コマンド見えるようになったので、ハーレム作ります!

片山樹

要塞の妖精

 自分の教室の前の廊下には俺が知っている顔があった。
「あ!? おにぃー探したんだよ!」
顔をぷっくと膨らませて、俺の帰りを待っている子犬の様に歩みよってきた。
まぁ、その人物は皆さんご存知の通り俺の妹こと、柚葉だ。
やっぱり、こいつかなり可愛いよなとか思ってしまう。
「あ、その悪いな。先生の所に行っててさ」
「あ、そっか……それは安心。昨日みたいに生徒会長さんと食べてたのかと思ってたから」
昨日? 昨日は始業式だったはずだ。
「昨日?」
「う、うん! 昨日だよ」
柚葉の間違いではなさそうだ。
だけど、昨日は確実に昼飯は家でカップ麺を食った記憶があるんだけどな。
「あ、そんなことより、早く弁当食べよ! お腹空いたよー」
柚葉が俺に上目遣いという女の子の武器を使い、俺の意識を集中させた。
かなり可愛い。俺ってもしかして、シスコンなのか?
「そうだな、場所を移動しよう」
俺が柚葉にそう伝えると、柚葉が良い場所があると歩き始めた。
俺はその後を追いかけた。
「ほら、おにぃー! 早く―」
柚葉から急かされ、俺も急いで柚葉の隣に並んだ。

「へへっ」
柚葉が笑みを綻ばせる。それがとってもいい笑顔。
かなり、絵になる。最高であり、至高の妹だ。

柚葉に連れて来られたのは図書室だった。
図書室は普段は食べ物禁止なのだが、一部のスペースだけが飲食OKになっている。
俺と柚葉がそちらのスペースに向かっている途中に声を掛けられた。

「い、泉田先輩……」
突然後ろから声を掛けられ、ビクッと身体を動かした。
そして、恐る恐る名前の呼ばれた方を見る。
しかし、俺の視界には誰もいない。
もしかして、上か? そう思って上を見るが誰もいない。
新手の悪戯か? それとも幽霊か?
どっちも怖いので考えるのは止めておこう。

「もう、こっちです……」
声が下から聞こえてきた。
俺は下を見る。
俺のすぐ近くに身長が145センチあるかないかぐらいの眼鏡をかけた小動物のような女の子がいた。

「待ってましたよ!」
へぇ? 意味が分からない。

「あの……意味がさっぱ」
俺が言葉を言った瞬間彼女の目に涙が溜まるのが見えてしまい、先の言葉が言えない。

「あ、あ……」
どうしようか、悩む。
ってか、俺ってこの人と関わり持ってたっけ?
ちなみに俺はこの女の子を知っている。
名前は富田とみだ愛美あみ。図書室の管理人さんだ。管理人と言っても生徒だけど、俗にいう図書委員長みたいな感じ。確か、歳は俺の一個下だから柚葉と同じ一年生のはずだ。
容姿はとても華奢な身体で、おまけに身長が低い。
しかし、胸があるという俺得眼鏡っ娘。それに後輩という所に少し惹かれる。
でも、惹かれるのは俺だけで相手は俺を引くとおもうけど。それにしても漢字が一字違うだけでこんなにも意味が変わるとは日本語こえぇー。
ちなみに彼女にも異名がある。
その異名こそが『要塞の妖精』である。
名前の由来は図書室という封鎖された環境でイキイキとして本を読んでいる姿からとかいう噂。
あまり俺も詳しくは知らないが、彼女も学園のアイドルの一人。
というか、俺の学校アイドル多すぎだろ。
でも仕方がないか。2000人強の超マンモス高校だし。

「あ! 愛美ちゃんもここでお昼なんだー」
柚葉が富田さんに喋りかける。口ぶりからして仲が良さそうだな。

「う、うん! 今日は泉田先輩と食べることになってますから」
え? そんな約束した気が無いんだが。
ていうか、何故かさっきから何かがおかしいと思うんだが……。
まぁ、俺の勘違いだよな……?

そんな富田さんの声を聞いて、柚葉が俺を睨み付けてきた。

「あぁーそうだったな、そういえばー、はは。じゃあ、今日は三人で食べようか」
俺が二人に提案する。

すると、二人から返事が来た。

「零がそう言うならー」
「泉田さんがそうおっしゃるのならば……」
どうやら、三人で食べることになりそうだ。
でも、二人とも少しばかり怒っている気がするんだけど、違うよな。
ってか、柚葉きちんと人前なら、零って名前で俺を呼ぶんだな。
ちょっと、感動。

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