コマンド見えるようになったので、ハーレム作ります!

片山樹

氷の女王

 「行ってきますー」
柚葉と一緒に家を出た。
ってか、こいつ俺と同じ学校の指定制服を着ているよな。
もしかして一緒の高校?

「おにぃー。恥ずかしいぃー流石に外ではそんなプレイは……」
柚葉がシャツの袖をくいっと掴み、目を見開いた。

「いや、ごめん。悪かった。でも色々とあってな」

「えっ? なに? 私の足が太いとか?」

「違う。違う。柚葉は美脚だ。俺の自慢の妹だよ」

「お、おにぃ……」

柚葉は何か釈然としていなかったが、納得したようだ。

「あ、それよりもおにぃ! 今日は絶対に一緒にお弁当食べようね! せっかく私が作ったんだから……」

妹とお弁当。それも妹が作った。言うならば、手作り弁当。
妹と言えど、女は女だ。嬉しくないはずがない。
ってか、女の子と弁当とか嬉しすぎるんだけど。

「もちろんだ。一緒に食べよう!」
俺がそう言うと、柚葉が何かを思いついたように口にする。

「あ、だけど二人でだからね!」

「おう、任しとけ。生憎、友達なんぞいねぇーから二人っきりに決まってるだろ。寧ろ、いたら俺の方が困るぜ」
なぜ、俺は喋ってしまうと自虐的になってしまうのだろう。

そんなことを考えるとすぐに学校に着いた。

校門には生徒会長である押川おしかわ菜奈なながいる。

彼女は毎朝校門に立っている。
挨拶ができる学校にしたいとかなんとか。

彼女の別称は『氷の女王』。
その名の通り、氷のように冷たいそうだ。(身体がというわけではなく、冷淡過ぎるってこと)

勿論、こんな説明をしているけど、俺がそんな氷の女王様と知り合いということはない。

ってかな、学園のアイドル皆と仲がいいほど世の中あまくねぇーよ。

そういうわけで生徒会長の豊満な胸に軽く会釈して校門をくぐる。

それにしても今日も良い胸っすね。
交通料金払わなくて大丈夫か?
などと、思っていると束の間俺は後ろから喋りかけられた。

「れ、零殿。今日も一緒に弁当を食べてほしい」

えっ? いや、少し待ってくれ。
理解不能。まず、初めに情報整理。

俺は氷の女王と知りあいだったか? ノー。

零殿ってのは俺の事か? 多分だが俺ってことで間違いない。
ってか、殿って今時の女子高生が使う言葉かよ……まぁ、可愛いし胸あるから許すけど。

今日『も』ってことは? 昨日も弁当を食べた? またはそれに準ずる何か?

情報整理終了。
なぜか分からないが俺と生徒会長は知り合いっぽい。

「あ、今日は無理です。今日は柚葉と食べる約束してるんで」
とりあえず、断るのが必須。

下手したら弁当詐欺かもしれないからな。
弁当を食べようと誘い、変な美術品を買わされるという弁当商法。
中々に卑怯な話だ。

「あ、ごめんなさい。零殿の事なんかちっとも考えてなくて」
しょんぼりした顔で女王は言った。

「いや……そんなことないですよ。明日は一緒に食べましょう!」

「はい、よろこんで」
女王が俺にとびきりの笑顔を見せた。

おい……誰が『氷の女王』とか言った?
これじゃまるで、『恋する乙女』だぜ。

俺は馬鹿なゲームの主人公やアニメの主人公とは違う。
俺は女の子の気持ちが分かる。
伊達にギャルゲやってんじゃねぇーんだよ!

不意に俺の視界にあれが出現した。

『1 「先輩の胸揉ませてもらっていいですか?」』
『2 「先輩の胸触ってもいいですか?」』

おい……まじかよ。
ふざけんなよ。今から俺の青春が始まろうとしていたのに……

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