竜と王と剣と盾

ノベルバユーザー173744

後宮騎士団の面々も絶句するほどの美貌の持ち主が多いんです。一応。

整列し、国王アレクサンダーがセイラの手を引き現れた時には、

「あぁ、変わってないな……セイラは」

と、ルーが呟き、エリオットが、

「おーい、ルーにい。一応正妃殿下だろ?でかい声で言うなよな。可哀想なほど普通だって‼」
「お前もいってるだろうが‼しかも、暑苦しい‼ウェイトのところに行け‼」

ちなみに、ルーとエリオットは従兄弟同士。
エリオットの父は、セインティアである。
ルーは女顔の美男子、エリオットは両親の良いところを貰った美男。
しかし、縁戚であるウェイトが嘆くほど単細胞、無駄に暑苦しい性格をしている。

並んでいるのは、ウェイト、ルー、エリオットに、ウェイトの妹でエリオットの妻のウィンディア。
そして、カズール伯爵ルーンの兄のリオンと、その親友であるカイ。
緊急で特に重要な才能を持つ重要な面々が揃い踏みの中、一人とまどいがちに立っているのは、年少の少女。
ブリジットは、気後れしたようすで、

「あ、あの……本当に、私がここにいても宜しいのでしょうか?」

とこそっと、一番近いカイに問いかける。
深い緑色の瞳と、本人はネズミ色と信じ込んでいるが、ダークシルバーの豊かな髪の16才の少女である。

「大丈夫。リジーは、フィアが特に信頼して、王女殿下の傍にって、エージャ様にお願いしたって聞いたよ?それよりも、私の方がいて良いのかなぁ?」

輝く金色のワンレングスの髪を後で軽く結んだだけのカイは、身なりに厳しいウェイトが、

「絶対に、顔は隠しとけ‼お前の顔は周囲のレディの心臓に悪い‼」

と叫んだ。
本人は、

「あ、そんなに自分は不細工なんだ~。それに、嫌いな瞳を隠せるからいっかぁ~」

と、気楽に考えたのだが、ウェイトは、

「……あの、あの顔‼絶対にあの家の後継者争いに巻き込まれる‼あいつは、悪い子じゃない……これ以上巻き込まれては、あの悪運呼び込み体質‼悪化する‼」

と、人見知りがひどく激しいが、子犬のようになついてきてくれるようになった後輩の将来を心配していた。
それは全く知らず、カイは隣の親友を見る。

「ね?リオン。フィアは本当にそういってたんだよね?」
「そうそう。リジー?姫は、まだ全くこちらのことをご存じないし、お友だちもかねてだよ。王子がお二人にエドワード殿下も男の子でしょ?ウィンディア一人では大変でしょう?にいさまたちは、男だからね?」

リオンは、エドアルド・フェリオスが正式名称だが、幼名のリオンがそのまま愛称である。
温厚なといえば良いのだが、繊細な性格で、ひとつ下だが同期のカイは災難受難者、カイと同じ年で一期下の幼馴染みのエリオットが破壊倍増者のため、かなり胃痛持ちだったりする。
ちなみに、従弟のフィアはフィアで、最近は大人しいが、15才から17才にかけて、勝手に特務部隊に入っていて、特攻、突撃、暴走の数々を成し遂げ、最後には、大怪我を負わされた上に縛られて、王都の北の大河アンブロシアスに浮かんでいたのをカイに発見され、シェールダムの屋敷にかつぎ込まれ、目を覚ましたときには、17才までの記憶がすっぽり抜け落ち、5才に返っていた。
それから3年間は、騎士団を休んだ形にして、東のマガタ領で静養し、記憶を取り戻したフィアを父のシルベスターが、

「もう、フィアは、暴れるのならカズールに行きなさい‼ちゃんと仕事しないと、婚約は向こうに伝えて破棄してもらうよ‼」
「エェェェ‼や、やぁだぁ~‼父さま‼僕良い子にするから、それだけはやだぁ‼」
「騎士もやめちゃって良いんでしょ?」
「それもダメ‼シエラにいさまとちゃんと約束したんだもん‼騎士になって、大学通って、術もそれなりに使えるようになって、称号ももらって……シエラにいさまのお家に婿入りするのが僕の夢なんだもん‼」

わぁぁん!

