AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
04-45 撲滅イベント その23
時間を引き延ばすということで、結界の内部では“時空停止”が絶賛発動中だ。
俺たちの主観時間だけが速くなり、ゆっくりとこの時間を過ごすことができる。
「──い」
だが、本当に何をすればいいのか皆目見当がつかない。
俺の低能なアイデアは、少年を女体化させて嘲笑う……ここで終わっていたからな。
「──けよ」
せっかく【色欲】の魔武具『夜王の指輪』で変身させたのだ、他にも何かやりたい。
この魔武具には、俺の青少年的な妄想が敷き詰まった装備スキルが揃っている。
装備スキルとは、その装備の根幹を示す能力たちの顕れ。
俺が生みだした聖・魔武具の場合、俺のイメージと各感情スキルが混ざっている。
今回の『夜王の指輪』の場合、俺のイメージを叶え、かつ【色欲】スキルの補助を行えるような武具なのだ。
変身魔法はその一つ、俺が変身するのも欲した理由ではあるが、その本質は──他者を【色欲】の発動対象へ落とし込むもの。
俺は男、そして【色欲】が主に対象とするのはスキル保有者にとっての異性。
つまり同性である男には、あまり利用しづらいスキルである。
しかし変身魔法を使えば、今回の少年のようにその対象に捉えることが可能だ。
……いやまあ、ヤる気にはまったくならないので、【色欲】は使いませんけどね。
「──い! おい、いい加減聞けよ!」
「悪い悪い、お前のこれからを考えていたんだ……とりあえず、俺がオークになって女騎士にしたお前を嬲ればいいか?」
「くっ、殺せ! ……じゃねぇ! さっさとこれを外──むぐっ!」
「というか、いつの間にか拘束が解かれていたのかよ。いい反応だったから許すけど、次に同じことをしたらどうなるか……さっきのこと、本当にヤるぞ?」
少々の魔力を籠めて威圧をすると、俺の本気度を感じた少年はビクッとする。
……少しずつ、反応が女性っぽくなり始めているな。
「だいたいな、外してもお前は俺に勝てないから無意味。[GMコール]も、俺が先んじてお前からやられていた最初のシーンをもう[レコード]済みだ。ついでに、さっきのアレもやってある……無駄なんだよ」
「むぐぐぐっ!」
「えっと……[ログ]を見れば、分かるとかそういう感じか? まあ、たしかに可能ではあるだろうが……そもそもさ、今は外部から隔離されている状況。結局どれだけ抵抗しても、お前自身は通報できないんだよ」
「むがぁああ!」
今度は……なんでだ、とかそんな感じか。
一周して面白く思えてきたな……いかんいかん、初心を忘れてはいけない。
「魔力を視れるとか、言ってたな? それで周りを見てみろ」
「むぐぅ……」
「ドーム状の結界が見えるだろう? 多層式の結界なんだが、いろんな効果がある。中には外部との通信遮断があってな……今はオフラインでも[ログ]が機能するようだが、それでも[GMコール]の方ができないぞ」
「ふがぁあ!」
実際、誰かと連絡を取るなどはできないようにしてある。
俺だけはスーに頼めば、再接続することも可能だけどな。
ちなみにだが、さすがにすべてを封じるのは、スーでもできなかった。
なので少女に話した結界だけは、俺が神気混じりの結界魔法で構築してあるぞ。
なんて会話をしている内に、ふと何をすればいいのか思いついた。
少なくとも見た目は少女なんだ、だが同時に男だからこそできることがあったな。
一時的にまた口の拘束を外し、喋れるようにしておく。
懇切丁寧に説明してやったんだ、そうなってもらわないと困るけどな。
「なあ、少年……少女…………いいや、シャイン。お前ってさ──痛いのと気持ちいいのなら、どっちがいい?」
「…………はっ?」
「いや、だからお前は気持ちいいのと痛いのならどっちがいいかって──」
「それは分かる。いや、意味がまったく分からない。お前……それっていったい、どういう意味のか言え」
俺としては、これはあくまでも眷族のためになることだと考えている。
しかしいきなり試して、それが失敗すると非常に気まずくなってしまう。
なので今回、ちょうどいる被検体を使えばいいと思いついた。
体は女、心は男なのでその具合を確かめるのには最適だろう。
「──マッサージだよ、マッサージ。今からお前には、俺直々にマッサージを施してやるから甘んじて受け入れろ」
「ふざけんな! 誰がそんなこ──むぐ!」
「……いい加減学べよ、お前は俺に絶対服従と言っても過言ではない。発言はさせてやっているが、自由にしていいと許した覚えはないんだぞ? 俺の嫁を汚そうとしたんだ、それくらいで許してやる心の広さに感謝しろ」
「むぐぐぐぐ、うぐぅうう!」
えっと……強引に黙らせる奴のどこに、広い心があるんだ! とかそんな感じか。
そういうツッコミだって許しているのだから、日本人は本当に優しいよな。
今だって、俺は一度として暴力を使ってはいない……あくまでも平和的に、この問題を解消しようとしているのだ。
マッサージなら、俺も眷族のためになることができるし、少女も俺と眷族のためになることができる──まさに一石二鳥の素晴らしいアイデアを見つけてやった。
俺は<大罪>だけでなく、<美徳>の持ち主でもあるからな。
そういう【慈愛】に溢れたことだろうと、ちゃんとできるんです。
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