AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者とラースボア戦



始まりの草原


 久しぶりにやって来たな。
 俺は草原の奥へと向かいながら懐かしみを感じていた。【武芸百般】や【元素魔法】を習得したのも、ここだったよな―。まぁ、当時は奥まで進む事も理由も無かったし、わざわざ行かなかったんだ。
 そして、遂にある場所へ到達する――


===============================

警告:ここより先では、エリア解放戦が行われます
本当に挑みますか?

 〔はい〕  〔いいえ〕

===============================

 そう、ここは始まりの草原最奥、エリアボスであるラージボアが住まう場所である。前回一撃で倒せたので問題無いと思ったので、せっかくだし、来てみたのだ。
 勿論、その奥にあるエリアは、プレイヤー達によってある程度情報は暴かれているらしい。ま、その話は後ですることにしよう(ちなみに、情報源はギルド"ユニーク"だ)。
 俺は、〔はい〕を押して戦いを始める。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


グララアガア グララアガア


 エリアに入った途端、地面が震えだした。


 BUHEEEEEEEEEEE!!


 あれ? 俺の目の前には猪がいる……だが、それはラージボアだけでは無かった。え? そいつは配下だって? 配下だったら困るわ! 俺の鑑定結果を見てみろ――


ラージボア Lv43
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv47
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv46
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv44
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv42
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv48
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv49
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv41
魔物 アクティブ
地上 格下

ラージボア Lv50
魔物 アクティブ
地上 格下

ラースボア Lv50
エリアボス アクティブ
地上 同格


 ――俺の視界には、前に見たデッカイ猪九匹と、それよりデカい猪一匹しか存在していないんだよ(ちなみにラージボアは赤色、ラースボアは赤褐色だぞ)。
 あれか? これが所謂レアボスって奴なのか? フッ、やはり俺のLUCがこの運命を引き寄せてしまったということか。


「おーい、聞こえてますかー?」


 ま、とりあえず会話が先かな?
 そう思い、(全言語理解)を発動させてラースボアに話しかけてみると――


『――殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスころすころすころすころすころすころす……』


 怖ッ、何なの奴ら! 完全に殺意しか持ってないじゃん。周りに奴らも似たような感じだし……亜竜もこんな感じだったのかな?
 ま、会話が出来ないなら仕方ないか。そう気持ちを入れ替えて戦いを始める。


「誰も居ないし、久しぶりに口頭で発動させてやるよ――"メイズフォレスト"!」


 (木魔法)の最後の方で習得した魔法"メイズフォレスト"。Lv×INTcm……つまり約1kmの範囲を自然の迷宮にする魔法だ。ここからは隠密プレイで狩り尽くすぜ!
(あれ? 口頭で発動できないじゃん)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 彼らは獲物を探していた。ソレは、単独でやって来た愚かな餌であるはずだった。


バンッ! BUQUUU!!

 何処からか聞こえてくる音と共に、彼らの仲間がまた一人、地に伏せた。もう既に10匹いた彼らは、半分に数を減らしていた。
 いい加減にしろ! と言わんばかりに、赤い毛皮を燃えるように輝かせながら。彼らは再び周りを索敵するのだが……何処にもあの獲物の姿は無かった。


BU……BUHEEEEE!!

 音と共にやられていく同胞たちの姿を見て怯えたのか、一匹が集団から離れ逃げ出す。


バンッ! BUQUE!

 逃げすらも許さないその音は、確実に逃げた猪を仕留めていった。その姿を見た彼らのボスは――ついに決断する。


BUGU BUGYUGYUGYU BUGIEEEE!

BUGYU? BUGYU?

BUGYEEE BUGYU BUGUUUU!

BU BUGIEEEEEEEE!×4

ドシンドシンドシン ドドドドドッ!

 彼らは全ての木を倒し尽くし、獲物を見つけ出す選択をした。それが、正解だったかどうか……今の彼らが知ることはできない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


≪始まりの草原の"ラースボア"が討伐されました≫
≪これにより、レアボスの情報が全プレイヤーに開示されます≫

《ソロ初討伐称号『ボアスレイヤー・ソロ』を入手しました》
《ソロ初討伐報酬"猪突の靴"を入手しました》
《称号『レアボス討伐者』を入手しました》
《称号『レアボス討伐者・ソロ』を入手しました》
《称号『初めてのレアボス討伐者』を入手しました》


《未納受報酬を確認》
《ソロ討伐報酬"封竜核"を入手しました》


 ふぅ~。だいぶ時間が掛かった。まさか、木を全部倒して俺を見つけ出そうとするとは……。"隠纏"を使わなきゃ、かなりヤバかったかも知れないな。
 あ、今回使った武具はこれだ――


///////////////////////////////////////////

魔(神)銃イニジオン 製作者:???

