コマンド見えるようになったので、ハーレム作ります!

片山樹

魔王になる理由

 レイシス・ヴィ・アイリス・デストロイヤーはバルリア王国の姫である。
そして次期魔王候補のバルリア代表でもある。
でも彼女は元々王国の姫であった訳ではない。
彼女は赤ん坊の時に城の前に捨てられていたのである。本来なら大人が近くにいない赤ん坊は 食べたり、殺したりというのが掟なのだがバルリア王国の王が可哀想だと主張して、養子に迎え入れたのだ。王には子供がいなかった。
だからこそ、レイシスはとても大切に育てられた。周りの国民も王に子供ができたということで祝杯を上げていた。
しかし……王はレイシスが10歳の時に亡くなったのだ。敵国であるガルリア王国の暗殺者の仕業だった。王が居なくなったバルリア王国は一気に指揮が取れなくなり、国として成り立たない状態へと陥ってしまう。そんな時、バルリア王国に協定を結ぼうと言ってくる国があった。
その国の名前はザルリア王国と呼び、建国してあまり年数は経っていない国であったが、急成長振りが凄い国だった。
バルリア王国の大臣達がレイシスには国を動かす力は無いと判断され、勝手にザルリア王国と協定を組むことになる。

 そして協定を組んだその日。
バルリア王国は火の海になった。
国民達は生きたまま鉄板に置かれた魚の様にジタバタと動き回ったが火の海から逃れることはできなかった。
レイシスは国民達を助けようと水魔術を使うが、力が無かった当時の彼女にはどうすることもできなかったのである。
それからザルリア王国に支配されたバルリア王国の国民達は奴隷の様に扱われ、毎日毎日畑を耕した。軍事力を上げるためにと無理な強制労働を強いられた。勿論、レイシスも働かされた。姫だと言って働かされない訳が無かった。

 それから3年後。
ザルリア王国はガルリア王国に滅ぼされた。
奴隷となっていたバルリア王国の国民達は解放され、自由を手に入れたのだ。
これからバルリア王国の復刻だという時だ。

1つの噂が舞い降りる。
『実はレイシスが王を殺したので無いか』という噂だ。それに大臣達があっさりと王の子供では無い事を話し、レイシスは『裏切り者』としてのレッテルを貼られた。
しかし王が唯一遺してくれた、次期魔王候補はレイシスであるという置き手紙のお陰でどうにか助かったのだ。しかし国民はレイシスを次期魔王候補として認めてはいない。それは彼女が純血では無いからだ。彼女の父親は人間。それだけの理由で忌み嫌われ、迫害を受けた。
幼少期とは違う皆の態度に衝撃を受け、悲しんだりもした。でも悲しむ時間は無かった。
それはどうしてもレイシスには魔王にならなければならない理由があったからだ、
それは『自分を生んだ母親に復讐する為』と『育ててくれた王に恩返しする為』である。

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