AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者とユニーク その03



第四世界 天魔迷宮 第三層 闘技場


 転移した先を見たメンバーは、みんな唖然としていた。フフン、当然だ。なにせ、始まりの町にある闘技場よりデカいんだからな。
 大きさは……あれだ、ローマのコロッセオ的な物をイメージしてくれ。周りには、もう既に観客達が席を求めてって……早くないか?一体どうやったら、連絡して五分程でこんなに客を呼べるんだよ!


閑話休題満員御礼


「じゃあ、とりあえず中に入るとしよう。途中までは、行き先が同じだからな」


 そう言って俺は道案内を始めたのだが……メンバー全員、意識が戻ってこない。ハーメルンの笛を聞いた者のように、ふらふらと俺に続いて歩いている。


『お待ちしていましたメルス様。そちらが対戦相手ですか?』

「この中の二人がそうだ。後の奴らはVIP席で観戦させる」

『分かりました。そちらの方はお任せを』

「頼む」


 関係者用入り口で受付をやっていた女性鬼人に観戦者を任せて、俺はユウとアルカを連れて控室に向かった。


控室へ移動
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『師匠、本当にやるの?』

「ここまで来てやらないのか? 勝ったら良い物あげるから、とりあえず、力試しってことでやってみろよ」

『せめてこう、ハンデとかないの?』

「あれれ~おかしいぞ~? 俺にギャフンと言わせるんじゃなかったのか?」

『師匠……似てない』

「……やっぱり?」

『全然似てなかったわ』

「…………装備は本気で良いか(ボソッ)」

『八つ当たりは酷くない?!』

「冗談だって……1割ぐらいは」

『9割本気じゃないの!!』


 別に良いだろう? 少しだけ張りきっても。

 今更だがAFOの装備システムを説明しよう。
 AFOでは、武器、防具、アクセサリーが装備可能だ(魔道具はアクセサリーに含まれる)。
 武器はメインサブで最大4種類同時に装備可能だ。幾つかで1セットなんて物もあるから、あんまり信用できないけどな(例えを挙げるとすれば"天魔の創糸"だ。あれはどれだけ装備しても1としてカウントされる)。
 防具は頭・胴・上衣・下衣・腕・脚に一つずつ装備が可能で、アクセサリーは手、耳、首等に装備が可能だ(アクセサリーなのだが、同じ場所に二つ以上に装備するのは駄目らしい)。
 そして、今まで公開してなかった俺の通常装備はこんな感じだ――


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【装備】

武器1:模倣玉
武器2:天魔の創糸

防具頭:なし
防具胴:異界の外套
防具上衣:最高級の襯衣シャツ
防具下衣:最高級の洋袴ズボン
防具腕:最高級の手袋
防具脚:異界の革靴

アクセサリー:神呪の指輪/ラスト・リング/
解放のチョーカー/

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 異界の外套と革靴は、それぞれコート(とあるジャージ)と俊○を表している。異界で無ければ困るな……色んな意味で。
 アクセサリーも少なめで、だけどそれでいて強力な物を用意してある。
 装備品による装備補正はほぼ0だが、着心地が良いので、俺は満足している。


 そして、これから俺が着る本気装備は、大体こんな感じだ――


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【装備】

武器1:聖銃テンペランス/魔銃グラトニー
武器2:模倣玉/天魔の創糸

防具頭:鬼人王の鉢金
防具胴:断罪のマント
防具上衣:寵愛礼装上下セット装備
防具下衣:〃
防具腕:救世の籠手
防具脚:パーティエンス・ブーツ

アクセサリー:神呪の指輪/ラスト・リング/解放のチョーカー/希望のベルト/陣視の隠形コンタクト眼鏡レンズ/

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 色々と変わっているが、まぁ詳細は後で話すとしよう。
 だけど、やっぱやりすぎたかなー。ご褒美の用意ぐらい、しとくべきかな?


「二人とも、そろそろ準備は良いか?」

『準備は良いんだけど……』

『何なのその装備。見ただけで分かるぐらいに強そうなんだけど』


 二人が何故か、恐ろしいものを見たような目でこっちを見てくるんだが……。


「まぁ、本気だしな」

『師匠、まさかその装備も自前なの?』

「ん? まぁ、そうだな」

『やっぱり一般人じゃないわよアンタ』

「(プチンッ)……そうか、折角HPを半分以上削れたら、ご褒美を用意していたんだが……やっぱりなしだな」

『そんな! 酷いよ師匠、そんなの横暴だ!!』

『ちょっと本当のことを言われただけでそんなことするなんて、子供ね』

「……ほー、なら一つ賭けをしようか」

『賭け?』


 そう言うと、ユウは首を傾げて俺に訊く。


「そうだ。二人が俺を倒せたなら、装備品か厳選したスキル結晶をプレゼントしよう」

『もし、私達が負けたなら』


 アルカがそう聞いてくる。ま、当然だな。
 メリットだけで賭けを受ける程愚かだと、こちらも少し困ってしまう。


「そうだな、些細な願いを叶えてくれないかな。そもそもこの先どうするか困っててな」

『アンタ……どうせそれを言うなら、全文言いなさいよ』

「あ、分かっちゃう? まぁ、本当に考えてないしな。勝敗はまだ決まってないしな」

『……そうね』

『師匠、アルカ。さっきの師匠の言葉って、またコ○ン君みたいな感じで誰かの言葉だったの?』

「気にするな」

『え? でも『「気にするな(しちゃだめよ)」』……うん、分かった』


 危なかった、いつまでもこの話をしてはいけない。アルカもそう思っていたのか、声が被った。……俺はあの作品好きだぞ。【純潔】の聖武具に組み込むぐらいだしな。


「……よし、じゃあ行くとするか」

『『おぉーー!』』


 そして、遂に戦いが始まる。



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