AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

03-24 散策 中篇



「──さて、第二世界にやって来たぞ」

 少女たちのことはまた別の機会に、偽善の予定などもしっかり組ませてもらった。
 なのでそれは置いておくとして……次の世界を訪れる。

「第二世界には住民は居ない。あくまで、俺が個人的に修練を行うために使う世界だ……人に見せられないものとか、隠しておきたい練習とかをやるのに最適だぞ」

 第一世界の時と同様、解説口調を軽く意識しながら第二世界についての説明を行う。
 先ほどまでと違い、本当に誰も居ないので口も弾むようにペラペラと動く。

「ここは要するに……まあ、米青ネ申せいしん日寺ときの部屋みたいなものだな」

 時空魔法によって内部の経過時間を弄ってあるので、ただでさえ現実よりも長いこの世界での活動をより長く行える。

「だからこそ、この世界にはスキルレベリングに必要な設備が置いてあるぞ……迷宮は種族レベルや職業レベルを上げるため、スキルのレベル……まあ、熟練度的な意味で、を上げたいならこっちだな」 

 フェニや名を与えていない魔物を相手にするのは、それが必要な場合だけだ。
 基本的には個人でひたすら愚行を繰り返して、少しずつマシにしていく……それが俺のやり方である。

「具体的には……こういう風に、生産系の機材が多めだな。最近は機械術ってスキルも手に入れたし、そっち関連の事柄を進めるために経験値を溜めているな」

 昔は金をはたいて設備を整えていたが……生産チートの極みである【生産神】である今の俺にとって、販売されるような設備では生産技術に追いつかなくなってしまった。

 なのでこの世界に用意されている設備は、すべて俺がその手で生みだしたモノだ。
 錬金術で作った特殊な素材を駆使し、最高品質の最上級設備を配備してある。

 機械系の設備もまた、その一つだ。
 街では見かけることの無かった機械だが、迷宮ダンジョンを用いることで必要な材料を揃えることができた……っと、迷宮に関してはまた別の世界の説明のついでにしないと。

「ここに関する説明は……あんまりしなくてもいいんだよな。最近は迷宮を使うことも多くなったし、だいたい生産目的だ。実験も迷宮なら、被害を還元できるからな」

 迷宮で生産……をしても、特に良いことはないのでやっていない。
 むしろ周りに何もないこの世界の方が、集中して作れるしな。

「──とまあ、さんざん迷宮に関する話をしていますが……次は迷宮ではなく、とある国の都を紹介していきましょう」

 再び転移し、この場を離れる。
 ……またいずれ、ここで修練するのもいいかもしれないな。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 三つ目の世界──まんまだが『第三世界』への転移が完了した。
 そこはかつて祈念者たちが訪れた、踏み入れることができてできない不思議な街。

「そう、ここはかつてイベントエリアとして生成された、過去の世界──旧ネイロ王国王都なのだ。そして、それを俺が独占して所有した結果が第三世界である」

 現在の、祈念者が訪れることができる街よりも十年前と言うことで、少々古びた街を思わせる……景観だった。

「いつまでも古い建物じゃアレだったので、すでにさまざまな改築が行われています。安心安全設計によって、スラム街なんかも綺麗サッパリな状態だ」

 俺が関わっていなかった隠しクエストの影響もあったのか、すでに問題となっていた裏組織などは崩壊していたので、俺がやることは衣食住の改めだけで済んだ。

 惜しむことといえば、その問題を偽善者である俺が解決できなかったことだが……終わりよければすべてよし、つまりは結果があればそれでいいので気にしない。

 むしろ、組織と言うシステムが崩壊した後の問題をどうにかすることができたので、俺の方が偽善をした気がする!


 閑話休題いろいろモメた


 国王であるジークさんと共に、祈念者が居なくなってもなお残っていた問題の解決をするため走り回ったモノだ。

 お蔭で一時期、偽善に困らない……なんんてこともあったっけ?

「さて、そんなこの街なんだが、最近新しい国名にしようという話が出回っている。さまざまな揉め事を超え、強くなった今の街に相応しい名……それを投票で案を集め、もっともよかったモノを国王が採用するらしい」

 そしてつい先日、それが決まったらしい。
 俺もまだ知らないので、今日の散策のついでに見ようと思っていた。

「っと、ちょうどそれっぽいチラシが掲示されていたぞ。『新国名の名は──ルーン』だそうだ……なぜそうなったかはさっぱりなんだが、まあリーンとの兄弟国っぽい名前にはなっているな」

 また、別のチラシを見てみると、名前の理由が書いてあった……うん、どうやら俺のせいだったようです。

「ルーン、つまりルーン文字らしい。俺がこの国を奪う時に使ったのが超巨大魔法陣だったから、それに関する名前でリーンと繋がる言葉を探した結果が……それなんだとか」

 嬉しくもあるが、少々気恥ずかしい。
 俺は与えられた国王の座を下り、この国にトラブルを引き起こしたヤツなのであんまり威張れないのだ。

「今では非合法な店は一掃され、クリーンなお店だけが並んでいる……奴隷なんかは一部制度を廃止して、現代で言うところのハロワみたいな感じにしたな」

 すべてをいきなり撤廃すると、揉める……そう学んだのだよ、俺は。
 王様であるジークさん、そして次代の王を継ぐ王族たちにも多大な迷惑を掛けた。

 まあ、その結果仲良くなったとも言えるので、すべてがダメだったわけではないが。
 今回は行かないけれど、遊びに行ったら歓迎してもらえるだろう。

「さて、最後に第四世界へ向かうんだが……せっかくだし、転移門で行きますか」

 街の中心部に設置された、転移門。
 門の出れる先をすでに改造済みなので、第四世界に行くこともできる。

 紹介もラスト、張り切っていきますか。



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 第二世界

・生産エリア:そのまんま
・実験エリア:的などが設置されている
・厳環エリア:灼熱や極寒、超重力、低酸素などさまざまな設定が施された場所

 第三世界 ネイロ王国→ルーン王国

・王都:だいぶ整ってきました
・外周:一区画×9分残っていたが、偽善者の空間魔法によって現在は全方位二区画分

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