竜と王と剣と盾

ノベルバユーザー173744

ようやく落ち着いた面々だったりします。

主になる4人の前に勢揃いする後宮騎士団……ちなみに、可愛い六槻にお説教されて、ついでに純白のドラゴンたちにも脅されたルーにエリオットも含む。

一団の中でもっとも高い地位を与えられたウェイトが、騎士の礼を呼び掛ける。

「皆‼主君王太子殿下、アーサー殿下、エドワード殿下、王女殿下に礼を‼」

すると、バラバラに思えた面々が一子乱れぬお辞儀をした。
しかも、その中には、ウェイトの奥方もいて……。

「ファー?ファーはレディだからその姿ではやめなさい。ね?」
「あ、そうでした。申し訳ございません。殿下」

愛らしい……美少女顔の夫に負けない年齢未詳の奥方は優雅にお辞儀をすると微笑む。

「申し訳ありません。殿下。私は、王太子殿下付き、副団長を任されました、レイル・マルムスティーン侯爵嫡子ウィリアム・ロズアルドと申します。そして、妻のアルファーナ・リリーと申します」
「ちょ、ちょっと待ってください‼」

エドワードは、奥方とウェイトを見て、

「も、もしかして、歯車公爵家の……方ですか?」
「よくご存じで。はい。アルファーナ・リリーは現当主アルファリス様の長子です」
「……本当に、見つかったと言うのは伺っていましたが、こんなに身近とは思いませんでした……」
「エドワード殿下は、2歳でいらっしゃいましたし……」

苦笑する。
そして、横を促す。

「私は、元々、ロイド公爵グランドールの次男、アリシア・ルイーゼマリア・ランドルフと申します。年は、ウィリアム卿と同じ年です。アーサー殿下付き、正式な副団長がまだこちらに配属されておりませんので、副団長代理となっております」
「えっと、その顔……」

アーサーは、美貌の青年?と双子の兄を見る。

「私の母は、先代陛下アヴェラート様の双子の姉、アリシア・ルイーゼマリアと申します。ですので、不本意ですが、あの国王陛下の従兄弟となります……」

そして、もっとも長身の上品清楚な細身の青年が、

「私は、カズール伯爵ルーン・エイジャクスの兄、エドアルド・フェリオスと申します。私は、エドワード殿下付きとしてお支え致します。よろしくお願いいたします」
「僕付き?えっ?お兄さんはいいの?王位継承権低いし……」
「いえ、その方が……助かります。私は、エージャの兄ですが、ご覧の通り、両親の血を引いていない養子です。ですが、後継者の少ないカズールの後継者として、エージャを傷つけると陰口に、嫌がらせに、嫌がらせに……。でも、エージャを助けたく、支えたく、父に憧れ騎士の道を選びました。シエラにし、指南して……ですが、そうすると地位が上がり、益々……その為、王宮騎士団でエージャを支えようと思っておりましたが、それでも……」

泣いてはいないが、本気で地面にのめり込みそうな落ち込み様の青年に、エドワードは、

「だ、大丈夫‼兄さんは悪い人じゃないのは解ってるから‼」
「あ、ありがとうございます。ですが、シエラにルー兄上に、エリオットに、セイラに、叔母上も……胃が痛い……」
「……」

言葉もなく項垂れる青年に、アルドリーたちは本気で不憫に思うのだった。
その横の青年に、ぎょっとする。
ワンレングスの髪で、顔を隠した金髪の長身の青年。
優雅に頭を下げ、

「私は、カイ・レウェリンと申します。実家の元々の爵位は男爵ですが、実家を8才の時に出て、マガタ公爵家のルドルフ様に後見人となっていただき、騎士の道を目指しました。ウェイト副団長を始め、ほぼ皆さんは騎士団長を経験されているのですが、私は副団長で、本当にこちらにいていいのか……と思うのですが、フィアの次に後宮騎士団員の栄誉をいただき、現在は後宮で殿下のお帰りをお待ち申し上げておりました。王太子殿下付きとなっております。若輩者ですがよろしくお願いいたします」

えへっと首をかしげたときに、いつのまにか後ろにいたヴィクターは髪の間から覗く顔に愕然とする。

「カイ……こ、こちらに来てくれるかな……?」
「は、はい‼」

騎士だと言うのにゆっくりとふわふわと歩く青年が、ヴィクターの前に立つと、

「か、顔見せてくれるかな?」
「え、ぶ、不細工なので、見せちゃ駄目と、副団長に‼」
「違うぅぅ‼お前の顔は、ある家の後継者問題に‼」

ウェイトの声に、しかし、カイは、

「それに、瞳が母に似て……」
「そんなわけあるか~‼見せなさい‼」

ガシッと掴み、髪をあげると、ヴィクターはダァァ……と涙を流す。

「おおじいさま‼どうしたの‼」

焦るひ孫たちに、示す。

「瞳は濃いけれど……セティーナにうり二つ……孫だよ……孫。あぁ、リオンも本当に可愛い孫だけど、この子はカズールの後継者ではないんだ」
「へ?」

ウェイトはあっけにとられる。

「カイ……アルフォンゾ・レウェリン卿は……」
「フェリスタ公爵家の後継者」
「はい?」

着いていけない青年に、

「後で話をするから、ちゃんと顔見せて‼セティーナにうり二つ~‼」
「えっと、えっと、セティーナ様と言うのは……それに顔は、瞳は……見せたくなくて……」
「瞳は、母方の祖父であるアルフォンゾにうり二つ‼顔は、父方の祖母である、私の妻にうり二つ‼セティーナに……もう会えないかと思ってた……この顔に……」

