してアレンジして物は、ランダム召喚となった。グーに確認したら、何やら難しいことを知らない用語を並べながら教えてくれたが、あんまり理解できなかった)。
『――ッ! こ、この魔物は!』
ナックルが何やら驚いているのだが、この魔物、そんなにナニカがあるのだろうか? そう思い周りを見ると、皆似たような反応をしていた。そんなに危険なの? この猪。
「ナックル、こいつはそんなに危険なのか?  正直全然強そうに見えないのだが」
『知らないのか!? こいつはレイジボア。"始まりの草原"のエリアボスだ。どうしてこんな所に……』
へぇ~、こいつがエリアボスだったのか。
『こいつを倒すのに、ほぼ全てのプレイヤーによるレイドを組んだというのに……最後に立っていれられたのは、指で数えられる程しかいなかったんだぞ』
「そうだったのか。全く知らなかったわ」
俺は基本、隠居生活だからな~。外のことは殆ど知らないからな。
「まぁ、とにかく見てろよ」
『一人で戦う気なのか?!』
何やら驚いてるが、大丈夫だろ。だって、(鑑定眼)を使っても――
レイジボア Lv32
エリアボス アクティブ
地上 格下
――格下だし、余裕だろ。昔作ったショートソードを取り出して……猪へと構える。
「良いかー。もし、今のユウが剣を振ったら……」
『おい、危な……(スパッ)はっ?』
「こうなるんだ」
俺が振るった斬撃は、猪を一瞬で切り裂いた。猪は彼らに綺麗な断面を見せながら真っ二つになってしまった。やっぱり、格下だったな。
『こ……これは』
「別にこの剣が特殊だった訳じゃないぞ。これは俺の作ったSTR+5ぐらいの剣だ。この現象は、俺の素のステータスでやった物だ」
『どれだけ何だ、お前のステータスは!』
「……まぁとにかく、今のユウとアルカはこれと似たようなことができるようになっているんだ」
『……本当か?』
「そんなことばっかりやってれば、どんな目で見られるかは分かるだろ?」
『そう……だな』
「と、言う訳で二人には、二人と同じ状態の先輩達に力のコントロールを教わってきて貰おうって訳だ」
『……分かった。あのままだと、厄介な目に合いそうだしな』
そうだな、このままなら最前線で戦わされるんだろうな。多分、強いからって理由で。
「まぁ、安心してくれ。二人の先輩も俺にクレームをつけて無いってことは大丈夫だろ」
『……急に不安になって来たな』
「えぇ~、大丈夫だろ」
まぁ、先に連絡をしておくか。
(「……と言う訳で、今から新人をそっちに送るから」)
《……いきなり言われても困るのだけれど》
(「まぁ、雑用とか任せられるじゃん。だから引き受けてくれよ」)
《お兄ちゃん、その人達ってどんな人なの?》
(「良い奴らだから、問題は無いと思うぞ。詳しくは後の御楽しみな」)
(「まぁ、良いわ。今私達がいるのは――よ。転送するなら少し離れた――――に送って貰えるとありがたいわ」)
(「お、そこか。――了解、じゃあそこで待ってろ」)
連絡も終わったし、どんどんやるぞ。次は二人の転送だな。
「ユウ、アルカ、ちょっと来い」
『どうしたの師匠?』
二人がこちらにやって来る。
「いきなりだが、さっきやったのデモンストレーションを見て分かったように、眷属が持つステータスは異常だ。と、言う訳で二人には、先輩眷属の元で修業をして貰うぞ」
『……確かに、あの検証もアンタじゃなかったら無理だったのかも知れないわね。分かったわ、ものにしてやろうじゃない!』
ユウも同じ意見らしく、ウンウンと頷いている。話が早くて良いな。
「よし、じゃあ早速転送するぞ」
『うん!』『えぇ!』
今回は、問題なさそうだな。
「――なら始めるか……転送!」
(――"空間転移")
そうして、二人をティンス達の元に、他のメンバーをギルドに転送させた(ナックルに説明しておいたので、事前連絡はばっちりだ怒られなくて良かった)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――てな訳で、二人はティンスとオブリの元で、絶賛修行中だ。美徳と大罪、それぞれ系統が異なるスキルの持ち主達だが、別にステータスの制御に関わる問題じゃないので大丈夫だろ。
"機巧乙女"に今回覚醒した聖・魔武具を翳しながら、そんなことを考える。
ギュインッ!
今回もそんな音が鳴って、光が人形の中に吸い込まれていく。よし、これで受肉作業が始まったな。全員を神核に入れ終わったその時――
ドクンッ
近くで何かが胎動する音が聞こえた。
ドクンドクンッ
それは複数聞こえて来た。
ドクンドクンドクンッ
発生源を見つけ、そこを見ると幾つかの人形が置かれていた。そこは、彼女達が眠る場所であった。
人形は、かつて吸い込まれていった光を全体に纏っており、音光の明るさが変動していた。
ドク……ピシッ
突然音が止み、人形に罅が入る。
俺はその状況にただひたすら立ち尽くした――何が起こるか分からなかったから。
ピシピシッ
遂に罅が完全に罅が割れ、中から人の形をした者達が現れる。
『ふぅ、ようやく出れたね』
『……長かった』
『まさか本当にできるとは……さすが、魔王様ね』
現れたのは、金髪、白髪、黒髪の女性達。
皆が皆、綺麗な娘ばかりだ。種族的な説明だと、先の二人は順番に狐っ娘、熊っ娘で、黒髪の女性は見た感じ人族だ。
「久しぶり、そして初めましてだね。グー、スー……そして、リッカ」
最後に俺が呼んだ女性は、シャインの幻覚に現れた女性だ。前回俺が"機巧乙女"に吸い込ませたアレとは、幻覚内で創られたリッカの肉体データをオブジェクト化した物だ。それを人形に吸収させたことで、グーやスーと同じように受肉に成功したって訳だ。
だが、今を詳細を語っている暇は無い。
俺は"収納空間"からアレらを取り出していく。
「……とりあえず、服を着るか」
『『『……あ』』』
そう言うと三人共、俺の用意した服を装備し始めた。
((変身魔法)で、一応女性になれると分かった時から、あらかじめ作っていたからな。(サイズ調整)もあるから、大きさで困ることは無いぞ……べ、別に、俺が女性服が好きだから所持している訳じゃ……な、無いんだからね!)
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コメント
ヒナキ
最後乙女かっ!