泣き出した20才の従弟を見て、顔をひきつらせたのはリオンだけではない。
特務部隊に所属していた事のあるウェイトもルーも、

「……あんだけやっといて、シエラの家の婿養子……?」
「有り得ん‼アイツ、いくつ犯罪組織壊滅させたんだ?15から3年もたたないうちに、お前が探っていたほとんど潰したんだろ?」
「あぁ、しかも、この私でも見つけられなかったアジトも数ヶ所あった!」
「お前……それを探り当てたフィアに衝撃受けてたのに、その理由が、カズール家の分家にも多分なれない……爵位のない家に婿養子‼」

騎士になれば、男爵に自動的になれるが一代限り。
シエラは一応6才で騎士になっており、男爵ではある。
しかし、その令嬢には爵位はないのだ。
それなのに……。

「と言うか、シルゥ叔父上も、フィアは可愛いから、そこら辺の侯爵とかの爵位位渡せるけどな」
「でもな?生まれてない子供と婚約ってありかよ?」

ルーの声に、フィアとシルゥは愕然とした顔で振り返る。

「アリシア?知らないの?シエラには王太子殿下とひとつ違いの娘がいるんだよ‼」
「ルーにいさま‼シエラにいさまの側近になるセイン叔父様には娘がいないから、リジーが遊び相手になるって決まってるのに‼それすら聞いてないの?」

瓜二つの親子は顔を見合わせたあと、心底不憫そうに、

「「信頼されてないんだね?家族に‼可哀想……」」

と言う二重奏が直撃したのは4年前である。



リオンは思いだし、

「そう言えば、リジー?シエラ……兄さんたちの幼馴染みで、私の叔父になるシエラシールには女の子がいるんだけど、王女様同様、仲良くしてあげてね?うーん……あのシエラの、娘……想像がつかないよ」
「シエラシール卿と言うと、先代伯爵の弟君だよね?先代伯爵に似ていらっしゃるの?」

カイの問いかけに、ウェイトが首を振る。

「先代伯爵は母上に似ていらして、シエラは先代クルス侯爵でいらした父上似だ。あ、出てこられた……」

姿を見せたのは、華奢な女性を抱いた長身の……。
呆然と、リオンは、

「父上……」

呟く。
リオンは長身だが、細く、体格が違うことにコンプレックスを持っていた。
実の息子ではないことも……。
目の前に現れたのは……父、先代カズール伯爵、リュシオンの正装である。
しかも金髪の……。

「違う。瞳が」

ウェイトの指摘で気がつく。
顔立ちは整っているが、優しげで、瞳はグリーンである。
情報通のウェイトが素早く、

「セイラの兄上‼本名は清秀セイシュウ様‼通称、シュウ様だ‼確か、奥方は瑞波ミズハ様。あのセイラの幼馴染みのグランディアの令嬢」

その言葉に、カイとリジーは、

「すごく高貴な方なんだ‼」

としか思わなかったのだが、他は、

「あの、セイラの兄で‼あの、シエラの甥‼どんな化け物だ‼」

とおののいていたが、振り返った清秀は、穏やかに微笑み、

「後でご挨拶させていただくが、私は清秀。そして、眠っているけれど妻の瑞波。よろしくお願いする」

の暖かく優しい声にホッとした。
その後、ちなみに面々……特に繊細なリオンを息子のように気にかけ、その上、

「あの、さーこと兄貴はやらせとけ。皆、特にリオンは気にするな。あんなのいつもだいつも‼その上家の母上も構っていたら、父のようになるぞ?」

の一言に、あー、ホントだ~と、その次出てきた夫婦を見てそう思ったのだった。

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