大泣きする曾祖父に、

「お、おおじいさま……一時、兄さんたち貸し出すから、思う存分……どうぞ‼」

と、アルドリーは二人を差し出したのだった。



「えっと、続きですが……」
「私は、エリオットと申します。このルー兄、上の従兄弟となります。よろしくお願いいたします。一応アーサー殿下付きです」
「ちょっと待って‼」

アーサーは訴える。

「何で、幸矢こうやはこんなに一応頭脳系、まともに納得域でも、僕には顔だけ‼」
「私には解りません。騎士団長の命令です」
「確か、アルドリー殿下は、そうそうなさいませんが、アーサー殿下は王妃様に似てやんちゃでガキ大将だから、だそうです。ガキ大将同士で仲良くしろとのことでした」

二人の言葉にがっかりする。

「つまんないの」
「後で‼」

兄にたしなめられると、

「初めてお目に掛かります。ウィリアム卿の妹で、このエリオットの妻、ウィンディアと申します。私はセイラ様やルゥ姉様とも親しく、王女殿下付きとしてつとめを果たす所存です」
「あ、あの……そのお腹……」

ぽっこり膨らんだお腹をさすり、

「3人目ですの。この……この亭主が、借金ばかり‼問題ばかり‼夫の両親は本当に私に申し訳ないといつもいつも泣かれて、その姿に、この男をいつ殺ろうかと……」
「いや、子供3人目で、仲良くて……」

おろおろするアルドリーの目の前で、大胆にも両太もものスリットから抜き出した数本の細身のナイフに呆気に取られる。

「違いますわ‼この男が、借金をつくって、同じ騎士団で同期だった私の家に転がり込んで、私に酒を飲ませて……ラファエルが生まれたのですわ‼しかも、この男、子供ができたから結婚誓約書にサインを‼その上、ラファエルが生まれても名前をつけず‼借金まみれ‼私が働いても働いても‼子育てしつつ努力しても、お金ひとつ入れもしない‼子育てにも‼それなのに、次々と‼」
「離婚すれば……」
「したくても、このバカの同意も取れず‼その上……」

ウィンディアは、フニャッとする。

「本当に義父母にはよくしていただいて……今日も一時退院したばかりだと言うのに、ラファエルにガブリエルを見てくださって……離婚してもいいと言ってくださるのですが、お二人が、このバカによって又倒れられたりすると……」

ぼろぼろと泣くウィンディアに、隣のフィアが、

「姉様‼泣いちゃダメ。せっかくの綺麗な姿に、ラファエルが喜んだんでしょう?『ラファも、騎士になる‼お母さんのために頑張る‼』って」
「そうなんです……まだ3つの息子は、本当に……賢い子で……自慢の息子ですの。1才の娘の面倒を見て……む、息子のために……子供のために……」
「が、頑張らなくても‼ウィンディア姉さんが、仕事に来るときは‼その二人もつれてきていいからね‼」

アルドリーの一言に、

「本当ですか?」
「うん‼大丈夫‼」
「ありがとうございます‼臨月前まで職務を全うし、この子が生まれて落ち着いてから、再び職務に復帰しますわ‼よろしくお願いいたします‼」
「妹をよろしくお願いいたします‼」

ニコッと笑った顔は、ウェイトの妹にしては地味だが整った顔。

「あの、向こうで、ご挨拶しました‼副団長‼」

横のフィアが手をあげる。

「では、殿下方、団長は後で参ります。そして、アーサー殿下、エドワード殿下、王女殿下付きの副団長は、職務を切り上げ次第、そして他に、騎士団での雑務終了後任に付く者がおりますが、ブリジット?」
「は、はい‼」

後ろに隠れるようにしていた一人の少女がおずおずと出てくる。

「お、王女殿下付きの騎士としてせ、正式に叙勲を受けました‼わ、私はブリジットと申します‼ロイド公爵グランドールの娘です。騎士の館を出てまだ一年にも満たない若輩者ですが、真摯に王女殿下に仕え、自分を磨きたいと思っております。よろしくお願いいたします」
「えっ?この……お姉さん、いくつ?」

見事なダークシルバーの、どう見ても愛らしく、同年代の少女に、アーサーは、

「は、はい‼今年の末に17になります‼」
「お、同い年‼」

アーサーはまじまじと見つめる。
深いグリーンの瞳は理知的、でも自分に自信がないのか戸惑ったようす……その上……。
兄王太子よりも健康的に適度に日焼けした少年の頬がうっすら赤く、そして、

「あ、あの、ブリジット卿……」
「り、リジーと呼んでくださいませ」
「あ、うん、じゃ、じゃぁ……えっと、リジー……い、妹を、よ、よろしく、ね?そ、それに、僕たちも……」
「はい‼お守り致します‼」

その一言に、ガーン‼のアーサーは、必死に、

「ぼ、僕も、い、一応剣と術はさ、最低限、教わっているから」
「そうなんですか‼じゃぁ、是非、私は未熟なので、教えてくださいませ‼私は、本当に騎士として……」
「う、うん‼訓練……訓練、しようね‼絶対だよ‼」
「先輩方とも、一緒に‼」

必死のリジーによって痛恨の一撃を食らったアーサーは、

「う、うん……頑張る……」

と呟くしかなかったのだった。

「竜と王と剣と盾」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く