竜と王と剣と盾

ノベルバユーザー173744

六槻ちゃんのペットは、リリアちゃんになりました。

「うぇぇぇん……」

その頃、目が覚めた六槻むつきは、べそをかいていた。

「とーちゃぁぁ、まーまぁぁ……じーちゃぁぁ……う、うぇぇぇん」

実は、まだ熱が下がらず、その上心細いため、かなり不機嫌である。

「とーちゃぁぁ……ふえぇぇ」
「どうしたの?」

ひょいっと覗き込んだのは、祖父の兄、つまり大伯父のエドヴィンである。

「じいちゃまぁぁ」

手を伸ばす、15になるにしては幼い少女を抱き締める。

「どうしたの?怖い夢かな?」
「ここ、どこでしゅか……とーちゃ……」
「ここは、六槻のお家だよ」

孫息子フィアが、改装した家である。
しかし、一応訳があり、エドヴィンの弟ヴィクターの棟は、はっきり言って、お宝、がらくた何でもあり‼の屋敷で、一度、二階が本の重みで底が抜けたために修復したのだが、最近また底が抜けた。
その時の、ロイド家の兄弟の落ち込みぶりに、帰ってきてすぐに、片付けろ‼と言ったきり、がらくたの山の中で埋もれている。
ルドルフが何回か食料を届け、共に片付けているが、出てこないのは泣いているか、嘆いているか、叫んでいるか……。

「ギャァァァ‼セティの~‼こんなところに‼発見‼良かったぁぁ、セティ~‼……あぁぁ!この指輪は、あの式典の時の、ドレスに合わせて作ったネックレスとブレスレット‼あぁぁセティ~‼」

の声に、六槻はビクビクと、

「じ、じーちゃの声?」
「……忘れなさい」

嫁オタクの弟を放置することに決定したエドヴィンである。

そして、六槻が父親の棟に部屋がない理由は、元々、父親の棟は先代伯爵リュシオンの棟で、幼かったシエラとフィアとリオンが一緒に住んでおり、戻ってくるに当り、部屋割りをしたところ、部屋がなかった。
それに、リオンの棟も別にあるが、どうしてもフィアが部屋を出ていくかしかなかった。
なぜかと言うと、リュシオンは主に出歩いていて、破壊の限りを尽くすために、棟は持っていても、部屋がなく、後に弟のシエラの部屋になる空室に入り浸っていたのである。
その為、子供が増えて、出歩かなくなるようになるにつれ、一応ロイド家のグランが、

「お部屋は……」

と聞くと、

「あの、明るい部屋をシエラたちの遊び場にする。あそこのものを移して、ここの俺の部屋だった場所は、書庫を移動。書庫だったところに執務室。執務室とあの部屋は繋がっているから、目を離すことはない」
「あの、ご自身の……」
「面倒。どうせ、シエラとリオンとフィアと寝るんだから、いらない」

と言い切って下さったがゆえである。

リオンの部屋だったところは、清泉いずみの私室になったため、フィアが出ていこうと思っていたのだが、

「せっかく、ここに部屋があるんだから、いては?」

とグランが言い、

「何でしたら、どこか近くに……」

と言ってくれたため、目をつけた別邸を一斉改装させたのである。

「えとね?六槻は解るかな?この大きなお家は、そうそう手を加えられないんだ。この建物全体が歴史的価値があって……そこにすんでいるから、勝手にお部屋をぶち壊してとか出来ないんだよ」
「お部屋?」
「そう。外観とかは絶対にダメで、内装の壁紙や家具はいいけれど、大きな工事が出来なくてね?実は、お父さんの屋敷はこっちにあるんだけど」

指で示す。

「実はね?そこにお部屋が足りなくて……急遽、六槻のお部屋をと思って、このお家は、使われていなかったから、ここを六槻のおうちにしようって。一応、じいちゃまが今いるお部屋は、扉を開けた向い側。ヴィクター……六槻のおじいちゃんのお部屋なんだけど、ヴィクターがね……溜め込んだ荷物を片付けさせてて、今ここにいないんだ。だから、じいちゃまと、ナーガとチビといようね?」
「チビ……?おっきいわんわん」

ベッドのそばにいる大きなナムグを示す。

「ナーガ・デール・フィルセラ。ナーガだよ。で、ほら」

ピョコンピョコン‼

必死に跳び跳ねる、小型犬。

「わんわんだぁぁ‼」

六槻ははしゃぐ。
六槻は小さい頃から動物に囲まれて生きている。
鶏は卵を貰い、雛を育て、肉を食べる……そして、犬は……。

『わんわん、違うよ‼ボク、ナムグだもん‼ナーガ・デール・フィルセラの子供だもん‼』
「あ、しゃべった。わんわん、ナムグってお名前?」
「六槻?聞こえるの?」

エドヴィンが目を見開く。

「うん。わんわん違うって。ナムグってお名前?」
「いや、ナムグと言うのは種族の名前で、この子は、まだ名前を持っていないんだよ」
「……う~ん。あ、リリアちゃん‼」

六槻がぽんっと手を叩く。

「お名前、リリアちゃん‼むーちゃん、わんわんにつけたかったの‼リリアちゃんは?」
「わぁぁ‼六槻‼」

止めようとするが、首をかしげたナムグは、

『……あなたの名前は?』
「六槻‼えっと、六槻・アエラ・アルカサール・エクティフィン・サラ・カズールです。よろしくね」
『……僕の名前はリリア。じゃぁ、六槻。契約しよう』
「契約?わかんないけど、ずっと一緒にいるって約束ならいいよ」
『解った。約束……』

小型犬にしかみえなかったリリアの背中が光を放ち、その光が収束すると、小さな一対の翼に変化する。
翼はパタパタ羽ばたき、体を持ち上げ、六槻のベッドに飛び込むと、

『わぁぁい‼六槻大好き~‼』

と、六槻の腕の中で甘える。

「あ、あぁぁぁ……‼六槻‼契約駄目だったのに‼」

愕然とエドヴィンが叫ぶ。

「何で?じいちゃま?」
「ナムグは、空を飛ぶ生き物で、六槻は一人で乗るのは無理だよ。バランス感覚もあるし、竜とは違って補助もない。契約はお互いを縛ってしまうんだ。だから、滅多にそれをすることは……」
『と言っても、契約は契約。それに、リューの姪。一人では無理でも訓練さえすれば空を飛べるようになる』

低い低い声……しかし温かく……。

『このリリアも選んだのだから、これからの困難さは自分で乗り越えられる……ケイン・ジュエルのように……』
「……それもそうだけど……明日どうなるかなぁ……」

エドヴィンは頭を抱え、六槻は無邪気にリリアと遊んでいたのだった。



「あれぇ?リリアちゃん。男の子だったの?まぁ、良いよね‼」

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