コマンド見えるようになったので、ハーレム作ります!

片山樹

妖精さんと妹さん

 ……気まずい。
自分から誘っておきながら会話が続かない。
どうすればいいだろう。
俺の目の前には妹が、横には妖精さんこと富田さんがいる。
富田さんと言っているが一応俺の後輩。おまけに俺と何か関係しているっぽい。
詳しくは分からないんだけど。というか、俺が知らないことが沢山起き過ぎている。
そろそろ、一旦整理でもしとこう。
その1:俺には妹はいなかった。
その2:俺は生徒会長と親しくなかった。(今日会った学園のアイドルとは親しくなかった。一部例外を除く)
その3:俺に初めての彼女(先生)ができた。(彼女と言うのはどうかと思うが一応そうしとこう)
その4:俺の視界に度々コマンドが出現する。(発生条件不明。これが一番の謎)
その5:日本人離れした容姿をしている幼女に出会った。

本気で意味が分からない。という言葉で全てを解決したいができないよな。

まず、一つ目から理解不能。もしかしたら今まで俺だけが彼女の存在に気付かなかったとか考えてみたけど馬鹿馬鹿しいし、考えてもどうこうできる問題じゃないよな。
っていうことで、とりあえず考えるのは中止。
まぁ、分からないなら尋ねてみるのが一番だよな……

そう思い、二人に目線を合わせ後悔した。
柚葉は俺を睨んでいた、富田さんは俺が目線を合わすとすぐにそっぽを向いてしまった。
富田さんの顏が赤い気がする。
まさかな……ははは。

「柚葉の作った弁当美味いぞ。やっぱり、柚葉は料理上手だなぁー」
とりあえず話題を作っておこう。これで少しは気まずい空気が消えるはずだ。
根拠はどこにもないけど。
「へぇーそっか。嘘つきさん♪」
あれ? なんだか柚葉の様子がおかしい気がする。
それに今「嘘つきさん」とか言ったよな……。
もしかして、俺と一緒に弁当を二人で食べようと言ったのに俺が三人で食べようと言ったから?
いや、まさかな。俺の妹がそんな奴ではないだろう。
だけど、待てよ……。今日の朝から変なコマンドがあったよな、確か……俺を愛し過ぎているか、好き過ぎているの二択だったはずだ。俺はあの時、好きすぎているを選んだ。
それが間違いだったのか? だから、こんなことに……って飛躍しすぎだな。
第一、あの選択肢に何の意味も無かったってこともあり得るし、あったとしてもだから何だという話だよな。

「あの……泉田さん口を開けて下さい」
俺は富田さんに言われるがまま、無意識に口を開ける。

「はい、あ~ん」
富田さんが卵焼きを俺の口に入れてきた。

う、うまい!?

「どうですか?」
小首を傾げ、俺の返事を待っている。

「美味い! その何というか、絶妙な味付けでとっても美味いよ」

「絶妙な味? それって……どんな」

「ふわふわした触感に卵の味を味わえるようにあまり調味料などを入れてないよね?」

「あ……照れますね。全部バレてるなんて、てへへ」
富田さんがびっくりとすると思ったのに逆に照れたので何か悔しい。

「でも、とっても嬉しいです。二人だけの秘密みたいで……」
富田さんが何かごそごそと言ったが全く聞こえなかった。
ってか、今更だけ柚葉が俺の弁当作ったっけ?
今朝は確か、慌ててたから母親が作ってたよな。

「三人の間違いじゃない? 愛美ちゃん♪」
柚葉が不気味に笑みを零しながら言った。
何となくだが、妹の様子がさっきからおかしい。
俺の勘違いでは断じてないと思う。


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