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山田 武

02-42 ランダムスキル券



 第四世界にて、魔物の召喚を試しながらレベリングを行う。
 あらゆる魔物に使える称号『魔物の天敵』や『殲滅者』、その特典スキルによって大抵の相手は弱体化しているからな。

 レベルを上げようと思ってはいたが、検証しておかないとあとで困るということもあって、とりあえずは今のレベルを維持中だ。
 それでも少し格上の魔物と戦えるのは、貰えるBPボディポイントの量が多いからだろうな。

「──“一刀両断イットウリョウダン”」

 ネット知識と【生産神】によって生みだされた刀を振るい、巨大な魔物を切断する。
 意味もなく納刀音を鳴らし、一度は言ってみたい台詞を呟く。

「またつまらぬものを、斬ってしまった」

 体が縦に真っ二つ。
 魔物は裂けながら血のエフェクトを放ち、粒子となって迷宮に吸い込まれていく。

 まあ、【迷宮主ダンジョンマスター】である俺が殺しても入るのは経験値だけで、DPダンジョンポイントへの還元が行われないんだが……それはそういう縛り。
 そうでなければ、【迷宮主】は引き籠もっていても無限に効率のよいレベリングができてしまうからな。

「さて、これぐらいで充分か」

 俺のレベルはいっさい変動しない。
 指に嵌めた神器の力によって、経験値をすべて余すことなく溜め込められるのだ。

 これは検証などに使いやすい利点がある。
 レベルが上がらないのだから、補正なども変動せずに常に初期状態だしな。

「増えた職業とスキルの検証は、そろそろ終わりでもいいか……」

 報酬で職業枠とメインスキルのセット数が増えた、正直後者は持て余すぐらいに増えてきたが……そこは気にしない。
 そうして増やした職業の補正を体に覚えさせたり、『ランダムスキル会得券』で無料習得できたスキルの実験などをやっていた。

 ……あのチケット、適性を上げる俺が使うとあらゆるスキルを無料で習得できるチートアイテムになるんだよな。
 そう簡単に手に入るとは思わないが、探してみるのも面白いかもしれない。

「じゃあ、次の魔物を用意するか」

 侵入者が居ない場合に限り、【迷宮主】は遠隔操作で迷宮を管理することができる。
 そうでないと、開拓した場所を迷宮化する手順などが実に面倒だからな。

「[召喚]──『フレイムドラゴン』」

 消費DP5000。
 予め注いでおいたとはいえ、それなりのポイントを支払って用意した強力な龍。
 ……サービスで付いている(言語理解)をわざと消すことで、少し割引されているけど。

『GUOOOOOOOOON!』

「うん、会話はできない方がいいな」

 言葉を交わせる相手と、殺り合うのはさすがにキツイものがある。
 一度やったが……本当に辛かったよ。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 そんなこんなで一度検証は終了した。
 解析してもらった情報を貰いに、レンの居る迷宮最奥に向かう。

「おお、上がってる上がってる」

 スキルの経験値を溜めているといったが、あるスキルだけはそのまま成長させている。
 ……というか、それだけはリーのスキルで成長を止めることができないのだ。

 おっと、今のステータスはこんな感じ──

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ステータス
名前:メルス(男)
種族:【天魔Lv50】
職業:【経験者Lv30】・(召喚師Lv30)・【聖具使いLv5】・【魔具使いLv5】・【生産神Lv-】・(投擲師Lv1)・(刀士Lv1)・【世界創造士Lv1】・【闘王Lv-】・【迷宮主Lv-】

NEW
(料理士Lv1)・(建築士Lv1)・(闇殺者Lv1)・(戦者Lv1)・【死霊Lv1】・【断罪者Lv1】・【神器使いLv1】

二つ名:『模倣者』

 HP:1100
 MP:1250
 AP:1250→1400

ATK:205→220
VIT:170
AGI:185→195
DEX:270→295
LUC:170
 BP:0

スキルリスト NEW
武術
(鎌術Lv1:会得券)
魔法
(歌魔法Lv1:会得券)
技能
(機械術Lv1:会得券)
特殊
(人族殺しLv1:会得券)(保護Lv1:会得券)
(料理の心得Lv1:職業)(建築の心得Lv1:職業)
(暗殺の心構えLv1:職業)(戦の心得Lv1:職業)
(死霊適正Lv1:職業)(神器適正Lv1:職業)
(断罪執行Lv1:職業)

個有
[眷軍強化(6/100)]

SP:12
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 ──そう、一つだけ表記がおかしいのは、個有スキルである[眷軍強化]だ。
 個有スキルにはレベルが存在せず、自分が求めた性能を発揮する百パーセントへ向けて精進する……というシステムのようだ。

「しかしまあ、なんだか運がいいのか悪いのか分からない抽選結果だったな……」

 見て分かるように、俺が手に入れた五つのランダムスキルは使いづらいモノが多い。
 ピーキーな鎌、歌わなければ発動しない魔法、まだ確認されていない機械、犯罪者確定の対人戦闘補正。

「分かりやすい当たりは(保護)スキルだけ。うん、これはいちおう当たりなのか」

 その名が示すように、保護をするスキル。
 では何を何から保護するのかと言えば……アイテムを盗賊からである。

 システム的なことを言えば盗みの成功判定に干渉し、よりその確率を落とすのだ。
 奪われる、という問題を防ぐためのこのスキル──主な使い方が盗み防止なだけであって、その本質は奪略の阻止である。

「実際、吸収系の攻撃を抑えられた。保護ってだいぶ範囲が広いんだな」

 さまざまな魔物の被検体として実験を繰り返した結果、それは発覚した。
 スキルを使用しているときとそうでないときで、僅かながらに違いがあったのだ……まだ初期状態のなので、比較にだいぶ時間がかかったけどな。

「まあ、それを言えば人族ってのも魔物以外の人型はだいたい該当するんだけどさ……いずれPvPでもやるなら、喉から手が出るほど貴重なスキルとして崇められるか」

 人外である魔族を選ばない限り、そのスキルの影響下から逃れることはできない。
 相手にデバフを与え、自身にバフをもたらすそのスキル──犯罪者が主に持っているであろう扱いに困る能力だな。

「……さて、機械術だけはまだ試せてないんだよな。とりあえずはシステムコンソールを使って試してみるか」

 嗚呼、レイさんナイスタイミングです。
 そのうちネットで機械について調べるのは決定事項としても、こっちの世界の機械がどういったものなのかも調べなければ。

 レンに召喚させるか? いや、そもそも機械って召喚できるのか?
 行ってみないと分からないか……さて、やるべきことはたくさんだ。


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