AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

02-43 スキル練習



 さて、疑問を懐かなかっただろうか?

 アップデートによって、職業を変更するためにはクエストを受ける必要が生まれた。
 そうでないものもあるが……上位職や生産職などは、それが必要な職業である。

「そしてそんな職業に、俺は就いている……本当、チートばっかりな気がする」

 エッセンス程度の罪悪感が込み上げた。
 面倒は無い方が楽だと思う気持ちが大半だが、努力という過程をショートカットしているのは……うん、やっぱり痛快だ。

 そもそも初期はそれが普通だったので、今さらやらされる方が面倒というかなんというか……うん、楽な方がいいな。

「嗚呼、この世界だとソレは認められる。異端ではあるが、それでも夢と希望に溢れる未来が約束されている……最高だな!」

 固有スキル【怠惰スロウス】の受動能力パッシブスキルの一つ──“虹色夢職ニート”。
 地球では迫害される自宅の守護者たちに、無限の可能性を与えてくれる堕落の象徴だ。

 これまでの流れから分かっていると思うのだが、その効果は過程の省略。
 難しい就職条件を無視し、就職したという事実だけを因果を捻じ曲げて手に入れる。

 ……まあ、なんで無職にそんなことができるのかというクレームも来るかもしれない。
 だが、【怠惰】とはすべきことを怠けるという意味であり──決して、ただ惰眠を貪り続けるというわけではないのだ。

「まあ、キリスト教だと休まず働くことだと定義しているわけだしな」

 そんな【怠惰】は今の人々の幻想を受けた影響か、過程の省略や事象の代行などを行うことができる能力となっている。
 いや、把握している能力から、勝手にそう思っているだけだがな。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 リーン

 ちなみにだが、転職や進化を行える例の水晶──『転進の翠晶』をレンに取り込んでもらったところ、コアから召喚可能になった。

 消費ポイント99999999。
 いや、異常だろとツッコミたいが……実際にこの数値が表示されているのだから、どうにも反応しづらい。

 まあ、神授の品を摸した品なので、簡単に召喚させるわけにはいかないのだろう。
 注いでも注いでもそんな桁に届くわけもなく、召喚したことは一度も無い。

「なお、インチキは駄目なのか[分解]してもお値段は据え置きでござる」

 某ゲームでも、手に入れるのは大変なアイテムでも売却すると意外と安いというシステムがある。
 決して、努力の量と結果は比例しないのだと学んだ。

 ……正直苦労と釣り合わないと思ったこともあるが、それと同等の品を簡単に手に入れられないようにするための仕組みなんだと今では理解しているさ。


 閑話休題じかんはかかった


「うんうん、仲が好いようで何よりだ」

 人族と魔物。
 彼らは互いを敵視し、血で血を洗う殺意の関係を長年結んでいた。

 だが、それは互いを知らなかったから。
 魔物は悪だ、人族は悪だとそれぞれがそれぞれ子孫に刷り込んでいったからこそ生まれた悲劇なのだ。

「極限の状態に追い込まれたとき、生き物はその在り方を歪める。ただの生物でもそうであり、人はもっと別のこと……考え方をも変えることができる」

 片や、生きる場所を追われ偽善者に皆殺しにされた魔子鬼たちデミゴブリン
 片や、同族に嵌められ奴隷として邪神の生贄にされかけた普人族たちフーマン

 居場所を失った彼らは、思想を変えて生きることを選んだ。
 人族と魔物は共存できる、その証明を彼らはやってのけた。

「いやまあ、別の場所だと普通にやってるかもしれないけどさ」

 そもそもプレイヤーの活動範囲など、まだまだ世界から見ればほんの少しだ。
 まだ見ぬ地、誰も知らない場所では想像もつかない生活が行われているかもしれない。

 ──それを探し求めるのもまた、AFOの醍醐味かもな。

「みんな仲が好い、種族というか人種というかそういうしがらみなんて気にせずに……これが地球と比べてどれだけ凄いことやら」

 ちなみにだが、俺は隠蔽技術を全力で行使して建物の屋根から人々の様子を見ている。
 個人の好き嫌いはあれど、種族として友好的な関係を結ぶ彼らではあるが……俺が来ると仕事を放棄して近づいてくるんだよ。

 なんだか怪しい『メルス教』なる宗教も生まれたとリョクに聞いたし、好感度が高すぎて時々困惑してしまう。
 ……うん、嬉しいんだけど、仕事はちゃんとやっていてほしいんだよ。