異界武具(神器):狙撃銃

RANK:S  耐久値400/400(∞)

???が異界の知識を用いて作り出した狙撃銃
撃った時の反動を極限まで減らしてある
音が鳴る時に狙われた者の命は、既に無いものと考えられる
(様々な神から加護が授けられている)

装備スキル
(装備者識別)(鑑定無効)(魔弾生成)(貫通)
(命中率向上)(イーグルアイ)(ホークアイ)
(千里眼)(視界確保)(魔力視)(外線視)
(一撃必殺)(一発必中)(無音射撃)(隠身射撃)
(状態異常攻撃付与・極)(無限射程射撃)

〔隠しスキル〕
(死神の加護)(暗殺神の加護)(銃神の加護)
(隠神の加護)(音神の加護)(狩猟神の加護)

STR+200

///////////////////////////////////////////


 ……うん、チート装備だな。
 何故だか知らんが、六柱の神から加護を授かったこの神器。
 STRは+200だし、狙撃補正は半端では無い。 ラージボアは勿論、ラースボアも倒せた。 ただ、ラースボアはかなり粘った。自らの死を感じ取ったのか、俺の射撃をギリギリになると避けていたのだ。十発撃って当たらなかったので仕方なく、(一発必中)を使って当てることにしたのだが……勝負に勝って試合に負けた気分だ。ラースボア……本当に強敵だったよ。


 しかし、レアボスはまだ討伐されてなかったのか。まぁ、ラージボアを討伐するのに精一杯らしかったし、仕方ないか。
 "封竜核"は多分亜竜の討伐報酬なんだろうな。今度、称号と一緒に確認するか。


閑話休題レアアイテムゲット!


 さって、解体を始めるか。
 粘着度を上げた"天魔の創糸"を使って纏めていた猪達を前に、俺は"ヤンデレ包丁"を取り出してスキル(解体)を行おうとしている。
 解体って生産活動なのかな? もしそうだったら、【生産神】が発動してDEX:∞になるから解体も余裕だな。
 そんな願望を抱いて、俺は包丁を猪達に当て始めた。


解体中
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


《大猪の牙×16を取得しました》
《大猪の肉×40を取得しました》
《大猪の毛皮×40を取得しました》
《大猪の血瓶×40を取得しました》
《大猪の魔核×8を取得しました》
《スキル結晶:(突進)×8を取得しました》
《スキル結晶:(統率)×8を取得しました》
《スキル結晶:(蹂躙)×8を取得しました》
《スキル結晶:(牙撃)×8を取得しました》
《スキル結晶:(頭突き)×8を取得しました》
《スキル結晶:(嗅覚知覚)×8を取得しました》
《"猪の靴"×8を取得しました》


 (完全解体)を持つヤン(ヤンデレ包丁だから)の解体効果はとても凄まじく、通常ドロップアイテムはたくさん手に入り、レアドロップも完全取得、おまけにスキル結晶や装備まで手に入るというこの状況……なんか、やり過ぎ感が居た堪れないな。
 通常は魔物を倒すとドロップアイテム化するが、俺は事前の設定でそうならないように設定してあった。そっちの方が、色々と面白くなりそうだと思ったしな(例:死霊術)。


(「それじゃ、二体から因子の解析を頼むぞ。グー」)

《了解、レンさんもいれば良かったんだけど……まだ、受肉が終わってないみたいだからね。一人で頑張ってみるよ》


 残りの大猪ラージボア激怒猪ラースボアはグーに任せて、詳細の解析を任せた。上手くいけば、(虫因子)の様な因子の発見やなにか別のスキルを見つけられるかも……という、俺の【強欲】な部分がこの選択を選んだ。
 そういえば……物欲センサーってやっぱりあるのかな? ちなみにグーとスーは、アクセサリーとして変身させて装備している(変身魔法で装備というデータ自体を変身させたぞ)。
 リッカは……うん、メイド修行中だ。ちょうどルーンの王宮のメイド達に頼めたので、あの後お願いしてみたのだ(王様もあっさりとOKをくれたので、どんどん送り出した。できるだけ早く真のメイドになって貰いたかったからな)。


 ……うん、ハンターとレンジャーのLvもMAXになったし、久しぶりに転職するか……あ、リョクの様子も一緒に見に行こう。
 俺は転職結晶のあるリーンの神殿の近くへと、"空間転移"をして移動を始めた。



コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品