 なんてことをしつつ、神殿に辿り着く。
 中で働く者たち(例の宗教者候補)に挨拶してから、奥に設置した水晶に触れる。

「まあ、なんでも転職可能だな」

 生産職や戦闘職、その上位職だろうが特殊な条件が必要な職業だろうが就くことが可能になっている。
 就くことができないのは、あくまで候補にないもの──前提条件を満たしていないものだけだ。

「……そういえば、レイさんが職業も増えたと言ってたな」

 せっかくなので表示を[全表示]に切り替えてみると……目が痛くなるほど膨大な数の職業が増えていた。
 大半が習得した武器スキルの専門職、そして【勇者】や【魔王】に関するものだ。

「いや、どっちにもならないからな」

 口に出すことで心に刻み付けた誓い……いつまで守れるか微妙だが、とりあえず今回は別の職業を選ぶ。

 それ、ポチッとな──

  □   ◆   □   ◆   □

特殊固有職業:【生産神】を確認
職業:(料理士)・(建築士)の転職が行われます

 ERROR 異常なコードによる介入
 $E&*#……???による上位アクセス
 以降の導きは???主導の下で行われます

加護:(料理神の加護)を授かりました
加護:(建築神の加護)を授かりました

(料理士)は(料理師)LvMAXになります
(建築士)は(建築師)LvMAXになります

(料理師)は【料理神】に進化しました
【料理神】は【生産神】に統合されます
(建築師)は【建築神】に進化しました
【建築神】は【生産神】に統合されます

  □   ◆   □   ◆   □

 まあ、分かっていたことだ。

 予想通り【生産神】はカンストした二つの生産職を取り込み、加護までもたらす。
 ついでに言えば、神様の不思議パワーでレベリング過程までカットしてくれている……本当、感謝感激でいっぱいだよ。

「……さて、もう一回転職しないと」

 前提条件を満たすため、また暇潰しのためにすでにスキルを習得している。
 溜め込んだ経験値を振り分ければ、すぐにレベルを上げることができるのが今の便利なところだ。

 余った枠二つに再び職業をセットし、今日はログアウトした。
 うん、明日はお出かけをしようか。


  ◆   □   ◆   □   ◆


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ステータス
名前:メルス(男)
種族:【天魔Lv50】
職業:【経験者Lv30】・(召喚師Lv30)・【聖具使いLv5】・【魔具使いLv5】・【生産神Lv-】・【世界創造士Lv1】・【闘王Lv-】・【迷宮主Lv-】・【死霊Lv1】・【断罪者Lv1】・【神器使いLv1】

 NEW
(投擲師Lv50)MAX→(双剣士Lv1)
(刀士Lv50)MAX→(棒士Lv1)
(闇殺者Lv60)MAX→(鎌士Lv1)
(戦者Lv40)MAX→(鞭士Lv1)

(斧士Lv1)・(爪士Lv1)

二つ名:『模倣者』

 HP:1100
 MP:1250
 AP:1400

ATK:220→235
VIT:170
AGI:195→205
DEX:295→300
LUC:170
 BP:0

スキルリスト
武術
【矛盾Lv5】(気魔闘術Lv25)(双剣術Lv30)

【武芸百般Lv40】
\(鞭術Lv30)MAX(鎌術Lv30)MAX(爪術Lv30)MAX
 (刀術Lv50)MAX(投槍術Lv50)MAX

 NEW
(剣術:5)・(鞭術:5)→(蛇剣術Lv1:5)
(鞭術:5)   →  (縛鎖術Lv1:5)
(鎌術:5)   →  (大鎌術Lv1:5)
(鎌術:5)・(鞭術:5)→(鎖鎌術Lv1:5)
(爪術:5)   →  (剛爪術Lv1:5)
(刀術:5)→(太刀術Lv1:5)・(短刀術Lv1:5)
(刀術:5)・(槍術:5)→(薙刀術Lv1:5)

魔法
(歌魔法Lv10)
身体
変化なし
技能 NEW
(建築Lv1:5)
特殊 NEW
(双剣の心得Lv1:職業)(棒の心得Lv1:職業)
(鎌の心得Lv1:職業)(鞭の心得Lv1:職業)
(斧の心得Lv1:職業)(爪の心得Lv1:職業)

(経験者の可能性Lv-)
\(投擲の心構えLv50)MAX(刀の心得Lv50)MAX
(暗殺の心構えLv60)MAX(戦の心得Lv40)MAX
(料理の心得Lv30)MAX(建築の心得Lv30)MAX
(料理の心構えLv50:職業)MAX
(建築の心構えLv50:職業)MAX

個有スキル
変化なし
祝福
(生産神の加護) NEW
\(料理神の加護)(建築神の加護)

SP:76
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